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2024年上半期振り返りまとめ【ロード|ハーフマラソン編】|創価大学駅伝部

  本稿では、2024年上半期(第100回箱根駅伝(1/2-3)以降6/30(函館ハーフマラソン)まで)に行われたロードレース(特にハーフマラソン)に参加した創価大学駅伝部の選手の結果について、自分が観戦・応援した備忘録としてまとめ振り返りを遺したいと思います。相変わらずタイミングを逸して、取り掛かるのが遅くなっておりますが、いつも通り文字数としては無駄に多くなる予定ですので、以下の目次から気になる部分だけでもご覧いただければ幸いです。
 尚、2024年度の学生三大駅伝に向けたプロセスを追うのが主眼のため、2024/3に卒業した50期生(志村主将の世代)の2024/1~3月のロードレースは基本的には本稿には含まれません。(また、都道府県駅伝などの駅伝レースも含まれておりません。)【トラック編】は稿を別にしてまとめる予定です(が未定…)。


0. まずはじめに概観|ハーフマラソンPB更新のまとめ

 是非ココだけでも見て欲しいということで、最初に全体を概観したまとめの図を載せてみます。図1が2024年度上半期の創価大駅伝部(2024年度の学年表記)選手のハーフマラソンのPB(Personal Best|自己記録)の更新を矢印の形でハーフマラソンPB vs. 10000mのPBの二次元プロット中にまとめて示します。
 この図には、この期間にハーフマラソンに出走した選手のみが示されており、PB更新(もしくは初ハーフ記録)を達成した選手は更新前後のプロットが矢印で繋がれおり、更新後のプロットのデータラベルに更新した分・秒数を記し、データラベルの色はハーフマラソンのレースに対応しております。尚、横軸の10000mPBは2024年7月末(ホクレンDCでの更新を含む)の値となっている(のでハーフPB更新時の10000PBとは限らない)のをご了承下さい。

図1:2024年上半期ハーフマラソンPB更新まとめ|創価大学駅伝部
2024/1~6の間にハーフマラソンに出走した選手のみ記載
横軸の10000mPBは2024/7末(ホクレンDCも反映)時点

