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#350 「国家公務員配転無効確認等請求事件」東京地裁(再掲)

2013年12月11日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第350号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【国家公務員配転無効確認等請求事件・東京地裁判決】(2013年1月23日)

▽ <主な争点>
国家公務員の専門スタッフ職への配置換えなど

1.事件の概要は?

Xは国家公務員採用上級職試験に合格し、労働省(当時)に一般職として採用された者であるが、岐阜労働局長を務めた後、中災協に出向し、コンプライアンス室長等を歴任後、厚生労働省雇用対策課の障害者雇用促進研究官として採用され(本件第1処分)、その後、中労委事務局審査課の和解手法分析官に配置換えされ(本件第2処分)、現在も同職についている。

本件は、Xが本件第1処分および本件第2処分に裁量権の濫用があるとして、現職である和解手法分析官として勤務する義務のないことの確認と国賠法1条に基づき、本件第1処分から特別調整額が支給される官職等に就くまでの特別調整額相当額である毎月13万円の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Xについて>

★ Xは、国家公務員採用上級試験に合格し、昭和○年4月、労働省に一般職として採用され、その後、労働省大臣官房、同省労働基準局等を経て、日本障害者雇用促進協会(後に独立行政法人 高齢・障害者雇用支援機構に名称変更)、岐阜労働局等で勤務した者である。

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<本件第1処分、本件第2処分および専門スタッフ職制度等について>

▼ Xは岐阜労働局長を務めた後、国家公務員退職手当法7条の2の要請* を受け、平成○年7月から特別民間法人中央労働災害防止協会(以下「中災協」という)に出向し、コンプライアンス室長等を歴任した。

* この「要請」とは、国家公務員退職手当法の運用方針(昭和60年4月30日総人第261号)において、再び職員として復帰させることを前提として、退職出向することを慫慂(しょうよう)する行為とされている。

▼ Xは平成○年○月、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対策課の障害者雇用促進研究官として採用された(以下「本件第1処分」という)。その後、Xは平成○年○月、中央労働委員会事務局審査課の和解手法分析官に配置換をされ(以下「本件第2処分」という)、現在も同職に就いている。

★ 雇用促進研究官および和解手法分析官は、いずれも専門スタッフ職という官職であり、専門スタッフ職は行政の多様化、複雑・高度化に対応するため、公務において職員が培ってきた高度な専門的な知識や経験を活用するとともに早期退職慣行を是正し、在職期間の長期化に対応する観点から、複線型人事管理を導入することが極めて重要となったため、これまでのライン職を中心とした人事管理から複線型人事管理に転換していくに当たっての環境整備の一環として、高度の専門能力を持つスペシャリストに対して適切な給与処遇が行えるよう新設されたものである。

★ 専門スタッフ職俸給表以外の俸給表の適用を受ける職員が専門スタッフ職俸給表の適用を受けることとなった場合におけるその者の異動後の号俸は、当該異動をした日の前日にその者が受けていた号俸に対応する号俸とされている。

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<Xの給与、特別調整額の支給等について>

★ Xは岐阜労働局長当時、行政職俸給表(一)9級20号俸の支給を受けていた。同9級の標準的な職務の内容は本省の重要な業務を所掌する課の長職務または管区機関の長または管区機関の特に重要な業務を所掌する部の長の職務とされている。

★ Xは岐阜労働局長当時、行政職俸給表(一)9級一種の特別調整額(現在の額は13万0300円)の支給を受けていたところ、特別調整額とは管理または監督の地位にある職員の官職のうち人事院規則で定める者に対し、その特殊性にかんがみ支給される手当である(一般職の給与に関する法律10条の2第1項)。なお、Xは中災協勤務時にも特別調整額に相当する職務手当の支給を受けていた。

★ Xは雇用促進研究官に採用されたことにより、専門スタッフ俸給表3級14号の支給を受けることとなったところ、一般職の給与に関する法律10条の委任を受けた人事院規則9-17(俸給の特別調整額)には専門スタッフ職が支給対象に挙げられておらず、専門スタッフ職に対して特別調整額は支給されない。

3.職員Xの言い分は?

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