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#462 「N社事件」東京地裁

2018年5月23日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第462号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【N社事件・東京地裁判決】(2017年2月22日)

▽ <主な争点>
著しい能力不足、勤務態度の不良を理由とする解雇など

1.事件の概要は?

本件は、N社の従業員として勤務してきたXが勤務成績不良、勤務態度不良等を理由にされた解雇は労働契約法16条(解雇)に反し無効であると主張して、同社に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに解雇されなければ得られたであろう賃金および賞与の支払を請求したもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<N社およびXについて>

★ N社は、コンピュータに関連する電子機器システムの開発、運用およびソフトウェアプロダクトの開発等の事業を行う会社である。

★ Xは、昭和57年4月、N社に期間の定めのない正社員として雇用された者である。当初はシステムエンジニアとして勤務していたが、平成2年頃から間接部門に配属されて勤務するようになった。

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<本件解雇に至った経緯等について>

▼ 平成24年5月頃、N社は業績が悪化したことから、間接部門に所属する40歳以上の全社員を対象として、早期退職者を募集した。同社はXに対し、早期退職者募集制度に応募するよう勧奨したが、Xは引き続き勤務したい旨の希望を述べた。

▼ Xは25年1月8日から甲社(業務委託先)に在籍出向となり、N社内のドキュメントセンターにおけるコピー、スキャニング業務等に従事したが、同月25日、同出向契約が解除となり、再度N社に復帰することとなった。

▼ N社は同年6月頃、再度Xを在籍出向させることとし、公益財団法人産業雇用安定センターに委託し、出向先の打診を行ったことがあったが、結局実現しなかった。

▼ N社は同年8月、Xに対し、26年2月5日付で解雇する旨の解雇予告を行い、同日、Xを解雇した(以下「本件解雇」という)。なお、同解雇予告通知書には解雇理由として、「当社従業員就業規則82条1項2号および同項4号の解雇事由に該当するため」との記載がある。

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