人の成長・発達と心理


●発達理論

【発達】
発達→受精から死に至るまでの心身の質的変化
   遺伝的要因と環境的要因がある

発達原理
遺伝説(成熟優位説)→ゲゼルA
           生得的な傾向を重視。環境の変化は受けない。レディネスが整っている。
環境説(環境優位説)→ワトソンJ
           生後の環境や学習で発達。
輻輳説→シュテルンW
    生まれつきの素質+環境のが共に作用。
環境閾値説(相互作用説)→ジェンセンA
             環境と遺伝の相互作用。遺伝的素質には限界がある。

行動遺伝学→遺伝子だけでなく環境(共有環境・非共有環境)にも着目。相互作用から解明。

【臨界期】
臨界期→発達上ある時期を逃すと特性の獲得が難しい。
言語能力は臨界期ある。
刷り込み=刻印づけ=インプリンティング→鳥類のヒナが臨界期までに出会った運動体に対して後追い行動をすること。

【フロイトの発達理論】
フロイトSは発達を5期に分けた。
口唇期(0~1歳)
肛門期(1~3歳)
男根期(3~6歳)
潜伏期(7~12歳)
性器期(12歳~)

【エリクソンの発達理論】
発達課題の克服により発達すると主張。
8つの段階に分けライフサイクル理論を提唱。

乳児期・幼児期前半・幼児期後半・学童期・思春期~青年期・成人前期・中年期・老年期

【アイデンティティステイタス】
エリクソンの発達理論に基づいて、マー社JEが提唱。

アイデンティティ達成→自身の人生観で主体性や自立性を確立している。
モラトリアム→迷いながらも自身の傾倒すべき対象を見つけ出そうと努力している。
早期完了→両親などからの期待や目標をそのまま受け入れ専心する。
アイデンティティ拡散→傾倒すべき対象がなく生き方がわかない。危機前拡散と危機後拡散の2種類

【ピアジェの認知発達理論】
ピアジェJ
感覚運動期(0~2歳)感覚と運動の協応。対象の永続性。
前操作期(2~7歳)自己中心的
具体的操作期(7~11歳)保存の概念の獲得。可逆的な操作ができる。
形式的操作期(11歳~)抽象的にものごとを思考。仮説を立てられる。

●生涯発達

【乳幼児期】
新生児微笑→生理的微笑。自発的におこなっている。
生理的欲求に基づく興奮。
共同注意→親と同じものを見る。
     「他者⇔自分」から「他者⇔対象⇔自分」へ。
分離不安は愛着関係も反映。
社会的参照→親の反応を見て自分の感情や行動を決める。
社会化→言語や慣習など社会の価値観を取り込んでいく過程。
1語発語ができるようになった幼児は表出より理解する言葉の方が多い。
幼児期の第1反抗期→自己抑制の発達。

感覚遊び(生後1カ月~2歳頃)→運動遊び(乳児期~学童期)→模倣遊び(2~5歳)→受容遊び(1歳~学童期。実際に楽しめるのは5、6歳~)→構成遊び(1歳~学童期)
【学童期】
向社会的行動が著しく発達。
ギャングエイジ→閉鎖的な集団で集まって遊ぶ小学校中学年程度の年代。

【思春期・青年期】
性的成熟。個人差あり。第2反抗期あり。
心理・社会的モラトリアムの発生(大人になる準備期間)
アイデンティティの形成時期。
モラトリアム→社会に出るまでの猶予期間という意味が込められている。
アパシー→無気力無関心
スチューデントアパシー→学業への無関心。

【中年期】
体力や能力の限界を認識。自己の課題を見つめなおし達成すべき時期。

【老年期】
個別性や多様性に富む→生物的影響よりも環境的影響が強い。

高齢社会用語↓
プロダクティブエイジング→高齢でもやりがいを見つけ自身の力を他者のために役立てる。
活動理論→積極的に役割をおこなうことでよい老後に。という考え。
離脱理論→社会的な活動からは徐々に離脱するのが吉という考え。
サクセスフルエイジング→加齢に適応し健康で幸せな老後を送る。1980年~蔓延。
エイジズム→高齢者に批判的・差別的な扱い。
ライフコース→加齢過程を重視し、個人がたどる多様な生活過程を明らかにする。
社会情動的選択理論→老年期は情動的に満足できる目標や活動を重視すうようになるという個人の適応の視点からの理論。

心理的特性
社会からの孤立感や死に対する不安や恐れを抱きやすくなる。
自己防衛的、受け身、衝動的な行動。抑うつや心気的になりやすい。
心理的な問題≒身体的問題
カウンセリングや身近な者の提供するサポートが重要。

認知的特性
高齢になるほど身体機能と知的能力の関係が密接になっていく。
キャッテルRB「流動性知能と結晶性知能」
流動性知能→30歳くらいまで発達して以降低下。ワーキングメモリーやエピソード記憶。
結晶性知能→知識や経験を日常生活に落とし込む。低下しづらい。意味記憶や手続き記憶。

●愛着理論

【愛着(アタッチメント)】
愛着行動→後追い、微笑など
ボウルビィJ…内的ワーキングモデル(養育者との相互作用がその後人生の対人関係に影響)
       愛着行動は生得的なものである。

【安全基地】 
子にとっての親。近くに存在を感じるだけで探索活動や人間関係を広げられる。

【ストレンジシチュエーション法】
エインズワースMD。分離不安の出現など、乳児と母親の愛着の質を測定する実験法。
愛着の質
Aタイプ(回避型)子:無関心で母が安全基地でない。母:子に否定的、統制的、微笑や接触少ない。
Bタイプ(安定型)子:母が安全基地。母:子どもの変化に敏感。遊びや接触を楽しむ。
Cタイプ(葛藤・アンビバレント型)子:離れると混乱。再開時は怒りや攻撃性
                 母:気分により左右され一貫していない。
Dタイプ(無秩序・無方向型)子:矛盾した行動などあり不安定。
              母:精神的に不安定、虐待などが発生する場合もあり。

【愛着障害】
虐待やネグレクトなど愛着を得られず育って起こる。他人への過度の警戒(反応性)や見境なく愛着を示す(脱抑制性)などが見られる。

被虐待児の特徴↓
高い攻撃性、無差別的愛着行動、反復傾向(新しく出会った大人に対して自身への虐待を求める)、自己概念の障害(自己否定的)、偽成熟性(虐待を防ぐために大人の気持ちや行動に敏感になる)

●障害受容

【障害の受容過程】
中途障害者の障害受容はキューブラーロスEの「死の受容過程」をたどる。
否認→怒り→取引→抑うつ→受容 の5段階

ドローターDは障害のある子どもの保護者の受容を
ショック→否認→悲しみと怒り→適応→再起
という段階だと提唱した。

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