ゴミとボカロ曲+α 5選
※トップ画像は、【物語音楽】スクラップトニー【廃棄ロボット】(作曲:Phaz_Quasaric-Orbitさん、イラスト:カミタニさん)からスクリーンショットをお借りしました。問題があればご指摘ください。
5月3日は、5(ご)3(み)の語呂合せから「ゴミの日」ということで、タイトルに「ゴミ」等が入ったボカロ曲で5選してみました。歌詞まで範囲を広げるのなら、たとえば【GUMI】僕は空気が嫁ない【オリジナルMV】(cosMo(暴走P)さん)などは、ゴミ箱が歌詞で何度も登場するので紹介したい作品なのですが、今回は割愛します。
……偶然かもですが、意外とリンちゃんが多くなりました。タイトルに「ゴミ」が入っているミク曲は多いのですが、選曲が偏ってるのを差し引いてもリンちゃんが多いのには理由があるのかもしれませんね。
それはさておき、5選行ってみましょう。
1.【鏡音リンの】トラッシュ・アンド・トラッシュ!(和田たけあき(くらげP)さん)
曲:和田たけあき(くらげP)さん、絵:チェリ子さん、2017年1月31日投稿。初のリンオリジナル曲です。クレジットからP名が消えるのは、2018年6月のポジティヴ・ハラスメント!!!以降ですから、ここでは併記。伸びているチュルリラ・ジガヒダイ等の路線ですがミリオンは未到達……掛け声の「ステマショネー!!」も小気味良いし若い人向けのリズムですので、そのうち達成するとは思います。
断捨離をテーマに、整理するべき人間関係を歌っていると見せかけて、何もかも不要と攻撃する精神を最後には自らに向けて相対化してみせています。あまりに潔癖であろうとすれば矛盾に陥ると。
しかし実はそれだけでなく、和田さん自身の作品を自虐的に扱っている歌。初音ミクWikiにあった「正義の味方(笑)は、チュルリラ、で勘違いのバカはキライキライジガヒダイ、メンヘラ女がチェックワンツー」という指摘は見事で、視聴者にもちゃんと伝わっているんですね。
2.【鏡音リン】芥の部屋は錆色に沈む/こんにちは谷田さん(キタニタツヤ/こん谷さん)
「芥」(あくた)はゴミの意。こんにちは谷田さん、2016年7月9日投稿。こん谷さん最初の殿堂入り作品にして、「悪魔の踊り方」と並んで、こん谷さんのボカロ代表曲。明日の見えない閉塞感を、疾走するギターロックで描くギャップ、そしてハイセンスなバンドサウンドが凄まじく魅力的です。
2017年からはキタニタツヤ名義でニコニコインディーズに投稿、シンガーソングライターとしての活動でも名を上げて行きますが、その際の嚆矢となった曲でもありますね。
〈参照〉キタニタツヤ 自己内省と厭世観を硬質なサウンドで描き出す、ネット発の次世代シンガーソングライター - muevo pick up
3.【MEIKO聖誕祭】Trash Pop Night【オリジナル】(ふなむしPさん)
ふなむしPさん、2008年11月4日投稿。素敵で心地よいリズムとメロディのVOCASKAです。MEIKO生誕祭2008作品。夜の街を背に、失恋の痛手を受けながら別れを決意するまでの心を歌っているのも良い……。
ふなむしPさんは、2007年~2012年とボカロ初期に投稿していたMEIKOマスターで、めーちゃん好きなら外せない方ですね。今はどうされてるのか……と調べてみたら、ボカロを離れた後はアイマスRemixや東方(?)へ移っておられたようです。下記の2017年の投稿作が現時点での最新かな。
4.Trash Day / ASG REMIX feat.鏡音リン(原曲:Orangestarさん、Remix:あさぎさん)
「Trash Day」はOrangestarさんの2ndアルバム『SEASIDE SOLILOQUIES』収録。貼った作品は、あさぎさんによるRemixで2017年7月8日投稿です。ゴミを捨てる朝のリンちゃん絵に、気持ちを見直して再出発する爽やかな曲が良く似合っていますね。短めの曲ですが、サビの清新さが素晴らしく、鮮やかな印象を残してくれます。
5.【物語音楽】スクラップトニー【廃棄ロボット】(Phaz_Quasaric-Orbitさん)
トニーは棄てられました。
誰もいない廃工場で再起動した掃除ロボットのトニーは自分のように棄てられたいろんな物を、毎日毎日ガシャガシャと分別して働き続けます。
Phaz_Quasaric-Orbit(ふぁず_Q-O)さん、2018年8月19日投稿。ガチャピンの声から生まれたVOCALOID「ガチャッポイド」(愛称はガチャポ、キャラ名は「リュウト」)のオリジナル曲です。ワルツ調の三拍子バラードでいいのかな。明るく始まるメロディながら、哀愁を含み展開していくサビに感情を揺さぶられます。効果的なネジ巻き音も、ラスサビ前で入ってくるジャジィなピアノも好き。
傷や錆だらけになりつつ「果てるまでずっと動く」トニーに、自然と感情移入してしまうのは、視聴者が人生を重ねてみてしまうからでしょう。「捨てられたロボットの悲哀」は比較的見るテーマですが、沁みる音楽から感じる光と影、そしてガチャポの男の子声が他にはない尊さを与えています。
あぁ ポカされたりホカされたり
生きるというのは苦しい気がするね
あぁ たまの静寂はどこまでも優しいのにね
他の候補曲としては、パっと出てくるシバションPさんの「ごみばこ」「サルベージ」の対なす初期名曲や、
HastyHatさんのVOCALOEDM「おまえなんてごみくずだ」、
大空P(Splitmilk)さんのVOCAROCK「Trash」、
等を考えていました。あと、
あたりも良かったです……
それと、絶滅レコードからリリースされているサイケで"ゴミ"なコンピレーション"Psychedelic Trash"シリーズも、忘れてはいけませんね。
こちらの路線的には、Jakeさんの「T.R.Ash」や、
hytonさんの「廃棄処分」、
あたりが面白かったです。
ゴミという言葉には、第一義として汚く無価値なマイナスイメージがありますが、ゴミとして描かれた対象に自らを重ねていくことで、様々な感情を惹き起こす単語でもあります。そうしたイメージの掘り下げはボカロに限った話ではないですが、「作られた存在」であるボカロやロボット等と相性の良い面もあると思います。
いろいろ書き連ねましたが、何かしら心に残った作品があれば幸いです。
それでは、また。
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