1. 次に各論|主観的解釈とペース分析など

  次に図1の結果を個人的な解釈によりグループ分けして、各論として観ていきたいと思います。

1-1. まさに#NextStage|61分台での創価大学記録の更新(野沢③選手→吉田響④選手)を含む主力選手(箱根出走組)のハーフPB更新

図2:まずは図1のこの領域に注目
10000m PB・28分台且つハーフPB・63分前半以下の主力選手のPB更新

 まずは図2に示した、10000m PB・28分台且つハーフPB・63分台前半以下の領域(主に第100回箱根駅伝に出走した主力選手)について着目して観ていきます。
 大阪ハーフマラソン(1/29)において野沢悠真③選手が創価大学新記録となる61:46(1:01:46)のPBを達成!! まさに #NextStage 開幕に相応しいスタートとなりました(ただ翌2月に件の出雲駅伝失格のショックもあり、まさに隔世の感が個人的にはあるのですが…)。高速レースと言われる大阪ハーフですが、実業団選手と堂々と渡り合い、最終盤では自分から仕掛けるなど積極性とロードでの強さを誇示する結果となりました。箱根4区では冷たい雨に苦しめられ順位はキープしたものの個人として区間15位となったリベンジを果たしました(というのはまったく個人的な解釈で恐縮ですが…)。野沢選手は翌月に熊日30kmロード(2/18)でも学生トップで好走しましたが、その後2024年度のトラックシーズンは出走がなく心配されました。招待選手となっていた函館ハーフ(6/30)で復帰し、63分台で6位入賞を果たしました。#NextStageへの道として”42.195㎞”を掲げフルマラソンへのチャレンジを見据える野沢選手。三大駅伝、特に距離特性がいかんなく発揮される箱根駅伝での飛躍を期待しております。個人的には、箱根は4区のリベンジ、もしくは8区での起用を予想させていただいております!
 大阪ハーフと同じく冬の高速レースの代名詞ともなっている感のある 丸亀国際ハーフマラソン(2/4)では、吉田凌④選手が61:58(1;01:58)のPB更新を達成!!特にラストはかなり上げては新主将の意地で61分台にねじ込みました(詳しくはペース分析で後述)。昨年度は出雲・全日本とアンカーの重責を果たし、出雲2位(幻となりましたが)・全日本のシード確保の原動力となりましたが、三大駅伝のすべてとまとめる困難さに苛まれた箱根駅伝9区(個人・区間15位)。新体制で #真価の創花 を掲げる新主将の決意みなぎる丸亀ハーフでの走りに感動しました。吉田凌選手は、この後も学生ハーフ(3/10)で63分台、関東インカレ2部ハーフ(5/12)で64分台とロードでの強さと安定性を示すとともに7月のホクレンDCでは10000mトラックのPB更新を達成(詳しくは【トラック編】にて(予定))。個人的には、来年の箱根では9区でリベンジ(そして主将として掲げる総合優勝を決定づける走り)を期待しております!
 またこの丸亀ハーフでは、石丸惇那③選手が62:31(1:03:31)のPB更新!15㎞までは吉田凌選手と競って61分台なるか、という展開だったので悔しさも混じったPBかもしれませんが、昨年度は前半トラックを長期故障でほぼ棒にふったものの駅伝にはしっかり間に合わせ終わってみれば1年次から三大駅伝に皆勤(出走)続けている石丸惇選手。#潤から惇の時代へ を体現すべく今季はドイツでのロードレース(ADIZERO:ROAD TO RECORDS 2024)や選抜ケニア合宿(にて新境地を顕す)も経験し、次の箱根では1区(3年次に葛西選手も1区出走)を期待しております!
 続いては小池莉希②選手。野沢選手が61分台をだした大阪ハーフ(1/29)にも実は出走していたのですが、転倒によるアクシデントによりDNF。ケガも心配されましたが、(ちょうど件の件がありSUET公式関連のSNS発信がとぎれた時期でもあったかな…)次に動静が知れたのは何とケニア合宿。しかも概ね単独?での武者修行。その模様がなんとレイリーチャンネルに!

色々と規格外w|この動画でも、(榎木)監督がスカウトで…とか言及していて、当時は時期的なこともあり、結構ドキドキ(まぁ、私がしてもしょうがないですが)しましたよ昭和のオジサンは。今思えば、Solomon①選手ともこの時、ということだったのでしょうか。っと、脱線しましたが、このケニア合宿を終えて”レイリーの弟分”という属性も付与された小池選手は、新潟ハーフマラソン(3/20)にて学生トップ(実業団含めても2位)の着順で63:24(1:03:24)のPB更新!雨模様だったりしてコンディションは決して良くなかったと記憶しておりますが、実業団選手と渡り合い日体大の主力選手にもしっかり先着した強さとクレバーさを感じました(タイム以上に)。その後のトラックシーズンでも10000mで初の28分台→更なるPB更新を果たし、長い距離の駅伝でも”柱”となる選手である思います。ハイペースで入ってそのまま単独でも押していけるタイプなので、次回箱根では3区(は本来は小暮④選手推しなのですが)?1区(は前述の通り石丸惇③選手)?もしくは7区?。
 そして、まさに「まさかが実現」?となった函館ハーフマラソン(6/30)吉田響④選手。箱根駅伝後は日本選手権クロカン(2/25)にエントリーもDNSとなり、そのままトラックシーズンに入り、10000mで創価大学日本人2位のPB(28:12)を連発(東海大記録会→関東インカレ)。まさか(1)函館ハーフにエントリーするとは予想もしていなかったのですが、どうやらインカレの時に迷っていて、函館に詳しい方の後押しもあったようです。なるほど、坂が多く潮風も強い仮想5区…って、とても良い記録が出やすいコースとは思えず、しかも時期的に北海道とは言え初夏で暑い。しかしながら、まさか(2)61:45(1:01:45)の創価大学新記録でのPB更新とは!しかも、まさか(3)の実業団選手(しかもアジア大会マラソン金の井上選手)を1分以上引き離しての大会新記録での優勝。そして、まさか…(くどい)序盤から先頭に立って独走でLive配信動画を占拠して大混乱(おそらく招待選手など有力選手の情報は準備していたのではと思いますが)。
 吉田響選手は、思えば昨年度のトラックシーズンは東海大学からの"転校"という事情があったにせよ、6月の日体大記録会での5000m一本だけ(7月のホクレンDCはエントリもDNS)で、本人曰く”連戦が効かない”とのことでしたが、本年度は3月末の3000m(@TOKOROZAWA Games)から前述の通り10000mを4月・5月に2本走って、6月末の函館ハーフからの7月は5000m@ホクレンDC深川。特筆すべきは全てPB更新(なのは【トラック編】にて)であり(定義にもよりますが)連戦への対応もなされたのでは。この時期の函館ハーフでの快走で改めて”暑さ”への耐性も示して、次回の箱根5区でのシン・山の神への懸念は”冷たい雨”のみ?なんじゃないだろうか。

