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#9 「プロトコーポレーション事件」東京地裁(再掲)

2003年10月15日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第9号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【プロトコーポレーション(以下、P社)事件・東京地裁判決】(2003年6月30日)

▽ <主な争点>
内定取消の合理性、内定時の職種限定の合意など

1.事件の概要は?

本件は、P社から採用内定を受けたことから当時の勤務先であったT社を退職したにもかかわらず、内定を取り消されたAがP社に対し、本件内定取消は違法であり不法行為を構成する主張して、不法行為による損害賠償として慰謝料300万円および弁護士費用の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<Aの採用取消に至った経緯等について>

▼ Aは、平成13年4月からT社で国内および海外旅行の企画営業業務に従事していたが、14年3月から国内旅行を中心に担当することになったため、海外旅行に関連する業務に従事できる会社への転職を考えるようになった。

▼ 14年5月、P社は海外旅行情報誌「Vee Travel」を15年1月創刊予定と発表し、転職情報誌およびホームページに社員募集情報(職種は「Vee Travel」の企画営業)を掲載した。これらを見たAは同年6月8日、同社に対して労働契約締結の申し込みをした。

▼ P社は6月14日、Aと面接の上、入社日を同年8月1日、従事すべき業務を「VeeTravel」の企画営業として採用を内定し(以下「本件内定」という)、Aにその旨を通知した。面接の際、P社はAに対し、異なる業務に従事することの可否は確認しなかった。

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