見出し画像

胸痛、だけじゃない!心筋梗塞!

私の体験したとても怖いお話です。

弾丸セブ旅から約二週間後、夫婦して体調を崩しました。
先に具合が悪くなったのは夫。
喉が酷く痛いと言い始め、それから肩こりがすごいと。
翌日、私も喉の痛みと倦怠感を覚えました。
互いに熱は平熱で、つらいのは喉と身体のダルさだけ。
最初は弾丸セブの疲れと、そのための休暇の代償として休み無しで二週間仕事していたので疲労とストレスかなと思ってました。
しかし2日経ち3日経ち…
元看護師である私が「喉の痛みにはこれ」と購入した薬も全く効かない状態が続きました。
「これは、コロッたかな…?」
二人して陽性では、と疑い始めた4日目の早朝。
夫は前日からの「全身がすごくだるい」に加えて「胸のあたりが痛い」と言い始めました。

こ、これはコロナではない?!
痛みの度合いを聞いても喉の方が痛い、胸はなんか息苦しい感じがする。
「痛いって言ったじゃん、痛みは?」と聞くと「うーん、息苦しい、かも」と自分でもはっきりしない様子。
しかしこれはよくない状態。
救急車か、かかりつけ医を受診するかすごく迷いました。
このときもし、3日間の「喉の痛み、肩こり、頭痛、平熱」がなければ、迷わず救急車呼びました。
胸が痛い、息苦しいはたぶん心臓関係の可能性が高いから!
だけど、それ以前の症状が「コロナかも」という不安を捨てきれず救急車を呼ぶことをためらわせました。
日本ではある県の学校5校が一気に休学になるほどの勢いで今、爆発的にコロナが流行っています。
高熱で動けないとか、意識が朦朧としているという状態ならまだしも、身体がしんどいけれど自力で歩いて病院に行けるとなれば悩みます。
救急隊の方も熱中症とコロナ、インフルエンザと流行り病が重なってとても大変だとわかっているから。
もし、単なるコロナ(単なるって言い方は語弊があるかもしれないけれど、わたしと夫にとってはそのくらい「あるある」な感じ)だったら、救急隊の方の手を煩わせるのは申し訳ない。
本当の急患もいるはずだし…。
悩んでいると、夫も「歩いて病院に行けるレベルだから救急車はいい」と言いました。

結局、病院の受付開始するに連絡をいれ状況を説明しました。
どうしてもコロナの検査は避けて通れないらしく、そのために1時間近くの時間を費やしました。
夫は説明ベタで、苦しいのもあってあまりうまく伝えられないだろうと思ったので事前に彼のスマホに数日前の日付、その日に何があった、どこで誰とあった、薬はこの市販薬とこれを何日の何時に飲んでいる、
4日前の症状はこう、3日前はこうなって、2日前(昨日)はこうだったとメモをして渡しました。
彼はそれを医者に見せ、最後に記載してあった「本日早朝より胸の痛みあり」で心電図検査も受けることに。

その間、妻であっても新型感染症予防のために同席は許されて居なかったので帰宅しました。
数十分後、夫からの着信。
「なんか心臓かもしれなくて、ここでは診られないからこれから救急車で他の病院に行くらしい、着いてきてくれる?」と。
普段は丈夫で泣き言ひとつ言わない夫も流石に不安になったのか?
私はもちろんいく!と答え、取り急ぎ必要そうなものをカバンにつめました。
・バスタオル、フェイスタオル
・ボディタオル(スースーするやつ)
・マグカップ
・洗面用品、ドライシャンプー
・着替え(3日分)
・スマホやタブレットとそれらの充電器、イヤフォン
・水やお茶のペットボトル
・曲がるストロー(これ、入院時に意外と助かるんです)
・洗濯物をいれるランドリー袋
・爪切り、耳かき、綿棒、爪楊枝
・蒸気であたたまるアイマスク
・保険証、財布、マイナンバー
そのた、ちょっとしたお金や鍵など退院時に使用する小物を一つのポーチにまとめておく。

