#25 「炭研精工事件」東京地裁(再掲)
2004年2月10日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第25号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【炭研精工(以下、T社)事件・東京地裁判決】(1990年2月27日)
▽ <主な争点>
経歴詐称等による解雇
1.事件の概要は?
T社は、Xが(1)公務執行妨害罪により逮捕勾留(こうりゅう)されたため9日間欠勤したこと、(2)採用以前に2回にわたり公務執行妨害罪などにより逮捕され、懲役刑に処せられていたにもかかわらず、採用面接の際、履歴書には「最終学歴:高等学校卒業、賞罰:なし」と記入し、面接の際にも履歴書の通りである旨を述べたこと等が就業規則の懲戒解雇事由に該当するとして、Xを懲戒解雇した。本件は、その懲戒解雇の効力が争われたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<Xについて>
★ Xは、昭和55年11月、T社に雇用され、以後旋盤工として勤務していた者である。
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<Xの勾留と欠勤等について>
▼ 61年3月16日に行われたデモ行進に参加したXは、公務執行妨害罪により逮捕され、引き続き同月27日まで勾留された(同事件については、その後不起訴処分となった)。そのため17日から27日まで休日を除き9日間連続して欠勤した。
▼ 同月17日、X名義で「3月17日から19日まで3日間事情により出社できない」という旨の届出書がX以外の従業員を通じてT社に提出された。しかし、同社が出社できない事情をXに問いただそうとしたところ、本人と連絡が取れなかったため、年次有給休暇の時季指定とは認められなかった。
▼ 同月20日、Xの代理人であるA弁護士から「逮捕されたため出勤不可能である」旨の欠勤届がT社に提出されたが、同社は正当な欠勤事由とは認められない旨の内容証明郵便をXの自宅宛に送付した。
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<Xの経歴、本件解雇に至った経緯、就業規則の定め等について>
▼ その後、T社がXの経歴を改めて調査したところ、次の各事実が判明した。
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