創りたいのは、事業じゃなくて、法律業界の未来 - メンバー紹介 津金澤
こんにちは。Legalscapeの津金澤(つがねざわ)と申します。タイトルで「創りたいのは事業じゃない」と言っておきながら、会社では主に事業開発を担当しています。今回は、私がLegalscapeに参画したモチベーション・きっかけと、Legalscapeが何をやっているのかをお話できればと思います。
技術を本当に世の中に役立てるために、まずは技術から離れた世界に浸かる
まず自己紹介です。私は大学では理学部情報科学科、その後大学院でコンピュータ科学専攻に所属し、卒業後はIGPI(経営共創基盤)というコンサルティング・ファームに入社しました。学部時代から、技術研究・開発そのものよりは、それを社会として、どのように受け入れ・使いこなすべきか?という点に興味があり、技術から経営へと歩みを進めました。
その想いを強くしたのは、在学中の医療系プラットフォームベンチャーでの経験です。具体的には、機械学習を使った集客導線の最適化などを行っていたのですが、技術×社会の関わりとして大きく3つのことを思いました。
① 技術知見・アルゴリズム・プロダクトが現実の成果につながることは、自分として嬉しい&楽しい
② ただ、ナイーブな機械学習の適用だけでは、既存事業のパラメータの探索・チューニングに過ぎず、またピュアなアルゴリズムスペックが競争優位の源泉になる時代は終わった(というより勝負がついた)
③ これからは、技術をいかに顧客・環境のコンテクストに沿った体験価値として具現化していくか?がメインの競争領域で、そのためには事業・社会の構造・力学を知る必要がある
その考えから、技術の持つポテンシャルを最大限に引き出すために、むしろ一旦技術から離れ、事業・社会の課題解決にどっぷりつかれるIGPIに入社しました。
今この瞬間の自分だから出会えた「Legalscape」というビジョンと仲間
IGPIには、いくつもの修羅場をくぐったマネジメント・プロフェッショナルとしての透徹した知性とリアリズム、また、社内外を含め一流のプロフェッショナルと仕事・空間を共にできる素晴らしい環境がありました。またその中で、僕自身も様々な経験をさせていただきました。ただその環境にあって(むしろそんな環境だったからこそ)、自分として、どういう立ち位置で技術・社会と関わりたいか?「技術の社会実装」の自分にとっての本質はどこにあるか?というのは常に論点であり続けました。
そんな折に、八木田・城戸と会話する機会がありました。2人は私の学部・院での同期で、卒後しばらくぶりに会いお互いの近況を話していたのですが、彼らからLegalscapeのビジョン・取り組みについて聞いたとき、Legalscapeこそ自分が思い描いていた「技術の社会実装」のリアルな絵姿だと直感しました。
Legalscapeの「法律情報が持つ特性と自分たちの持つ自然言語処理技術(特許含む)をテコにし、法律業界にどっぷり浸かる中で、技術変革をする」という取り組みがまさに自分に刺さったわけです。さらにその後も何度も議論を重ね深めていく中で、「これは面白いし、絶対いける。これからもっと面白くなる」と確信するに至りました。当時は、当然ビジョンも事業も今より粗削りでしたが、コアとなる思想と、これからそれを一緒に磨いていける仲間も込みで、「Legalscape」という存在に強く惹かれるようになっていったのです。
またIGPIで仕事をする中で「真のプロフェッショナル」に対する深い尊敬と憧れの念を抱くようにもなっていました。法という日本の社会インフラを支えてきたプロフェッショナルの一助になりたいと、心の底から思えたことも法律業界に身を置くことを決意した決め手でした。
IGPIでは本当に多くの経験を積むことができましたし、貰いっぱなしでここで本当にやめていいのか?自身のプロフェッショナルとしての在り方として正しいのか?もっと多くのことをこの場所で学ばなくていいのか?何度も考えました。しかし、一度、知る・気付くと、もうその前の世界には戻れない感覚、シンプルに「どうしてもやりたくて、体が動いてしまう」ことを抑えることができなかった、というのが正直な気持ちです。
業界の技術変革のまさに当事者として、ビジョンを同じくする仲間と0→1で事業を作り上げられるのは、今この瞬間の自分にしかできない、と思い参画を決めました。
創りたいのは、事業じゃなくて、法律業界の未来
Legalscapeが何をやっているか?に対するど真ん中の答えについてはHP/プレスリリースや城戸の書いた記事(下記リンク参照)に譲るとして、ここでは私なりの意味づけ・考えをお話します。
Legalscapeは、一言で言えば、法律版のGoogleです。法律情報の電子的な一元化と自然言語処理による解析・ネットワーク化により、法令、判例から書籍、論文、果ては契約書等の実務文書に至るまで、あらゆる法律情報の収集・分析・解釈、また、新たな法・法律情報の創出をより速く、深くできるような情報基盤を目指します。
とはいえ、パッと聞くと、リーガル×電子化、ということで、「最近流行りのテックの波がついにリーガルにも来たってことだよね」、「要するに便利な電子書籍リーダーってことだよね」と思われるかもしれません。確かにそういう側面もありますし、私も対外的に説明をするときは、分かりやすくそう表現することもあります。
しかし、我々が取り組んでいること、Legalscapeの位置づけに関して、単に時流に乗っているだけではない、コアとなる考えがざっくり3つあります。(具体的には是非直接お話させてください!)
