見出し画像

財閥当主がマネージャー おかえり

今日はお昼をまたぐ少し長めの収録だったため僕は局内にあるコンビニでコーヒーを買ってエレベーターで楽屋に戻っていた

〇〇:(今日はなんか疲れたな、、、)

そんなどうでもいいことを考えながら楽屋に戻る

いつも廊下まで聞こえる楽しそうな笑い声、話し声が今日はいつにもまして大きい気がした

楽屋に入ると何やら人だかりができていた

〇〇:(誰か来たのかな?)

そう思ってみているとみんなが僕に気付いたらしくこちらに視線を向けてくる
すると人だかりの中から見覚えのある懐かしい顔がちらっと僕の目にうつった

〇〇:麻衣、、、

梅:あっ 〇〇! 麻衣さんだよ!

麻衣:やっほ〜!

〇〇:おっ 久しぶり!

麻衣:久しぶり

〇〇:どうしたの? 珍しいね

麻衣:まあね ちょっと遊びに来てみようかと思って

〇〇:そっか みんな成長してるでしょう

麻衣:うん! みんなほんとにきれいになってるし可愛いし

〇〇:五期生は麻衣に会うの初めてじゃない?

和:はい! めっちゃ嬉しいです (グスン

〇〇:泣いてるしw どう? 生の白石麻衣は

咲月:かわいい、、、

彩:きれい、、、

アルノ:美しい

茉央:女神

麻衣:も〜 そんなことないよ〜

まんざらでもない笑顔だった

〇〇:よかったね みんな いっぱい写真取ってもらいな

メンバー:は〜い!

麻衣:撮ろうね〜

史緒里:〇〇と白石さん並ぶと神のツーショットですね

麻衣:ほんと?w

〇〇:おい 彼氏にぶん殴られるぞw

麻衣:まあまあ

〇〇:僕がぶん殴られんの嫌なんだけどw

真佑:二人の写真撮っていいですか?

麻衣:もちろん!

あやめ:私もいいですか?

咲月:私も!

麻衣:みんな撮って〜!

〇〇:マジか、、、

麻衣:嫌だった?

否定は一切許さないと言わんばかりのその笑顔と上目遣い アイドルを極めすぎた美人の末路といえよう

〇〇:いいよ

そう言わざるを得なかった

その後かなりの時間を僕、麻衣、メンバーの写真撮影会に要した

かるく数十分がたち、メンバーが収録に向かいはじめ落ち着きはじめた楽屋

僕は久しぶりに麻衣と二人で話していた

麻衣:やっぱり楽屋はいいね〜

〇〇:楽しそうで何よりだよw

麻衣:みんな全然〇〇にくっつかないね

〇〇:麻衣たちが異常だっただけw

麻衣:最後はやっぱり飛鳥が独占状態?

〇〇:まあ 飛鳥に逆らえるメンバーはいなかったよねw

麻衣:いいな〜

〇〇:いいじゃん 彼氏いるんだし

麻衣:うん 

そういう彼女にあまり覇気が感じられなかった

〇〇:(なんかあったのかな、、、)

麻衣:やっぱ 〇〇って優しいよね

〇〇:ん?

麻衣:なんか楽しく話してくれるし誰も傷つけないし全部肯定してくれてさ

雰囲気が一変、彼女はなにかずっしりと思い鎧を着せられているようだった
まるでさっきまで何かを偽り演技していたかのようだ

〇〇:そうかな

麻衣:うん だから〇〇と話すだけで救われてたメンバー結構いると思うよ

〇〇:なんか照れるな

麻衣:フフッ//

〇〇:(その笑顔に救われた人たちのほうが多いと思うけどねw)

それを境に数秒間の沈黙が僕達を包みこんだ

〇〇:麻衣?

麻衣:ん?

そう問いかけたときには楽屋に僕ら二人だけ
マネージャーたちが「麻衣は多分〇〇に会いたかったんだと思う」といい気を使ってくれたらしい

〇〇:なんか あったの?

麻衣:え?

〇〇:いや なんか元気なさそうだったから 違ったらいいんだけどさ、、、

麻衣:(そんな顔に出ちゃってたかな、、、)

〇〇:大丈夫?


