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#214 「学校法人 関西大学事件」大阪地裁

2008年8月20日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第214号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【学校法人 関西大学(以下、K法人)事件・大阪地裁判決】(2007年11月29日)

▽ <主な争点>
修学旅行引率中の飲酒行為等と停職処分の効力

1.事件の概要は?

本件は、K法人が設置する高等学校の英語教諭であるXが、修学旅行引率中の飲酒行為等を理由に同法人から受けた停職3ヵ月の懲戒処分が無効であるとして、(1)懲戒処分の無効確認、(2)懲戒処分により支給が停止された給与等、(3)懲戒処分により支給が停止された年末手当、(4)懲戒処分が不法行為であるとして、慰謝料等の各支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<K法人およびXについて>

★ K法人は、大阪府吹田市等において、大学、高等学校、中学校、幼稚園を設置している学校法人である。

★ X(昭和39年生)は、平成5年4月、K法人に雇用され、高校および中学校の英語科専任教諭として勤務している者であり、17年度は高校3年生の授業を担当し、18年度は高校2年生の担任を務めていた。

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<本件飲酒に至った経緯>

▼ Xは平成18年2月、修学旅行(北海道ルスツでの2年生約230名が参加したスキー学舎)に引率教諭の1人として同行した。同月4日午後の飛行機で帰阪する予定であったが、搭乗予定の飛行機が欠航になったため、同日は札幌市内のホテルに分宿し、翌5日午前の便で帰阪することになった。そこで、一行は空港からバスに便乗して飲食店に行き、各自で夕食をとった後、宿泊先のホテルに移動した。

▼ Xは夕食の際、同じ教諭であるB、CおよびDと同じテーブルであったが、その席上、X、BおよびDは、各自中ジョッキ1杯のビールと、3人で1本のワインを飲酒した(以下「本件飲酒」という)。なお、Cは飲酒しなかった。

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<本件飲酒に関する校長、保護者らの対応>

▼ 高校の校長であるAは、同月9日の高校2年生の教育後援会(注:在校生の保護者による組織)会議と、同18日の教育後援会実行委員会において、本件飲酒について保護者から指摘された。

▼ A校長は、Bに本件飲酒に関する事実を確認し、本件飲酒に関わったXとDにも、校長室に来ることを伝えるよう依頼したところ、同校長は、BおよびDに対し、緊急事態に飲酒したとして厳重注意した。しかし、Xは校長室に行かなかった。

▼ K法人はその後も教育後援会との面談において、保護者から本件飲酒について学校側の姿勢を問題とされ、4月下旬、A校長、E教頭、F事務局長、B、Dおよび教育後援会実行委員約20名が出席して、本件飲酒に関する話し合いを行い、A校長らが保護者に対して謝罪し、反省の意を示した。しかし、Xは体調不良を理由に欠席したところ、保護者側はXに5月中旬の話し合いに参加するよう求めた。

▼ 5月中旬、A校長、E教頭、F事務局長、X、Cと保護者約25名が出席して話し合いが行われ、Xは本件飲酒に関する説明を行い、「本件飲酒については、2ヵ月以上も前のことで記憶が不確かである。学校行事における飲酒についてこれまで咎められたことはなく、K法人では特別な行事における程度をわきまえた飲酒は不祥事として扱われてこなかった。本件も緊急事態との認識はなく、教師に謝罪を求めることが良い学校作りに役立つとは思えない」などと述べた。

▼ 保護者らは、Xらの話を聞いて不信感を示したところ、Xは「緊急事態であると現地で察することができなかったこと、自分が飲酒した可能性が一部でもある以上、保護者に不安を持たせたことについて申し訳ありません」等と述べた。

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<本件停職処分に至る手続き>

▼ 同月下旬、K法人の理事長はA校長らに対し、X、B、CおよびDに対する懲戒処分について、懲戒委員会の開催を求めたところ、6月上旬の懲戒委員会において調査部会の設置を決定し、調査部会は、同人らに対し事情聴取を行った。懲戒委員会は、数次の協議の結果、BおよびDについては譴責相当の決議をした。しかし、Xについては停職相当が7名中5名、Cについて譴責相当が7名中4名で、いずれも4分の3以上の賛成に達しなかったため、決議に至らなかった。

▼ A校長は、理事会に対し、協議結果の報告と、懲戒委員会協議結果に対する同校長からの付帯事項を提出した。付帯事項には「BおよびDについて、情状酌量の措置を求めること、Cについて、譴責相当の結論を出した委員から情状酌量の措置を求められていること、Xについて、飲酒の判明後、A校長および保護者に対する極めて不誠実な対応を行い、本校の名誉を汚す結果になったこと、保護者から教員の資質という点で問題があると指摘された点を懲戒の対象とするか否かで意見が分かれたこと」等が記載されていた。

▼ 8月、理事会小委員会は、B、C、DおよびXに対し、事実確認を行い、弁明の機会を設けた。K法人は、理事会の決定を踏まえて、B、CおよびDに対し、譴責の懲戒処分を行い、Xに対し、職員懲戒規程第3条1号、3号および6号に該当するとして、停職3ヵ月の懲戒処分を行った(以下「本件停職処分」という)。

▼ K法人はXに対し、本件停職処分に伴い、停職期間における出勤を停止し、停職期間中の給与および年末手当を支給しなかった。

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<職員懲戒規程の内容について>

★ K法人の職員懲戒規程には、以下のような定めがある。

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