2019年ボカロ10選
※トップ画像は、CleanTearsさん「Eidetic image」のサムネ絵、白身。さんの「ボトルミク」をお借りしました。問題があればご指摘ください。
色々と悩みましたが、こちらが私の2019年ボカロ10選になります。
◇2019年ボカロ10選（lefthorse）
上半分に比べると、下半分のサムネが地味に見えてしまう……どれも素晴らしいのですが。いろいろと妥協の産物なのはともかく、リスナー界隈ではそこまで予想外の選曲ではないと思いますよ。なお、曲順は連続再生した際の流れを考慮しています。
以下、各作品に触れていきますね。
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１．【初音ミク】Eidetic image【オリジナル曲】（CleanTearsさん）
残像は刺激除去直後の数秒間持続する普遍的現象であるが，特定の人にのみ数時間，数日後にも現れることがあり，これを〈直観像eidetic image〉という。（eidetic image - コトバンク）
2019/8/2
CleanTearsさん、2019年を振り返ってみれば3作品を投稿。「SAKURA」「Everlastingly」、そしてこちら「Eidetic image」。2018年「Horizon」も最高でしたが、2019年も伝説のミクマスターっぷりを存分に発揮したCTさん。綺麗な声質のミクさんを堪能したければ、まず推したい作者さんです。
Bernisさんの「Godspeed (See You In Next Dream) 」とも甲乙つけがたく迷いましたが、爽やかな夏を音にしたような涼しいトランスに惹かれました。プログレッシブハウスになるのかな。ジャンルはよくわからん……
２．星屑フリーウェイ / 音街ウナ（CHOUXさん）
2019/5/30
CHOUX（しゅー）さん。可愛さ全開のキラキラポップ。音街ウナSugar（しゅがぴ）の甘い声が弾けるメロディにぴったり馴染んでいます。間奏のリズムに、思わず身体が動いてしまうのを止められない……ラスサビ前など特に素敵なきらめきで、繊細な構成に感服せざるを得ません。
これが初作品というのですから、まだまだ凄い人が潜んでいますね……2作目の「ハートビットオービット」もおすすめですよ。
３．ロンリーユニバース / flower & 初音ミク（Aqu3raさん）
2019/4/6
Aqu3raさん、イラストはY_Yさん。Aqu3raさんは、2018年12月にデビューした方ですが、2019/1/1投稿の「アイボリー」でブレイク。花ちゃんの声が曲によく合っていたのでしょうね。その後もflower曲でヒットを続けています。こちらの「ロンリーユニバース」は唯一殿堂入りしていませんが、それでも8万5千再生。トロピカルハウスに弱いんだよなあ、私。PVも細かく工夫されていて、宇宙好きなら色々読めるのでは。
４．咒（まじない）／鏡音リン（oQ(おきゅーP)さん）
2019/9/2
oQ(おきゅーP)さん、3作目。90年代を想起させるお洒落なダンサブルポップ。歌謡曲風の懐かしさを滲ませながら、最後までノリノリで聴かせてくれます。あっという間に駆け抜けてしまうので、もっと聴いていたくなるのは良曲の証。
ボカロディスコ系統では他にも良曲がたくさんあったのですが、イチオシはこちら。とはいえ僅差でしたので、他作品も紹介していきたい……
５．マスタリー／ワカバ feat. 初音ミク（ワカバさん）
2019/7/5
ワカバさん。この作品「マスタリー」は、初音ミクを巡る文脈を知らないと捉えにくいかもしれませんが、「砂の惑星」などボカロムーブメントに言及する曲群に対するワカバさんなりのアンサーソング。仕込まれた歌詞色表示の理由がラストで明かされた時、ミクさんへの愛に深く感じ入るのです。
動画では、「Master/y」表記はマスターとY（ネギ；初音ミクの好物・持ち物、転じてミクさんを意味したりする）の意味かな、と指摘する視聴者コメントがあって、ワカバさんならそうかも、と説得力がありました。
初音ミクイメージソング「#Null#」も聴いておくと、理解が深まるかも。
６．夜にまた / higma feat.flower & VY1（higmaさん）
夜にだけ逢える話
2019/7/19