麻衣:グスン、、、

麻衣の目には涙が浮かんでいた 

麻衣:うう、、、

こらえているのだろうがその意志とは正反対にその涙は一滴また一滴と彼女のスカートのシミになっていった

〇〇:もしかして 今日ここに来たのって、、、

そう聞くと彼女は目に手をあてたまま首をゆっくり縦に振った

〇〇:(流石に僕に連絡もなしに急に来たからなにかあるんどろうとは思ったけど、、、)

麻衣:ごめんね 迷惑だってわかってるし それに、、、

過呼吸になりながらも思いを伝えるため精一杯言葉を発しているのが伝わってきた

〇〇:大丈夫 時間はあるから麻衣のペースで ゆっくりでいいから

僕は麻衣が落ち着いてくれるよういつもに増してゆっくりと言葉をかけた

今僕にできることは彼女にしっかり寄り添ってあげること 何があったかはわからない でも卒業して数年がたち、それでも僕を頼ってきてくれたのだ 僕はその思いに真正面から向き合い、全て受け止めてあげる これが僕がしてあげるべきことだとそう感じた

数分後、、、

ようやく息遣いも穏やかになり心も落ち着きを取り戻したようだ
そして彼女がささやくような声で話しはじめた

麻衣:ごめんね 急に来て しかも泣いちゃって

〇〇:いいんだよ 僕も嬉しかったよ

麻衣:え?

〇〇:久しぶりに会えたのはもちろんだけど 今でも僕に頼りに来てくれたこと

麻衣:〇〇、、、

〇〇:おかえり 麻衣 帰ってきてくれてありがとう

そういうと麻衣は急に僕の胸に飛び込んできた

〇〇:チョ!、、、

麻衣:ごめん でも今は、、、

〇〇:でも、、、

麻衣:だめなことをしてるのは分かってるでも グス、、、

言いたいことはなんとなく分かった気がする 
だから僕は彼女を否定せず受け入れた 
もしかしたらかけるべき言葉を失いその思考を断念したのかもしれない
僕にはその正解がわからなかった”だから”彼女をただ受け入れることしかできなかった

〇〇:話してくれる?

麻衣は僕の腕の中で静かに頷いた

麻衣:なんか、、、 うまく伝えられないんだけど、、、

終始涙腺と格闘しながら精一杯発せられる彼女の言葉に僕はただ耳を傾けた

麻衣:最近いろんな事がうまくいかなくて、、、
仕事もそうなんだけど他にも、、、

〇〇:そっか、、、

麻衣:私、どうすれば良いんだろ 昔は仕事がうまくいかなくてもグループが守ってくれたし誰かと一緒に戦えた でも今は成功するのも失敗するのも自分の責任で頑張ったけど勝てなくて、、、そして見つけたそばにいてくれる人もなんだか私のすべてを分かってくれる気がしなくて、、、そばにいてくれるのになぜか突き放されている気がして、、、  もう私怖くて!

彼女はもう壊れる寸前だったようだ

〇〇:辛かったね、、、 

麻衣:、、、

〇〇:不幸はどうしても続いてしまう

麻衣:うん、、、

〇〇:でも良かったよ

麻衣:え?

〇〇:少なくてもここに来ればなんとかなるかもって多少は思ってくれてたんでしょ?

麻衣:うん、、、  怖かったでも私の戻れる場所がここしかなくて、、、

〇〇:そっか でも安心して麻衣の考えは何も間違ってないよ

麻衣:え?

〇〇:ここには麻衣を尊敬する人が、好いてくれる人が大勢いる
ここは乃木坂に関わった人すべてが安心していられる、安心して戻ってこれるそんな場所であってほしい その人が世間からどう評価されようとその人がもう自分を嫌になったとしても 社会に疲れたときに何とも比べられずただいるだけで認められ、肯定してくれるそんな場所であってほしい
だからこそ僕は今のメンバーも昔のメンバーも死ぬ気で支えてきたつもりだしそれは卒業しても変わらない だから麻衣が帰ってきてくれて本当に嬉しかったよ

麻衣:〇〇、、、

〇〇:麻衣は昔から責任感が強かったし仕事に対する熱量、気合が人一倍あってだからこそ崩れてしまうときが心配だった 全力であたったぶん砕けるものも大きいからね でも麻衣は負けなかったアイドルとしてプロを貫き、その後もものすごい活躍をしてる しかも今は僕ら以外にも麻衣を近くで支えてくれる人もできた 信頼関係を築いたり、相手の本当の芯の部分を知るってのはとても時間がかかるし怖いと感じること、不信感を抱くこともある
でもそれは少しずつ乗り越えていくしか道はない でも今日みたいに苦しくなったらいつでも帰っておいで ここはどんな麻衣でも肯定し支えてくれる唯一無二の場所だから その時はもちろん僕も全力で支えてあげるから

