#521 「ドリームエクスチェンジ事件」東京地裁(再々掲)
2020年9月30日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第521号で取り上げた労働判例を紹介します。
■ 【ドリームエクスチェンジ(以下、D社)事件・東京地裁判決】(2019年8月7日)
▽ <主な争点>
内定取消の有効性、再就職先の試用期間満了時点における就労意思の判断など
1.事件の概要は?
本件は、D社の入社試験を受け、採用内定を得たXがその後、同社から内定を取り消されたところ(本件内定取消)、本件内定取消は、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないようなものであって、取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができない事実に基づきなされたものであるから無効であり、D社との労働契約は成立しているとして、同社に対し労働契約上の地位確認および賃金の支払を求めたもの。
2.前提事実および事件の経過は?
<D社およびXについて>
★ D社は、移動体通信事業、デジタルソリューション事業、旅行業法に基づく旅行業等を行う会社である。
★ Xは、平成28年12月、D社から正社員として採用内定の通知を受けたが、29年1月、採用内定を取り消された者である。なお、Xは総合旅行業務取扱主任者の資格を有している。
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<本件内定取消に至った経緯等について>
▼ D社は28年10月頃、企業・学校・個人向けの旅行企画・提案・手配、および旅行をキーとした新たなビジネスの企画・立案などを業務内容として人材紹介会社に依頼し、高レベルの即戦力人材の社員を募集したところ、Xが応募し、面接選考等を経て、同年12月、採用内定を得た。
▼ Xは前職(B社)において「セールスマネージャー」としてハワイ就航促進業務等に従事していたこと、および前々職(A社)において「ハワイ仕入業務」「ハワイ商品企画」「ハワイ・アメリカ方面手配・営業」等の業務に従事していたものであるが、採用内定後、D社はXの職務遂行能力等に疑義を持ったことから、Xの同意を得た上でA社およびB社に対しバックグラウンド調査を行った。
▼ その結果、A社から「18年以上も勤務しながら役職に就くことなく一般社員に終始した経歴から、どの程度のスキルであるかは加味していただきたい」などとするコメント、また、B社から「結論として当社が求めるレベルではなく戦力外と判断し、契約を打ち切った」などとするコメントがなされた。
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