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【寄稿】りーぷらイベント 5/31開催 リーガルテックイベント 視聴後レポート(後編)

こんにちは。覆面法務ライターのフクダと申します。
「りーぷら」から、視聴後のレポートを作成してほしいと依頼があり、後編を寄稿します。
フクダの身元を知っている方も、ぜひ覆面はそっとしておいてください。

前編の記事こちらです。

前編同様ですが、参加企業の商品宣伝は1割も無く、むしろ、3名とも会社の代表者としての顔を忘れてテクノロジーの進歩と将来の夢を熱く語り始め、事務局までそれに乗っかるという文字では説明しきれない臨場感があり、「3年から8年先の法務部門の新しい役割」も見えた1時間でした。

最後は各登壇者、語り足りなさそうになっていましたので、次回も楽しみにしています。

以下、とくに主語のないものはディスカッションの内容書き起こしです。
記事用の録画も見返して記載してはいますが、あくまで速記ベースであることご容赦ください。
※「法務」とは基本的に企業法務部門または法務担当者を指しています

2.ChatGPTで変わる法務業務

・該当人物のデータを読ませて思考クローン体を作ることが流行ったが、本人が見れば質問と、それにあう回答データを任意の過去データから確からしさを推定して引っ張ってきているだけなので、正確性に欠けることが分かり、また創造性が必要な業務で自分の意図を汲んだアウトプットを出すには向かない(自分の代りをもう一人とはいかない)。
とはいえ一方で、自然言語が流暢に返ってくるので、虚偽と気づきにくくなる(データガバナンスの問題も含まれる)

 ・癖があるので使い続けることが良いのでは?
(ChatGPTという先端テクノロジーの「人となり」を知る。)

・エンジニア発想では、専門性に頭の領域を振り分けるサポートツールとしてのおもしろさがある。
例:「メールの言い回しを柔らかくして」、とGPTに投げるとかみ砕いた柔らかい表現で返ってくる。

・そもそも入力系のユーザーインターフェースが口語体の自然言語でできることにより、事業部の曖昧な質問にも対応できるようになり、敷居を引き下げるメリットが発生するかもしれない。

・月数十万円までならアシスタントとして雇っても良いとすら思える。少なからずAIが得意とする業務分野のみに固執していた人は、その業務をAIに代えられるかもしれない。
しかし時代と環境の変化や会社全体を俯瞰して、求める価値を提供しつづけられる法務にとっては、機能領域が変化するチャンスにもなる。(熟練の職人から監督へ

・アメリカのテック企業などでAIチームの解体の話を聞くが、日本のAI技術陣がその職を失うことは無く、むしろ補完的になるのでは?AI契約レビューが出てきたときの「これじゃない」感をChatGPTのような「生成AI」は完全解消するかもしれない。
(すぐ近い未来に、これは誕生するかもしれない)

・法務不要論にもつながるか?という質問には、ユーザーがChatGPTに何を求め、どのように使うか?によっても変わる。例えばリスクの高低によって承認要否や関与度合いを変えることも考えられる。

・この領域は各社がバラバラに進めるより、ユーザー企業も含めて一緒に検討して開発を加速していくというマインドで対処していくことも必要なのかもしれない。 

3.結びに変えて(フクダ感想)

本イベントでは、各プロダクトの機能詳細比較はありませんでしたが、各社の違いの素となる設計思想をディスカッションを通じ各社代表の創業時の想いを通じて紐解くアプローチがなされました。

それにより、登壇各社は単なるプロダクトベンダーの集合体としてではなく、イベント終盤には、同じ時代を共有する仲間のような一体感すら醸成されたような印象を持ちました。

フクダの意見としては、短期的なプロダクトとして使える使えないに終始せず、ユーザ企業側体制の再構築とビジネスエンジンを考える際のパートナーとして長期に付き合える企業か?という観点を加えてみても面白いかと思いました。

(リーガルテック・サービス提供をいただいている各社においても、企業法務部門は最近着目を浴びているとはいえ、社内予算の獲得にもITの整備にも苦労している会社が多いので、法務部門=意思決定の遅い面倒な顧客ではなく、一緒に課題を解決していけるようなパートナーとして育てる相手と見ていただければ幸いです。)

 お読みいただきありがとうございました。

■事務局から

本イベントの様子をお伝えするべく、後編も寄稿いただきました。

「先端のところはまだまだ結論が出せない」という結論に至った点も含め、ディスカッションのライブ感はかなり個性的な仕上がりになったかと感じています。

登壇いただいた各社さま、ご視聴いただいたみなさま、記事をお読みいただいたみなさま、誠にありがとうございました。改めてお礼申し上げます。

フクダさんご自身もかなり語りたいところがあるとのことですので、りーぷら単独のスピンオフ会では、覆面のまま(方法は事務局でも検討します)、この記事の追加解説をしてもらうのがいいのかなと企画を立てています。

フクダさん、ありがとうございました!(ほどほう)

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