麻衣:ありがとう、、、 頑張ってここに来てよかった やっぱり〇〇じゃないとだめかなw

〇〇:本気でぶっ叩かれるぞw

麻衣:嘘嘘w でも 本当に感謝してるいっつも助けてくれてありがとう

〇〇:こちらこそ 麻衣の笑顔にはいつも支えられてたよ

麻衣:どういたしまして〜w

そんな彼女には笑顔が戻っていた

麻衣:(〇〇、、、)

そしてちょうど収録が終わりみんなが帰ってきたらしい
廊下からなにやら賑やかな声が聞こえる

蓮加:たっだいま〜!

理々杏:たっだいま〜!

〇〇、麻衣:おかえり〜

久保:あ 二人ともこんな広い楽屋でそんなにくっついて何してたんですか?w

マネ:ほんと〇〇、麻衣には手出すんじゃないよ?w

〇〇:出すわけないじゃないですかw 僕マネージャーできなくなりますよw

真佑:それは困る!

咲月:そうですよ 彩が悲しみますよ!

〇〇:なんで彩?w

和:「今度〇〇さんとご飯行く約束する!」って意気込んでるんですよ

麻衣:なにそれ可愛い〜

彩:バカ! 二人とも!何いってんの!

美空:起こってる彩も可愛い、、、

祐希:変態が混ざってるw

麻衣:でも分かるよ彩ちゃん

彩:え?

麻衣:私今でも、〇〇とご飯行きたいもん

〇〇:皆さんこのかた浮気してますよ

麻衣:してない! ベシッ

〇〇:いてっ

全員:w

蓮加:〇〇〜!

〇〇:ん?

蓮加:ほら さく!

さくら:わ わたし?! 蓮ちゃんがいきたいんでしょ?

蓮加:じゃあ おさくは行きたくないの?

さくら:ん そういうわけじゃないけど、、、

蓮加:ほら おさく go! 彩よく見ててね

彩:?

さくら:あ あのさ〇〇この後ご飯食べにいかない、、、?

蓮加:蓮加も!

〇〇:えっ いいよ(笑)

彩:す 凄い

麻衣:あ〜 取られた〜

〇〇:麻衣はまた今度ね

麻衣:行ってくれる!?

〇〇:考えとく

麻衣:いじわる、、、

〇〇:そういうことにしとくw

蓮加:彩見た? 今実はおさくかなりの高等テクニックを使ってたの

彩:高等テクニック?

〇〇:なに吹き込んでんだよw

麻衣:賑やかでいいね〜

マネ:うるさいくらいだけどねw 麻衣のときほどじゃないかもだけど

麻衣:まるで私がうるさかったみたいじゃん!

〇〇、マネ:うるさかった

麻衣:もう!

〇〇、マネ:w

蓮加:いい? 一見普通に誘ったように見えたでしょ?

彩:はい

蓮加:あれ ポイントが2つあるの

さくら:も〜 何言ってるの?

蓮加:おさくはちょっと黙ってて

〇〇:(かわいそうw)

蓮加:1つ目は話しはじめ 少し照れて「あのさ」じゃなくて「あ あのさ」って少し控えめにいうこと

彩:なるほど

さくら:ねえ!蓮ちゃん!

〇〇:蓮加何やってんのw?

蓮加:〇〇とのデート必勝法講座

〇〇:僕のいる前で行われる講座じゃないw

麻衣:え〜 私も教えてほしい〜

〇〇:昔散々行っただろw

蓮加:そうだ! 麻衣さんも必勝法教えてください! 彩あっちで続き教えてあげるから 麻衣さんもこっち来てください

麻衣:〇〇のことなら任せて!

そう言って三人は少し離れたところにすわり盛り上がっていた

さくら:もう

〇〇:大変だねw

さくら:まあ ご飯行けるし

〇〇:そうだねw

麻衣もすっかり元気になり楽屋は活気に満ちてるいつもの楽屋に戻った
〇〇:(ふう 元気になってくれてよかった)

麻衣:(ありがとね 〇〇)






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?