higma（旧名義：pai）さん、7作目。VY1ミズキさんと、花ちゃんのデュエット曲。今回はアニメーションも自作とのことで、素朴で味のある景色が曲のリズムに合わせて変わる様が心地よいです。歌詞を読んでいくと、夢の中で会う二人の物語が描かれています。夢が終わればお互い忘れてしまう……それを分かっていても、言葉もなく手を繋いで朝を待つ二人の情景。
paiさん名義時代では、「Dream light / pai feat. VY1」も好きです。
７．【VOCALOID】飛燕【VY1V4】（まんぼう二等兵さん）
2019/2/12
まんぼう二等兵さん、オルタナティブロック。2016年からインディーズ・BGMを投稿されていた方で、ボカロはこちらで5作目。ひりつくような緊張感を湛えた、絞り出す歌い方。緩急を利かせ、メロディに引きずり込んでいく力強さ。驟雨のような音の乱打。褪せたカットを連ねた実写PVも最高に合っていて、空の向こうへと消える飛燕を幻視するのです。
８．偶像崇拝 / 初音ミク & 巡音ルカ（saiBさん＆Andedさん）
2019/6/18
saiBさん、MVはAndedさん。2019年最強のボカロック視覚芸術と呼んで過言ではないでしょう。saiBさんの楽曲にAndedさんがPVをつけた「愛ト茄子ト平和ナ果実にPVつけてみた」がお二人が知り合うきっかけだったのでしょうが、まさか7年越しにコラボが成立するとは……saiBさんファンからも熱狂的支持を持って迎えられた、暴力的ともいえる音響と物語に圧倒されてください。Andedさんは様々なモチーフを動画内に散りばめているので、一周しただけでは把握しきれない……何周しても足りないぐらいです。
９．黎明、／flower（Δさん）
こんな曲を作るのは最後にしたいです
2019/10/22
Δ（でるた）さん。2019年を代表するflowerマスターの一人、現時点での最新作。創作にまつわる自分へ向けた負の感情を歌っている異色作。自作「救いたかったのは」を曲中に取り入れ、吐露した本心の痛みをも昇華して表現した、何度聴いても素晴らしい音が耳朶を打ちます。創作を志す人であれば一度聴いておくのも悪くないのでは。
※傘村トータさん「LIFE」が陽であれば、Δさん「黎明、」は陰なのかな、とも少し感じたり。
１０．【初音ミク 洛天依】潮汐（曲：7ZH_千面音葉さん、詞：BK小鹿さん）
2019/3/25
10選ラストは、海外Pさんから。bilibili曲の日本語版で、初音ミク・洛天依のデュエット。打ち寄せる波の音と調和したピアノメロで紡がれるロックバラード、そして大気に溶けていくような二人の声。本当に聴き入ります……
PVも素晴らしく、音の揺らぎ響きに合わせた変化が心地よいです。その一方海外Pさんでありがちというか、日本語表記を単語の途中で区切っていたりするのですが、でもその書き方が異国感を出していたり、不思議な浮遊感にマッチしていたりするのです。
ygchさんのツイートもご参照ください。
【初音ミク 洛天依】潮汐 https://t.co/3GrzWBjkGB #sm34849258 チャニスさん(動画投稿) 7ZH_千面音葉さん(音楽／中文原曲) BK小鹿さん(日本語詞) #vocanew
— ygch (@yag_yaguchi) March 26, 2019
しっとりと落ち着いて感情が大きなロックバラード。billibilliでの10月の中国語歌手版は74万再生、洛天依版は12万。日本語歌手版も素敵だった
洛天依曲では、じんさんの「T.A.O.」も非常に素晴らしくて10選候補だったのですが、より心に訴えた「潮汐」を選びました。両方入れたかった……
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夏から始まり、夢と夜を経て、海へと還る。
そんな2019年10選の流れ、いかがでしたでしょうか。
様々な名曲のうち、選んだ時点で波長が合うかどうか。これが10選の全て。今回は選ばなかった作品も、また次の時には選ぶ気になるかもしれない。そうした一期一会なのだと思います。
選に漏れた作品も、機会があれば今後紹介したい……
2020年には、どんな名曲に出会えるのでしょうか。気持ち新たにして聴いていくつもりです。
それではまた。
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