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#341 「コムテック事件」東京地裁(再掲)

2013年7月31日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第341号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【コムテック(以下、C社)事件・東京地裁判決】(2011年10月28日)

▽ <主な争点>
退職勧奨を拒否し続けた者に対する整理解雇など

1.事件の概要は?

本件は、C社に雇用されていたXが同社に対し、平成22年4月30日付でされた整理解雇が無効であるとして、地位確認とともに、未払賃金、賞与の各支払いを求めたもの。

勤務していた川口事業所の閉鎖決定後、C社からの退職勧奨を拒否し続けたXが解雇されたものであるが、同年2月末日時点において、同事業所には49名の従業員が在籍していたところ、整理解雇の対象となったのはX1名のみであった。

2.前提事実および事件の経過は?

<C社およびXについて>

★ C社は、システムコンサルティング事業、システムの開発・運用管理事業、営業支援・業務支援等の業務代行事業等を営む会社である。同社には、平成22年3月31日現在、子会社と連結で823名、C社単体で608名の従業員がおり、国内に16ヵ所の事業所、4つのグループ会社を有している。

★ Xは、平成12年3月、M社と期間の定めのない労働契約を締結して入社した者であるところ、C社は20年3月、M社を吸収合併したことに伴い、Xの使用者としての地位を承継した。

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<本件解雇に至った経緯等について>

▼ C社は川口事業所取扱業務に係る主要取引先であるMS社との契約が22年3月末日付で終了になることに伴い、同事業所を閉鎖することを決定し、21年12月、Xを含む同事業所の全従業員に対し、閉鎖の通告を行うとともに個々の従業員の処遇については個別に対応する旨を説明した。

▼ 22年2月5日、XはC社と個別面談を行った際、自身が従事してきた業務内容等を説明するとともに配置転換による雇用継続を要望し、同要望についてC社が検討することとなった。

▼ 同月16日、XはC社と面談した際、未消化の有給休暇の買取りを条件として、同年3月末日付での退職勧奨を受けた。これに対し、Xは同退職勧奨を拒否するとともに再度雇用の継続を要求した。

▼ 同年3月29日、XがC社の退職勧奨を拒んで雇用継続を求めたところ、同社はXに対し、同月31日付「退職条件」と題する書面を提示して、更なる退職勧奨を行った。なお、同書面の内容は、C社がXに対し、(1)同月31日付での退職(2ヵ月分の基本給の支払いと未消化分の有給休暇の買取りを行う)、または(2)同年4月30日付での退職(1ヵ月分の基本給の支払いと未消化分の有給休暇の買取りを行う)のいずれかを選択するよう求めるものであった。

▼ 同月31日、C社はXが退職勧奨を拒否したことを受け、同社就業規則41条5号に基づき、同年4月30日付でXを解雇する旨の通知(解雇予告)を行った(以下「本件解雇」という)。なお、C社就業規則41条5号は、「やむを得ない事業の縮小、または合理化による場合」において、社員を解雇することがある旨定めている。

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