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#547 「ハマキョウレックス事件(無期転換)」大阪地裁

2021年10月6日に配信した「会社にケンカを売った社員たち」第547号で取り上げた労働判例を紹介します。

■ 【ハマキョウレックス(以下、H社)事件・大阪地裁判決】(2020年11月25日)

▽ <主な争点>
フルタイムの無期雇用労働者間の処遇差など

1.事件の概要は?

本件は、労働契約法18条1項に基づき有期労働契約から期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換したXおよびYが転換後の労働条件について、雇用当初から無期労働契約を締結している労働者(正社員)に適用される就業規則(正社員就業規則)によるべきであると主張して、H社に対し、正社員就業規則に基づく権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに、労働契約に基づく賃金請求権または不法行為に基づく損害賠償請求権として、無期労働契約に転換した後の平成30年10月分の賃金について正社員との賃金差額(Xにつき9万1012円、Yにつき9万3532円)およびこれに対する遅延損害金の支払を求めたもの。

2.前提事実および事件の経過は?

<H社、XおよびYについて>

★ H社は、一般貨物自動車運送事業等を目的とする会社である。

★ Xは、平成20年10月、Yは22年9月、それぞれH社と有期労働契約を締結し、トラック運転手として配送業務に従事しながら、以後更新を重ねた者である。

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<Xらの無期労働契約への転換等について>

▼ H社は29年10月、有期の契約社員に適用される嘱託、臨時従業員およびパートタイマー就業規則(以下「契約社員就業規則」という)に無期転換に関する規定を追加する等の改定を行った。

▼ Xらは30年4月、H社に対し、労働契約法18条(有期労働契約の期間の定めのない労働契約への転換)1項に基づき、無期労働契約への転換の申込みをし、同社の間に10月1日を始期とする無期労働契約が成立した。

▼ Xらは同年11月、H社との間で無期転換後の労働条件は契約社員就業規則による旨の記載のある無期パート雇用契約書を交わした。

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