240109-240114 がんばりましょう。
先週、わたしは二人の男性から「がんばりましょう。」と言われたのである。一人は歯医者、一人は今月から始めたバイト先のグループホームのオーナーで精神科医である。
そうか、がんばらなければならないのか。そうだよな、がんばらなければならないよな……。
そんなことを思いながら武蔵野線に乗ったら、2つめの駅から乗ってきた若い女の子が隣に座るなり、パカっとMacbook Proを開けてなにやら入力を始めた。とても大きな文字だったのでチラッと目をやるだけで読めてしまった。
「岩本くんに詫びの連絡を入れる」
みんないろいろ大変だ。
12月に名古屋で披露宴をした2号夫妻が上京。祖父母や中高の友人らにあいさつ回りのついでにウチにも来て、みんなでおでん。年末に自由が丘で買ってきた羅臼昆布が良い働きをしてくれた。
グループホームはオープンしたてでまだてんやわんやである。初めての夜勤にお供してくれた施設長はわたしと同じ歳で、もう30年も高齢者介護の仕事をしてきたという。このグループホームで初めて管理職を務めるのだという。利用者さんたちがそれぞれ部屋に入った後、彼女は「ほんとは次は別の仕事をしようと思ったの。仕事をするのも次が最後だと思ったからね。でも結局また介護の仕事になっちゃった。運命だったんだな、って思ってる」と言った。
たぶん彼女はものすごく緊張してGHでの仕事に臨んでいる。お気楽に腰かけバイトのつもりで応募してしまった自分が申し訳なくなる。
言葉の話せない利用者さんは、わたしの手を取り、両手で包み込みながらいろいろに動かして何かを一生懸命伝えようとした。同じようにわたしも手を動かしてみるけれど、彼女が何を伝えようとしているのかわからなかった。「おーぅ、おーぅ」と小さく唸る。「わかって、わかって」と叫んでいるように感じた。何度繰り返してもわからなかった自分が申し訳なかった。
「がんばりましょう。」だ、ほんとうに。
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