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#484「シリコンパワージャパン事件」東京地裁

2019年4月3日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第484号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【シリコンパワージャパン(以下、S社)事件・東京地裁判決】(2017年7月18日)

▽ <主な争点>
メールのCCに上司を入れる指示に反したことによる普通解雇など

1.事件の概要は?

本件は、S社がXに対して指示違反(電子メールを送信する際、上司のアドレスをCCに入れなかったこと)等を理由として平成27年11月に普通解雇(本件解雇)したところ、本件解雇の無効を主張して、労働契約上の地位の確認およびバックペイ等を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<S社およびXについて>

★ S社は、コンピューターおよびその周辺機器の販売、輸出入等を目的とする会社であり、台湾に所在する会社の日本における支社という位置づけの会社である。

★ Xは、平成26年9月、S社との間で賃金月額32万円との約定で労働契約を締結し、同社の営業担当従業員として勤務していた者である。

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<S社の従業員数、組織、就業規則の定め等について>

★ XがS社に雇用されていた当時、同社の従業員数は代表取締役社長であるAを含めて20名弱であった。また、S社には社内組織として、営業、マーケティング、技術サポートおよび総務または管理の各部門が設置されていた。

★ S社の就業規則には、「従業員が同社に損害および不利益をもたらせたと認められたときまたは勤務成績および業務能率が著しく不良で従業員としてふさわしくないと認められたときは解雇するものとする」との定めがある。

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<本件解雇に至った経緯等について>

▼ Xは27年1月からS社のマーケティング部門所属となった。また、同年2月、Bが同社に雇用され、その後、部長として営業部門およびマーケティング部門を統括することとなった。

▼ AはXを含む従業員らに対し、同年3月、「営業各位、これからメールを出す時には社内、社外を問わずBさんをCCに入れてください。よろしくお願いします。」との旨記載した電子メールを送信した。

▼ Xは同年5月頃から7月頃までの間、従業員らに対し、S社が取り扱う製品の概要に係る情報を提供するメールを送信していたが、その際、常にCCにBのアドレスを入れていたが、同年7月頃から業務に関連するメールを送信する際、CCにBのアドレスを入れることなく送信するようになった。

▼ BはAに対し、同年11月5日、次の旨記載したールを送信した。
「本社から翻訳の依頼があり、Bはその業務を開始していたが、Xも本社に回答しているようである。Xは意図的にCCにBのアドレスを入れなかったので知る術がない。Xが対応しているならば、Bが開始した業務が無駄になることになる」
「XがBにメールを入れないなどの姿勢が根本的に駄目である。再度、Xに対して指示をしてほしい」
「Xの今後のメールに係る規則の順守状況等が悪い場合には、即時、Xにはマーケティングから抜けてもらおうかと考えている」

▼ AはXに対し、同月9日、メールのCCにBのアドレスを入れるよう指示したが、翌10日、Xは業務に関連するメールを送信した際、CCにBのアドレスを入れなかった。

▼ AはXに対し、同月11日、「X殿、Bさんを必ず入れるように。これは命令です。A」との旨記載したメールを送信した。その後、Xは同日、合計5回、業務に関連するメールを送信したが、そのいずれのCCにもBのアドレスを入れなかった。

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