間 気楽

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[20分小説]女神信仰 第2章

 三四郎と志成は、リギュンたちに案内されるがままに、外に止めてあった荷馬車に乗り込んだ。かなり大きな荷馬車だった。全体が屋根と壁に覆われていて、荷台の外見は小さな家のようであった。中には、食料、水、服などの日用品と武器がたくさん積まれており、そこに、8人全員が乗り込んでもまだ余裕があった。前方には馬が10頭も繋がれており、鞭によってではなく、御者席に座ったドンスの号令によって走り始めた。ナガシは、海艶を慎重に布団に寝かせ、そのすぐ隣に座った。ドンスとナガシと海艶以外の5人は、

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       今、僕の後ろには、イケメンが立っている。黒髪で、制服を着た、高身長の、おそらく僕と同い年くらいの、イケメンが。このイケメンは、僕以外の人間からは見えていないようだ。学校から家に帰る時も、トイレをするときも、お風呂に入る時も、常に僕の背後に無表情で立っている。僕は最初、このイケメンは僕の守護霊なのだと解釈した。そして、試しに彼に次の質問をしてみた。 「もしかして、君は僕の守護霊なのかい―?」  すると、そのイケメンは首を横に激しく振った。僕が、「もういいよ」って言うまで、

      • [20分小説]女神信仰 序章&第1章

        序章  ここ、足高村には、女神がいる。女神は、その圧倒的な美貌と愛嬌で人々を魅了する。女神は、その美しさと可愛さだけでなく、音楽や舞を得意としていて、彼女の歌や楽器演奏、踊りに、足高村の人々は、心酔する。足高村の人々にとって、彼女の存在は憧れではない。彼女は村の人々にとって、その日その日を生きる理由であり、彼女が幸せで、健康であり続けることが、彼らの幸せである。だから、足高村の人々は、毎日働き続ける。働いて、働いて、自分が得たお金を、彼女に献上する。正確には、村の人々は、村

        • [1分小説]深海魚

          「おい、深海魚ー。」    ヒロトは、クラスメイトに後ろからそう呼ばれて、「またか」と思った。 「なんだよ、お前らだるいって。」    そう答えると、クラスメイトは爆笑していた。    最近クラス替えがあった。もともと仲のいい友達も何人かいて、そこそこ楽しい。だけど、最近は容姿へのいじりが増えてたきたように思う。まあ、別にいいんだけど、そこまで気にしてないし、周りが笑ってると、なんだか悪い気はしない。でも、時々、なんだか胸がゾワゾワする。僕はクラスの生活委員になった。生活委

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