「痴人の愛」は僕の心の柔らかい場所を締め付けるどころか音を立てて引っ搔いてくる

子どもたちに「靴下から納豆の臭いがする~」っと言われた僕ですが。
蒸れる季節ですね。

さて、語り継がれる名作を読んでみようの一環で知人から借りた、
谷崎潤一郎作:痴人の愛

成程、現代まで散々擦られ続けたネタの大元であり、
読み始めてすぐ展開が予想できたし、実際その通りに進んでいった。

現代のラノベAV風タイトルをつけるならば、

「冴えない童貞中学校教師の俺がクラス一可愛い教え子を育てて自分の奥さんにしたら、とんだビッチで妻の同級生に毎晩NTRされています。」

といったところか。
爛れたふたりエッチみたいな。

………

とはいえ、
展開は予想できても最後まで読ませることが出来るのが名作たる所以。

こんなに感情移入して読むことにストレスを感じた作品も珍しい。

女性に無縁の生活を送ってきた朴念仁の主人公が、
一回り年下の女性を引き取って育てていく。

最初は主人公優位で進んでいたものの、
あっという間に立場が逆転して、
愛の奴隷となる主人公。

性に奔放な彼女は同年代の男たちや西洋人と遊び惚けるわけで、
それが主人公にもバレるわけだけれど(なんなら主人公の寝てる横で×××なわけだけど)、
それでも愛想を尽かすことが出来ない主人公。

彼女が主人公の仕事中、同年代の男と主人公の性癖暴露で盛り上がっているシーンなんて吐き気を覚えた。

AVで覚えた知識でガシガシやっていた頃の僕はきっとこの主人公のようにガールズトークで馬鹿にされていたのだろう…。

ほぉんと、あれから僕たちは何かを信じてこれたんだろうか。

………

でもさ、何度も裏切られて愛想尽かしても、
結局は性欲の奴隷に成り下がる。

「モテない僕がこんな美女とつながるチャンスはもう二度とないから」
的なあれ。

とことんバーロー。
童貞をこじらせるとこうなるってお手本。

劇薬だけど、性欲に支配されると身を亡ぼすということを真に迫った筆致で教えてくれる「痴人の愛」

是非手に取っていただきたい。

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