見出し画像

#116 「マンナ運輸事件」神戸地裁(再掲)

2005年12月14日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第116号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【マンナ運輸(以下、M社)事件・神戸地裁判決】(2004年2月27日)

▽ <主な争点>
女性従業員の深夜勤務への配置転換/業務命令違反等による懲戒解雇

1.事件の概要は?

本件は、深夜勤務への配転命令を拒否などしたことから、服務規律違反および就業規則違反に当たる非違行為があったとして、M社から懲戒解雇された女性従業員Xが、懲戒解雇を相当とする非違行為は存在せず、むしろ本件懲戒解雇はXに対する不当な人事で無効であると主張して、M社の従業員たる地位の確認および解雇後の賃金の支払いを請求したもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<M社およびXについて>

★ M社は菓子類および生鮮食料品の受・発注業務の代行ならびにこれらの商品の貨物自動車による運送を主たる業務とし、これを年中無休、24時間体制で行っている会社であり、50名を超える従業員を擁している。

★ Xは独身の女性であり、平成7年4月、M社に準社員として入社し、2トン貨物自動車の乗務員として勤務していたが、9年1月、正社員として登用され、同社のAセンター内事務所において、得意先への請求書類の作成・発送などの事務管理業務に従事するようになった。

--------------------------------------------------------------------------

<本件懲戒解雇に至った経緯>

▼ 11年6月、Xが賃金規程における年齢給の男女格差問題について、K労働基準監督署(以下「K労基署」という)に申告したのを受け、同年7月に同労基署はM社に対し、是正勧告を行った。

▼ これを受けて、M社は年齢給の遡及的是正については同社の財務状況等から無理であるとして、Xら2名に対し、請求権を放棄するよう要請・説得し、Xらはこれを了解したことがあった。

▼ M社はXに対し、11年10月から14年8月の間に数回にわたり配置転換を命じ、Xはその都度M社の配転命令に応じて業務に従事した。

▼ 14年8月1日、M社はXに対し、Aセンター2係から同1係に配置転換することを告知した(以下「本件配転命令」という)ところ、Xは同1係が午後6時から午前3時までの深夜勤務を常態とすることから、本件配転命令を拒否した。

▼ 同月3日、M社はXに対し、就業規則に違反したことを理由に、同年9月2日付をもって懲戒解雇をなす旨の通知をした(以下「本件懲戒解雇」という)。

--------------------------------------------------------------------------

<M社就業規則について>

★ M社の就業規則には、以下のような規定がある。

第38条 従業員が次の各号の一に該当するときは、次条の規定により懲戒解雇を行う。ただし、情状によっては、出勤停止もしくは減給処分にとどめることがある。
(2)本規定にしばしば違反したとき
(4)故意に業務の能率を阻害し、または業務の遂行を妨げたとき
(11)業務上の指揮命令に違反したとき
(13)服務規律に違反した場合であって、改善の見込みがなく、その事実が重大なとき

ここから先は

2,051字

¥ 100

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?