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実力も資産も要は複利効果が重要なんだと思う-ベテラン選手はよく練習する-


なぜキングカズは50歳を超えても活躍し続けるのか?

10年ほど前、「Going!」(日テレのスポーツ番組)でキングカズこと三浦知良選手の自主トレが特集されていたことがあった。あの当時で40代にさしかかったあたりだったんだろうと思う。当時の練習メニューは20代の選手と同等、いや、それ以上の練習量だった記憶している。
当時、その映像をみた私は「20代の選手ならともかく、40代でこれだけハードワークだと怪我した時にそれが選手生命に致命傷になるのではないか?」「年相応のトレーニングにした方がいいのではないか?」と感じていた。だが、2024年現在、三浦カズ選手は57歳で現役のサッカー選手である。
じゃあ57歳までなぜJリーガーとして活躍できるのか?私はこれは「複利効果」によるものと推測している。

複利効果とは?

複利効果とは投資の際によく使われる言葉で下記のとおりである。

複利効果とは、運用で得た利益を再び投資することで、利益が利益を生み資産が増える効果のことです。資産運用の場面では、投資信託の分配金など、運用益を再び投資に回すことで、利益が利益を生み、雪だるま式に資産が増えていくとされています。

出典:松井証券HP

要するに、投資の「複利効果」の享受を受けるためには、配当金が入ったからといってご褒美に使うのではなく、再投資するようにしましょう。ということが言いたいわけです。

この「複利効果」、アインシュタインが「人類最大の発明」と称したほどの効果なのである。

では、この複利効果がベテランアスリートの練習や我々ビジネスマンの能力にも成り立つのではないか?と考えた理由を説明しようと思う。

ホークス和田投手の自主トレ(和田塾)にみられる複利効果

・和田塾とは


ホークスファンであれば、一度は聞いたことがあるだろう「和田塾」。ホークスの投手だけでなく、他球団の投手、また野手であるリチャード選手まで参加している自主トレである。今年は野球選手だけでなく、プロゴルファーの櫻井心那選手も参加した。


・和田塾のトレーニング内容と複利効果

トレーニングの詳しい内容はナックル姫こと吉田えり選手のYouTubeに取り上げられている。

また、和田塾で有名なのは「飯トレ」
和田塾に小島投手、本前投手、高野投手の3選手が参加した他球団である千葉ロッテマリーンズの公式アカウントで取り上げられている。

そして、絶えず新しいトレーニングを取り入れている。過去にはアーチェリー、カヌーを自主トレに組み込んでいた。今年の自主トレでは脳トレとして、「ライフキネティック」を取り入れた。

新しいトレーニングに常にアンテナをはり、そして自分で試す。このような色々な取り組みから得られた経験が複利効果になっているのではないだろうか。

・和田投手が考える「練習」とは

ここまで和田塾を取り上げてきて、私なりに解釈してみたが、実際、和田さんは「練習」に関してどう捉えているのだろう?

和田投手が2020年に出版した本、『だから僕は練習する 天才たちに近づくための挑戦』に和田さんがどのように練習に向き合っているかが書かれている。

この本をみて驚いた。和田さんがここまで「練習」について考えているとは…あとがきでスポーツライターの肩が「練習論」と書いていたがもはや「練習学」や「練習道」と称するべきではないかと思うレベルだった。
この本の「はじめに」にはこう記されている

「練習」を通じて自分を成長させること、「考えながら練習すること」の大切さについて振り返ってみたいと思う。

『だから僕は練習する』より

この本を読んで3つのキーワードをもとにまとめてみると、

意識
練習の目的をはっきりさせること
「どんな目的で、どのメニューを行っているのか」を常に意識して取り組んでいる。
若い時から「10年後の自分」を意識したトレーニングを行っていた。

分析力
「間違いの原因」「成功した要因」を素因数分解している。
いわゆるPDCAサイクルを回し、自分の練習を検証すること。これを楽しみと捉えている。
「トラックマン」をはじめとして、データ活用にも力を入れている。
本著にもこう記載されている。

データをしたたかに利用できる能力-これからの野球選手は、その面でも「練習」が求められていくようになっていく

『だから僕は練習する』より

挑戦
数多くの失敗経験を言い換えると、それだけ多くの「アドバイスの引き出し」を持っていると捉えている。
これだけのキャリアを積んできても、「心を鍛えること」が残りのプロ野球人生で取り組むべき課題の1つと考えている。

この3つが和田さんのすばらしい成績につながっていると思う。まさに複利効果である。
そして、あとがきには
「いつか怪我すらも『大切な練習』だったと思えるように」とある。
全ての経験を糧にする姿勢
にはすごく尊敬できる。

30代の技術者である私がここ数年感じる同世代の振れ幅

なにもトップアスリートだけではない。いや、トップアスリートよりも市井のビジネスパーソンの方が複利の差は顕著なのかもしれない。20代の時はそこまで感じなかったのだが、30代半ばになって感じることがある。それは同世代の実力差だ。

頼りになる人、尊敬できる人も結構いるなかで、「あれ?前に一緒に仕事した時はもっとできる人だったような…」って感じる人もいる。

なぜこのようなことが起こるのだろう?
20代は等しく仕事が与えられる。そこからレベルの仕事を任されていく過程で、周りからの期待を超える働きをするか、期待に添えない働きをするかで少しずつズレが生じてくる。
期待をこえる働きをするビジネスパーソンにはよりレベルの高いミッションを与えられるし、立場も上がっていく。すると、その度に新たな知識や経験を手に入れる。一方、期待に添えない人は今までと同じような仕事を与えられる。
それでも、経験は手に入れるのだから伸びてはいく。でも、同じような仕事から得られる経験値は新たな仕事から得られるものと比べやはり落ちてしまう。この成長曲線の違いは複利と単利によく似ていると思う。

最近言われているT型、H型人材も複利効果

最近よく聞く、T型人材、H型人材も複利効果によるものだと思っている。詳細は下記サイトで確認してほしい。

20代でI型人材(1つ専門分野を持った人材)、30代・40代でT型人材(専門分野+幅広い知識)、H型人材(T型にさらに1つ専門分野を増やす、多くは経営力や企画力、マネジメント力を指すらしい)と成長できる人材がこれからのAI、多様性、グローバルと将来の展望が予測しにくい社会(VUCA時代)には必要になるだろうと言われている。

和田さんやカズさんのようにはいかないまでも、自分の仕事に対する意識や成功体験・失敗体験を振り返りきちんと分析したうえで、日々の仕事に取り組み、複利を享受できるような人になりたいと考えている。

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