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#126 「日本アグファ・ゲバルト事件」東京地裁(再掲)

2006年3月1日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第126号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【日本アグファ・ゲバルト(以下、N社)事件・東京地裁判決】(2005年10月28日)

▽ <主な争点>
人員削減を理由としてなされた解雇(整理解雇)の効力

1.事件の概要は?

本件は、N社の経理部財務課係長であったXが同社に対し、人員削減を理由にされた解雇は権利濫用にあたるとして、その効力を争い、労働契約上の権利の確認および賃金等の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<N社およびXについて>

★ N社は、写真感光材料等の輸出入および販売等を目的とする会社であり、ベルギーに本社を置くアグファ・ゲバルト・グループに属する100%出資の子会社である。平成16年12月当時、同社の従業員数は合計117名であった。

★ Xは昭和53年3月、N社に入社し、物流部等を経て、平成11年6月から経理部財務課係長として債権回収に係るデータ作成、請求書処理事務等に従事していた。

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<本件解雇について>

▼ N社は16年7月、Xに対し、同年8月末日をもって退職するよう勧奨するとともに、口頭で特別加算金を含む退職金額を提示した。

▼ その後もXとN社との間において、退職条件に係る交渉が続けられたが、結局、Xが退職に応じなかったことから、N社は16年9月16日、Xに対し、同年10月16日付で解雇する旨の意思表示をした(以下「本件解雇」という)。

★ N社の就業規則47条4号は「会社の経営または業務上やむを得ない理由があるとき」を解雇の事由として定めている。

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<N社の経営状況等について>

★ N社は、デジタル化によるアナログフィルム市場の縮小や経済不況により8年度には約191億円に達していた売上高が15年度には約106億円に減少し、16年度もベルギー本社の方針に基づく事業の譲渡により、さらなる減少が見込まれていた。

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