かがり縫いができる人
小さい頃、かがり縫いというものになぜかひどく惹かれた。
時を経て、この事実がわたしの中に深く入り込むため記録として残します。
かがり縫いとは、縦に掘りながら横に向かって縫っていく手法で、零れ落ちる布端を拾って、布全体を丈夫にする編む手法です。
かがり縫い、並大抵ではない大そうなテクニックを拵えている人みたいで、当時の小学生の私にとっては理想的な響きだった。
2024年の今日、仕事から帰る電車の中、唐突に気分が落ち込んだ。よく考えたら、それは通りすがりのビジネスマン達に敵意を持っていたことが原因だと気づいた。
みんな働いて、お金をもらって、休みの日には人と遊んで、ご褒美のお菓子も自由に買えて、いいなあ…と。
私には出来ない。
だけど、敵意の目は、「周りのビジネスマン」を自分視点でしか見ていないからということにも気がついた。
周りのビジネスマン、その人一人一人の視線になって見たら嫉妬なんかじゃなくて、必ず共感する部分があって、愛おしく見えてくる。
例えば、さっきの人は肉親の介護に頭を抱えているかもしれないし、あの人は恋人に振られた日かもしれない。この人は花を見て幸せな気持ちになる人かもしれないし、その人は同じ料理が好きかもしれない。
自分からという浅い視点でみたら、懐疑的になるけれど、
一人一人の視点、深く潜った視点で見てみたら、繋がりが感じられて、排他的な気持ちにならない。
人の共通点は深く潜ったところにしかない。
その共通点を繋げるように、深く一人一人の中に潜って繋げていく。
縦に掘って横に繋げていく。
かがり縫いのようだと思った。
かがり縫いは、最後には丈夫になる。
人生を通してかがり縫いが出来る人になりたいです。
Bye〜
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