#455 「ラボ国際交流センター事件」東京地裁
2018年2月7日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第455号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 参考条文
★ 労働契約法
(有期労働契約の更新等)
第19条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。
一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。
二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。
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■ 【ラボ国際交流センター(以下、L法人)事件・東京地裁判決】(2016年2月19日)
▽ <主な争点>
有期雇用職員の雇止めと労働契約法潜脱の意図の有無など
1.事件の概要は?
本件は、L法人の有期雇用職員であったXが平成26年3月31日をもって雇止めされたところ、同法人に対し、同雇止めの無効を主張して、地位確認請求、賃金請求および損害賠償請求をしたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<L法人およびXについて>
★ L法人は、青少年交流プログラムを運営することを主体とした公益財団法人である。同法人の業務提携先として、ラボ教育センター(以下「教育センター」という)があり、国際交流事業に関する会員募集などの業務を委託している。
★ Xは、L法人において、高校留学プログラム(米国・カナダ)の企画運営等を行っていた者である。Xは業務委託を経て、平成16年4月、同法人に期間の定めのある嘱託雇用として採用され、以後更新を重ねてきた。
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<本件雇止めに至った経緯等について>
★ L法人は平成24年4月より公益財団法人として内閣府の認定を受け、より公益性を求められることとなり、そのため組織体制の改革と業務内容の見直しが必要となった。
▼ 25年12月、L法人はXに対し、同法人の課題や業務見直しの必要性を説明し、従来と同様な契約更新は困難である旨を伝えたが、Xとしては継続を望んでいた。
▼ 同月19日、L法人はXに対し、「26年4月1日より8月31日まで5ヵ月間契約を更新し、期間満了をもって同法人との契約は終了する、その後もXがグループ内での就職を希望する場合は教育センターとの間で別途契約を締結すること」を骨子とする提案を行った。
▼ 同月26日、L法人はXに対し、第1次的には26年8月31日まで契約更新し、9月1日以降は教育センターと契約締結との案を、第2次的には同法人との契約は期間満了をもって終了し、4月1日以降は教育センターと契約締結の案を提示し、さらに、期間満了と同時にグループ内での就労が終了する場合には慰労金(功労金)を支給するとの案を提示した。
▼ 26年3月、L法人はXに対し、契約を同年4月1日より8月31日までとし、その時点で慰労金(功労金)として1ヵ月分を支払う、9月1日からは教育センターと契約する旨の案を示し、両契約書を提示した。
▼ Xが上記の条件等を受け入れなかったことから、L法人はXに対し、現契約をもって雇用関係が終了となる旨通知した(以下「本件雇止め」という)。
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