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#456 「ユニデンホールディングス事件」東京地裁

2018年2月21日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第456号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【ユニデンホールディングス(以下、U社)事件・東京地裁判決】(2016年7月20日)

▽ <主な争点>
退職金および減額分の賃金支払請求など

1.事件の概要は?

本件は、U社の元従業員であるXが同社に対し、雇用契約に基づき、退職金および未払賃金等、在職中の過酷な労働環境により精神的に不調に陥ったとして、不法行為に基づく慰謝料等の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<U社およびXについて>

★ U社は、エレクトロニクス事業を中心にゲーム事業および不動産業を行う会社である。

★ Xは、U社との間で平成23年6月、期間の定めのない雇用契約を締結した者である。

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<本件合意の内容等について>

▼ 23年6月、XはU社から送付された雇用条件通知書(以下「本件通知書」という)2通に署名押印し、そのうち1通を同社に返送した。

★ 本件通知書には「役職:部長、年俸:1466万6667円、退職金:年俸1年分」(以下「本件合意」という)等と記載され、「U社代表取締役」の記名および総務部長印が押印されていた。

▼ Xは同年7月、U社の社員として採用されるにあたって遵守しなければならない事項についての誓約書に署名押印し、給与辞令の交付を受けた。給与辞令には「役職:部長、年俸800万円、標準月収66万6667円、基本給53万3334円」等と記載されていた。

★ Xは同年7月1日からU社の管理本部人材開発部部長として就労を開始し、24年2月から9月までは人事総務部長を兼務し、その間、総務部長印を管理していた。

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<本件降格、退職に至る経緯等について>

★ XはU社入社以来、従業員等の中途採用の責任者を務めていたが、採用業務を担当した従業員の定着率が極めて悪いことから、勤務成績は不良と判断された。

▼ 25年4月、U社はXに対し、人材開発部部長から管理本部課長に降格する処分をし(以下「本件降格」という)、本件降格の効果としてではなく、賃金規程に基づいて、Xの賃金を月額54万1667円に減額する決定をした(以下「本件賃金減額」という)。

▼ Xは26年4月、U社を退職したが、その際、本件合意に基づく退職金の支払を請求することはなく、同社の確定拠出年金制度に基づいて、約70万円を受領した。

★ XはU社に入社してから退社するまでの間、本件合意に満たない賃金しか受け取っていなかったが、同社に対し、異議を申し立てたり、未払賃金を請求したりすることは一度もなかった。また、本件降格および本件賃金減額に不服を申し立てることもなかった。

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