#471 「国立大学法人 O大学事件」大阪地裁(再々掲)
2018年10月3日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第471号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【国立大学法人O大学事件・大阪地裁判決】(2017年9月25日)
▽ <主な争点>
起訴休職期間の満了を理由とする解雇など
1.事件の概要は?
O大学の歯学研究所の助教として勤務していたXは平成24年4月、傷害致死の公訴事実により起訴されたことで、同大学の定める起訴休職制度に基づき休職処分を受け、その後、2年の休職期間が満了したことを理由に26年5月、分限解雇(本件解雇)となった。
本件は、Xが(1)主位的に本件解雇は無効であると主張して、O大学との間の雇用契約に基づき、同契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、身柄拘束を解かれた後である27年4月から本判決確定の日までの賃金の支払を求め、(2)予備的にO大学との間でXを再雇用させる旨の合意が成立していたのにこれに違反したと主張し、債務不履行に基づく損害賠償として、27年4月から17ヵ月分の賃金相当額の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<O大学およびXについて>
★ O大学は、平成16年4月に法人化された国立大学法人である。
★ Xは、平成5年4月にO大学の歯学部附属病院の教員(国家公務員)として任用され、16年4月にO大学が法人化したことに伴い、同大学との間で雇用契約を締結し、19年4月以降は歯学研究科の助教として診療業務に従事していた者である。
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<本件刑事事件、本件解雇に至った経緯等について>
▼ Xおよびその妻は24年3月15日、Xの実母に対する傷害致死の被疑事実により逮捕勾留され、同年4月5日に大阪地裁に起訴されるに至った(以下「本件刑事事件」という)。そのため、Xは就業規則上の起訴休職規定に基づき、同年5月3日付で休職扱いとなった。
★ Xらは本件刑事事件の審理において、認知症で激しく暴れていた実母を止めていただけであり、公訴事実記載の暴行を加えた事実はない旨主張していた。
▼ 大阪地裁は26年2月、本件刑事事件について、Xおよび妻が共謀の上、実母に対して暴行を加え、外傷性ショックにより死亡させたと認定して、傷害致死罪によりXらをそれぞれ懲役8年に処する旨の判決を言い渡した。Xらは同判決に対して控訴した。
▼ O大学は同年3月、Xに対し、起訴休職期間満了を理由として、同年5月2日かぎりで解雇する旨を通知した(以下「本件解雇」という)。
▼ 大阪高裁は27年3月、本件刑事事件につき、暴行罪により、Xらをそれぞれ罰金20万円に処する旨の判決を言い渡し、Xらは同日釈放された。
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<法人化前後のO大学における起訴休職制度、解雇に関する規定等について>
★ O大学が法人化される前はXを含む教職員には国家公務員法が適用されていたところ、同法によれば「刑事事件に関し起訴された場合」には休職させることができ、その期間は「その事件が裁判所に係属する間」とされていた。
★ O大学は法人化された際、就業規則(以下「本件就業規則」という)において、以下の内容の起訴休職制度および解雇に関する各規定を定めた。
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