これらをサクッとまとめられるのは、以前は私が入院常習犯だったからです(笑)
子供の頃からあまり丈夫ではなくて頻繁に入退院を繰り返していました。
大人になってから頻度は減りましたがそれでも2~3年に1度は入院。
そんな入院マスター?!なので、なにか普通と違うなと思って受診するとき
「あ、この症状、入院になりそう」というときは、受診するときにある程度荷物をまとめて持参します。
救急車で運ばれるときも、靴やサンダル、帰りの服、病院で売店行ったりするようの小さなバッグなどささっと入れていきます。
どんだけ余裕やねん!と突っ込まれそうですが、意外と大事なことなのでどんなに痛くても身体がきつくても最低限の荷物は持ちます。
でないと病院のスリッパ借りてパジャマでバス乗って帰ることにもなりかねないので(^-^)

で、準備が終わったので夫の元へ。
絶対安静でストレッチャーに乗せられて救急車を待っておりました。
救急車が忙しくて30分くらい来られないというので、タクシーで行けますよと提案しましたが、夫は絶対安静なので救急車を待ってほしいとのこと。
じっと処置室で待つしかありませんでした。
救急車が到着し、私も一緒に乗せてもらって到着し次第処置が開始。
心臓に造影剤をいれると明らかに詰まっている。
しかももっと以前から詰まっていた形跡も見つかった。
実は過去も心筋梗塞を何度か起こしていた疑いがあるとのことでした。

夫は我慢強いというか、痛みの度合いの感じ方が鈍い。
熱にも強くて40度の熱があった前立腺炎のときも、入院したほうが楽だよという医師や私の言葉を振り切って、片道7分ほどの距離を毎日点滴しに通っていました。
基本的な体力や生存本能が弱いのではないかと思います。
私のように身体が丈夫ではないと思っている人ほど、痛みや苦しさに敏感ですぐに病院にかかるし対処します。
だからむしろ生存率が高いのかもしれない。
医師が夫に、以前似たようなことがなかったか(胸の痛みとか)と問われたときも「言われてみれば胸が痛いなぁってことが何度かあったけどすぐに痛みがなくなったから放っておいた」とのこと。
馬鹿だろ!大馬鹿野郎だ!!(泣)

この経験を通じて私が初めて考えたのは「失うことへの恐怖」でした。
今までは
お互いが死んだら延命など望まず、安らかに行きたいね。
そしてそれまでは元気に好きなことをやって、好きなものを食べて好きなところで暮らしたいね
という話をしていました。
互いに無理な延命はしない、胃ろうなどを作って好きなものを食べられなくなる人生は選びたくない。
葬式も墓もいらない。
そういう話を何度もして、相互の認識をすり合わせていました。
そしかしこのような状況を目の当たりにすると、気持ちがゆらぎます。
医師からは「心筋梗塞での死亡率は30~40%くらい。病院で治療をすることでリスクが加算される可能性がある」とのこと。
細い血管にカテーテルを入れるということの困難さ、脆い血管だと破ってしまうこともある。
詰まっている血栓を取り除くとき、小さな欠片が脳のほうに行ってしまうと脳梗塞にもなる。
その他、合併症なども起こりやすい。
その治療が難しいからです。
そんな状況に立たされ、夫が緊急手術という場面に出くわし、医師からの生存率をはっきり聞いたとき、私は泣き出しそうでした。
しかしそんな話をしている医師も私も、意識の有る夫のそばに立っていましたし、看護師さんたちもいる手前、私は不安な様子を見せてはいけないと思ってました。
夫を不安にさせてはいけない。
私が取り乱したら彼は心配するだろうし、それが良い影響になるとは絶対に思えない。
だからなるべく心配ない、なんてことはないという風を装って「まぁ、早めにわかってよかったよー!カテーテル手術できる状態で運ばれてよかったよね」と言っていました。

いつか来る死。
その時は無理な延命などせず安らかに逝きたい。
逝ったあとは骨を海にまいてくれ、墓などいらん。
それが私達夫婦の共通認識でした。
でも、土壇場になって「呼吸器をつけたら延命できます」と言われたら、果たして私は「いいえ、いりません」と言えるのだろうか?
夫の希望を叶えたい、それが私の希望でもあると今まで思ってきたけれど、エゴでもいいから生きててほしいと願いそうな気がする。
そうなったとき、夫は私を恨むだろうか。
多分、身体がきつくて自由もなくて、ただ「生かされてる」だけならば恨むだろうな。
だけど「生かされてても生きててほしい」そう願ってしまいそうだ。