① 単なるDXではなく、法律業界における知的生産に技術革新をもたらす:
シンプルなデジタル化やAI導入に留まらない、法律言語特有の技術的解決アプローチが、法律情報そのものの可読性・可用性を飛躍的に向上させ、あらゆる法律家の実務・研究の礎を築きます。
② 単なるSaaSサプライヤーではなく、業界コラボレーターを体現する:
法律業界は長い歴史と高い専門性・公共性、またそれ故に特殊な性質・複雑な構造を持つ業界です。そのような業界において本質的な課題解決・技術革新を実現したいからこそ、プロダクトアウト的なSaaSサプライヤーとしてではなく、業界全体と協働するコラボレーターとして、技術革新のリアルな道筋を付けます。
③ 単なるPMF(Product Market Fit)ではなく、PEF(Product Ecosystem Fit)を目指す:
スタートアップを評価する軸として、PMFしているか否かというのがあります。日本語に訳すと「互いにふさわしい製品と市場があるか?」というところだと思いますが、これは(当たり前ですが)本当に重要で、スタートアップに限らずあらゆる製品事業はこれを目指していると思います。ただとりわけスタートアップにおいては、本当にこれしかやることがない、これができなければ即刻全てが終了、ということで、PMFがあるか否か?というのが評価の第一義的な尺度になっています。
しかし、我々としては、PMFはあくまでプロダクトアウト的なスタートアップに焦点をあてるコンセプトであって、それだけでは我々が今何を目指しているのか?の本質を捉えられないと考えています。我々は勿論、「Legalscape」というプロダクトに自信を持っていますが、それだけではなく、プロダクトを中心とする法律情報の流れやそれを取り巻く業界のエコシステムとして我々が描く「あるべき姿」にも自信を持っています。
それゆえプロダクトを単に市場で売るという平面的な取引関係ではなく、プロダクトを通じたあるべきエコシステムの実現可能性、いわばPEF(Product Ecosystem Fit)の達成が我々の目指しているものです。チャレンジングではありますが、本質的な課題解決・技術革新に不可欠であると考え、取り組んでいるところです。
Legalscapeは、シンプルな技術ドリブンではなく、業界の当事者として、業界全体を巻きこみながら、技術変革の現実解を探求します。大変ありがたいことに、現在に至るまで、法律事務所様、出版社様、行政・司法を含め様々な方々と広く協働させていただきながら、「Legalscape」とそのエコシステムの実現に向け着実に歩んでいます。
技術者として手を動かすからこそ、より本質的な課題が見える
Legalscapeが最も大事にしているのは、当事者としてのリアリズムに基づく現状に対する深い洞察と、最先端の技術的視座からこそ描き出せる「あるべき姿」を、絶妙なバランス感覚の元で、問題解決につなげることです。
「技術実装」は当然、問題解決の一つの手段に過ぎませんが、「技術理解」が無ければ問題設定すらできない。そこに我々技術者が当事者として問題解決の最前線に立つ意義があると考えています。
既にほぼパッケージ化された「AI」、「機械学習」を、それありきではないにせよ、問題解決の一部に組み込むのとは一線を画す、より本質的な問題設定に我々は取り組んでいます。
今後の人生を共に生きる仲間と、今、Legalscapeを実現したい
多くの要素が複雑に絡み合い、かつ急速に変化していく時代にあって、一個人だけで、あるいはスタティックなチームだけで、世界で起きていることを知り、未来を洞察することは、より難しくなっています。
Legalscapeは、ゆえに、「自分の意志であるべき世界を描き、自らの専門性の重心を持ちつつも、チームとしてのりしろを重ねあい、それを実現できる」仲間を常に求めています。チームメンバーそれぞれの描くあるべき世界の現在における重なりがLegalscapeです。
2020年5月現在、国家的・世界的な未曽有の事態において、弊社ではリモートワーク推進という側面からの一助になるべく足元の事業を進めております。このような状況にあって、仲間とこの事業に専心でき、少しでも社会に貢献できることの喜び、貢献することの責務を感じています。
Legalscapeに少しでもご興味を持ってくださった方、是非、一度お話させてください。一緒に「法が描く景色」Legalscapeを実現しましょう!