「Itバッグ」(流行の、どこのブランドのどの型がすぐ分かるバッグ)は買わない

この「Itバッグ」という表現も古いかもしれないな。
2000年代は「Itバッグ」が花盛りで、ブランドバッグ、特にヴィトンのバッグを持ってる人を街でよく見かけた。
でも、それでおしゃれに見えるかと言ったら、そうではない。

よれよれの人がヨレヨレの服にピカピカのブランドバッグを持っていると、むしろ本人の肉体のよれよれ具合、服のヨレヨレ度合いが目立つ。
ヘアメイク、肉体、服も含めてトータルで同じレベルならいいけれど、鞄だけあからさまなブランドバッグを持っていると、バッグ以外のみすぼらしさが目立つ。

当時流行っていてよく見かけた「Itバッグ」はクロエのパディントン(重そうな錠前)、ジバンシーのナイチンゲール(革が柔らかそうで中に重いものを入れたらシルエットが崩れるだろうな)、イヴサンローランのミューズ(背の高い女性でないと似合わなさそう…)などなど。

目につくように意図されているのだろう、特徴的なデザインで遠くから見ても一目でそれと分かる、主張の強いデザイン。
要は、広告。
こういうのを真の「悪目立ち」と言うんだろう。

他人には「あ、これは〇〇(ブランド)のいくらのバッグだ」とすぐ分かってしまう。
だいたい30万円前後のこのたぐいの「Itバッグ」は、一時の流行が過ぎれば、二束三文で売り払うか、ゴミにするしかないから、流行っている2,3年のあいだに使い倒さなければいけない。
まあバッグって飽きやすいからそれでいいのかな。それにしても高い減価償却費だ。

こういうのを持っている人は、自分の美意識で選んでいるのではなく、流行しているから自分も欲しいと思って買うのだろう。
流行しているアイテムをとりあえず身につけるのは、結局は自分の頭で考えていないということで、その行動がダサい。
それで、街で人と被る。装いに対する自分の考えがないのが露呈している。

ブランドバッグを持つのにふさわしいのは、ブランドバッグに負けないくらいヘアメイクも服も完璧に仕上げられるような、生活水準自体が高い人だと思う。
ただこういう階層は出歩く時は自家用車かタクシーを使うから街で人と被ることもない。
だから、ブランドバッグというものは、買うだけなら金をかき集めればいいのかもしれないが、実は人を選ぶものである、と思う。

2010年代の「Itバッグ」といえばセリーヌのラゲージ(両端が張った変なデザイン…あの良さが全然分からない)だが、その頃はひとときに比べて世の中の人のブランドバッグ志向は、かなり薄れたと思う。
たぶんリーマンショックを境にして潮目が変わったのだろう。


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