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#34 「アサツーディ・ケイ事件」東京地裁(再掲)

2004年4月14日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第34号で取り上げた労働判例を紹介します。


■ 【アサツーディ・ケイ(以下、A社)事件・東京地裁判決】(2000年1月31日)

▽ <主な争点>
勤続年数不足で退職年金不支給

1.事件の概要は?

本件は、当初契約社員として雇用され、その後一般社員となり定年退職したXが、退職年金が支払われず、退職金の一部が未払いであるとして、A社に対し、未払い退職金の支払いを求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<A社およびX、D社との雇用契約の締結について>

★ A社は、平成11年1月、社名を「旭通信社」から「アサツーディ・ケイ」に改め、第一企画(以下D社)を吸収合併した。

★ Xは、昭和46年3月、雇用期間を一年とする技術契約社員としてD社に雇用され、以後毎年契約を更新してきた者である。

★ D社は、昭和60年になってXを管理職として長期雇用する意向を持ち、Xに対し、一般社員になるよう申し入れ、Xも承諾し、同年7月、Xを一般社員として雇用する契約を締結した。

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<Xの定年退職、退職金の支払等について>

★ D社の一般社員には退職手当金と退職年金(企業年金)が支給されるものとされており、いずれも一時金として支払いを受けることができた。

★ 退職手当金の金額は、退職手当基本給に勤続年数および勤続年数に応じた掛率を乗じて得られる額であった。これに対して、退職年金は勤続25年以上の一般社員に対し支給されるもので、年金月額は退職手当基本給の20%であり、一時金の金額は年金月額の92.296倍であった。

▼ Xは在職中からD社に対し、退職手当金および退職年金についていずれも一時金として支払うよう求めていた。

▼ Xの本来の定年退職日は平成11年1月4日であったが、D社がXに経済的な不利益は負わせないことを約束したので、合併直前の10年12月末日をもって、Xは同社を定年退職した。

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