そんなことを思いながら手術の終了を待っていました。
無事に終わって、夫はICUに入れらました。
医師からの説明は、楽観的なものではなく…。
心筋梗塞、脳梗塞…つまり血管が詰まるという病気は一箇所でのみ発生するものではない。
一箇所みつかったなら、他の場所にも同じような状態のものあることを想定する。
夫の場合は、一番大きなところは取り除けて血流が回復したけれど、その周りの少し細い血管は以前から詰まっていたのだろう、どうやっても回復しなかったと言われました。
これは今回、元気に回復したとしても今後のリスクとなる話で。
たぶん、血液抗凝固剤(ワーファリンなど)を飲み続けなければならないという話になるだろう。
この手の血液サラサラお薬を飲むと、気をつけなければならないことが増える。
怪我、手術、歯科治療…出血を伴うことはできるだけ避けなければならない。
もし緊急に手術が必要になった場合、出血が多くなる可能性が高い。
止血できないということもある。
あとは食べ合わせ。
薬の効果を高めてしまったり、反対に消してしまったりする食べ物が日常的にあるので、それも気をつけなければ。
そういうことを今後背負って、セブに移住できるんだろうか?
元看護師である程度の知識はあると言っても、正直、心臓や循環器は専門外だし、日本と同じクオリティの治療が受けられるのか?
セブドクに何度もかかっている私自身がそこはちょっと疑問を持っている。
セブドク、大学病院で設備はそれなりに揃っているし、死にそうな目にあったこともないけど。
生徒さんとか連れて行くとちょいちょい誤診があったりする(ココだけの話!)

ICUに入ってからの夫は、部分麻酔だったため意識はしっかりしていて話もできました。
あまり疲れさせてはいけないなと思いつつ、少しお話をして。
本人も「そうなったらセブ、行けるのかなぁ」と少し不安そうでした。
でも元気になったら「セブで骨を埋める覚悟だし行こうぜ!」とか言いそうだけど(笑)

面会時間が19時で終了のため、ギリギリまでいて帰ることに。
その病院は感染症対策のため週1度の面会しかできないということで、次に会えるのはいつになるのか…なんてちょびっと感傷的な気分で帰宅。
とはいえ、入院自体は順調に行けば10日ほどで、私がセブ単身赴任していたよりずっと短いのだけれど。
それれも…最初から一人で暮らしているのと、いるはずの人がいない家というのは全然違う。
寝ようと思っても「夫は大丈夫かな。病院から電話があったりしたらどうしよう」と不安でなかなか寝付けなかったり。

というわけで!
本題から逸れまくりましたが「心筋梗塞」という言葉から「胸が痛い!」が主訴になると思われがちですが、放散痛といって胸痛いの場所が痛いと思うような痛み方をすることがたまにあること。
それらはだいたい
・喉の痛み
・肩や背中の痛み(特に左というが夫は左右差はなかった)
・頭痛
のようです。
こういう症状があって、でも熱がないという場合は胸を疑ってもいいかもしれません。
今の時代、新型感染症が話題なのでつい「コロナ?」と思ってしまいがちで、コロナだったら下手に病院いっても薬はないのだから家でユックリ休んでいたらいい、と思いがちです。
でも侮ってはいけないなと、痛感しました。
いきなり「ズキッ!」と胸が痛くなれば誰でも心臓を疑うでしょうが、夫のように3日ほど喉の痛みがひどく身体がだるいという症状が続いている場合だと、たぶん本格的に心筋梗塞の発作が出たときは手遅れだったと思います。
このようにじわじわと起こる前兆もあるのでどうぞ気をつけて。

今回、夫の心筋梗塞を受けて色々と原因や対処法を調べてみたけど、フィリピンの食生活はてきめんに良くないなぁと。
日本のクオリティでしっかり栄養バランスの管理ができないと、早死します。
怖い宣言だと二度いいます。

早死します!

みなさんもどうか気をつけて。
変だなと思ったら迷わず受診を!

ちなみに私の体調不良は尿路感染症でした。
腎盂腎炎の一歩手前だったらしいです。
夫婦して同じタイミングで似たような具合の悪さだったから、てっきり同じ病気(思い当たるのはコロナ)だと思っていたけど、こんな偶然もあるんだなぁと。
お互いもう若くないよね(笑)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?