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#423 「N社事件」東京地裁

2016年11月2日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第423号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【N社事件・東京地裁判決】(2015年6月26日)

▽ <主な争点>
任務懈怠行為を理由とする元従業員に対する損害賠償請求など

1.事件の概要は?

本件は、N社が元従業員であったXに対し、在職中の任務懈怠行為により損害を被ったとしたことから、労働契約上の債務不履行責任に基づく損害として3600万円等の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<N社およびXについて>

★ N社は、コンピュータ、ネットワークシステムに関する電子機器およびソフトウェアの企画、開発、製造、販売ならびに技術サービス等を目的とする会社である。

★ Xは、平成15年10月、N社にアルバイトとして採用され稼働していたところ、16年11月、同社との間で17年1月以降、期間の定めのない労働契約(所属は社長直属、職務は製品マーケティング・マネジャー)を締結した者である。なお、Xの在職中、N社には就業規則はなかった。

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<C社との本件契約等について>

▼ 平成19年8月頃、N社はC社の日本における事業開発パートナーとなる旨の契約(以下「本件契約」という)を締結した。

▼ N社のA社長はC社代表者に対し、20年6月4日の段階で契約にある製品の日本語化、システムのテスト、各資料の作成等(当該業務)は全て仕掛かり状態である旨メールにて報告した。

▼ C社代表者はA社長に対し、同年6月7日のメールで、結果が見えず、それゆえにビジネス開発ができない状況では毎月7500ドルの支払を続ける余裕がない旨連絡した。

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<Xの解雇、N社の主張等について>

▼ N社は21年7月、Xを次のような理由により普通解雇する旨の意思表示をした
(1)業務命令の無視、反抗の態度
(2)職務遂行能力と遂行姿勢の欠落
(3)経営側への不合理な批判および本人の勤務態度等の不履行を顧みない態度

★ N社は本件訴訟において「Xは展示会の会場設営持込器具のリスト・梱包・持込みや設営状況チェックの確認担当者であったが、A社長から持参の指示のあったパソコンのキーボードの準備を失念し、製品のデモンストレーションの一部を実演できなかった等の任務懈怠行為があった」と主張している。

3.元社員Xの主な言い分は?

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