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#437 「B市事件」大分地裁中津支部(再掲)

2017年5月24日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第437号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【B市事件・大分地裁中津支部判決】(2016年1月12日)

▽ <主な争点>
年休付与日数について虚偽の情報提供を理由とする損害賠償請求など

1.事件の概要は?

本件は、大分県〇〇郡A村と同村を編入したB市の非常勤職員として勤務していたXがB市に対し、A村ないしB市がXに対して(1)年休付与日数について、労働基準法(労基法)の最低付与日数を下回る虚偽の情報を積極的に提供したとして、公法上の義務の不履行または国家賠償法(国賠法)1条1項* に基づき、不足する年休日数に対応する賃金相当損害金の賠償を求めるともに、(2)年休の繰越しを認めない通知をしたとして、公法上の義務の不履行または国賠法1条1項に基づき、慰謝料の損害賠償等を求めたもの。


* 国家賠償法1条1項
「国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。」

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

★ Xは昭和54年4月、大分県〇〇郡A村(平成17年3月にB市に編入)から中学校の図書館司書として1年間の任期の非常勤職員に任用され、以後、平成24年3月に退職するまで、1年間の任期で繰り返し任用された者である。なお、Xは33年間にわたり、学校図書館司書の職務のみに従事していた。

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<Xに対する年休日数に関する情報提供、本件規則等について>

★ A村はXに対し、任用時および再任用のたびに雇用期間、1ヵ月の勤務日数、報酬月額等を明示した辞令を交付したが、辞令には年休日数は記載されていなかった。

★ B市はXに対し、再任用のたびに雇用期間、1ヵ月の勤務日数、報酬月額等および年休日数を「10日」と記載した任用通知書を交付した。

▼ B市は昭和63年6月、「B市非常勤職員の設置及び管理に関する規則」(以下「本件規則」という)を施行した。本件規則は地方公務員法3条3項に規定する非常勤職員の任用および勤務条件等について規定しており、同規則4条2項は「職員の任用期間は1年を超えない範囲で定めるものとする」、同16条1項は「職員の有給休暇は1年につき10日以内とする」と規定している。

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