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#495 「クロスインデックス事件」東京地裁

2019年9月18日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第495号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【クロスインデックス(以下、C社)事件・東京地裁判決】(2018年3月28日)

▽ <主な争点>
承認のない残業時間の労働時間性など

1.事件の概要は?

本件は、C社との間で雇用契約を締結し、通訳・翻訳のコーディネーターとして勤務していたXが同社に対し、労働基準法に従った平成26年11月から28年3月までの割増賃金等の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<C社およびXについて>

★ C社は、外国語の翻訳サービス、通訳の人材紹介・派遣サービス等を業とする会社である。

★ X(昭和54年生の女性)は、平成26年6月にC社との間で期間の定めのない雇用契約を締結し、同年7月から28年4月に退職するまで、通訳・翻訳部において通訳・翻訳のコーディネーターとして勤務していた者である。

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<C社の残業承認制度、本件係争時間等について>

★ Xの業務内容は、見積書の作成、電話やメールでの問い合わせ等への対応、翻訳者・通訳者の選定、翻訳チェック・校正・納品、通訳当日までの必要事項を顧客とやり取りした上で通訳者に伝達、必要に応じて顧客を訪問しての打合せ、請求書の作成・送付、担当分未入金調べ等であった。

★ C社において、従業員は毎日の出勤・退社時刻および休憩時間等を「出勤および交通費精算管理帳」(以下「本件管理帳」という)に15分単位で記入し、代表者の承認を得ることとされていたところ、午後7時以降の残業を行う場合には、代表者に対して、所定終業時刻である午後6時までに残業時間等を申告した上で残業を行う旨を申請し、その承認を得る必要があるとされていた(以下「残業承認制度」という)。

★ C社はXに対し、代表者が承認した本件管理帳記載の退社時刻に基づき計算した割増賃金を毎月の給与において残業手当として支給済である。

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