ペース分析①|2024年上半期に更新されたハーフPB(上位5選)

 ここまで示した5人の選手のハーフマラソンの5㎞毎のスプリットから1㎞あたりに換算したラップタイム(mm:ss)を左縦軸にとり、横軸距離(km)に対してプロットしたものを”ペース分析”として図3に示します。縦軸は5㎞あたり換算のラップタイムを示し、両縦軸ともに反転(軸の上側がラップタイムが小さい=速いペース)しているのにご注意下さい。また、データラベルには5㎞ごとの通過時間(mm:ss)およびFinishタイム(h:mm:ss)を表記しております。

図3:2024年上半期に更新されたハーフマラソンPBのペース分析
左縦軸|1㎞あたりのラップタイム(5㎞スプリットから換算)
右縦軸|5㎞ごとのラップタイム  横軸|距離(5kmごと)
※例)5㎞にプロットされたラップタイムはスタートから5kmまでのラップを示している
データラベル|5㎞ごとの通過時間(mm:ss)とFinishタイム(h:mm:ss)
※参考としてスタート時の気温・湿度をグラフタイトル部に載せた

 丸亀ハーフの2人(吉田凌選手・石丸惇選手)に比べれば、函館ハーフの吉田響選手の5㎞の入りは比較的落ち着いているものの(十分速いが)、ほぼ終始単独走ながらペース2:55/km(14:35/5km)弱のペースを落とさず、むしろ後半の方がわずかに上がるネガティブスプリットで押し通し、20㎞以降のラストを2:53でしっかりと上げて、怒濤のラストスパートで(おそらく意識していたであろう)創価大記録を1秒更新する1:01:45でゴールしています。一方、大阪ハーフの野沢選手は先頭集団を走りながらの展開によるペース変動の違いはあるものの15kmで函館の吉田響選手と同タイムとなりラストまでほぼ同じペースとなっています。
 先頭が10kmを28:30を切るペースで入る超高速レースとなった丸亀ハーフの吉田凌選手・石丸惇選手は10㎞を29分前後(2:53-4/km換算)とかなり速く入ったが、その後徐々にペースを落として15km-20kmでは3:00/kmを超えました。ただ新主将の意地?か、吉田凌選手は20km以降のラストを2:53/km換算で爆上げし(これは函館の吉田響選手のラストに匹敵)61分台に滑り込みました。石丸惇選手も最後は上げてPB更新となりましたが、61分台には15㎞以降の落ち込みをどう抑えるかが課題と思われます。
 ケニア合宿後の初レースとなった小池選手は、先頭集団で3:00/km前後のペースで刻み15㎞はちょうど45:00通過、その後もペース低下を最小限にして最終的にもほぼ3:00/kmでハーフの距離を駆けた形となりました。(展開的に仕方ない情況はあったにせよ)突っ込みすすぎて(区間新ペース)しまい、遊行寺の坂に苦しめられた箱根8区(区間15位)から考えると、随分と”オトナ”なレース運びであると感じました。トラックシーズンも順調(特に5000m13分台の安定性と10000mの28分台前半への進化)でしたので、秋ハーフ(上尾?)での更なる高みを期待しております。

箱根で戦うには欠かせない男|学生ハーフ2年連続入賞

 このセクション最後に、PB更新ではありませんが、日本学生ハーフ(3/10)2年連続となる入賞(7位:1:02:48)を成し遂げた小暮栄輝④選手を挙げさせていただきます。箱根以降は丸亀ハーフへエントリーもDNSで心配されましたが、学生ハーフには合わせてきました。細かいアップダウンがあるタフな立川のコースでの勝負レースで62分台でまとめたのは流石です。レース後の吉田凌主将のX投稿を引用させていただきます。

自分自身の走りはもの足りませんでしたが、
主将として、箱根で戦うには #小暮栄輝 が欠かせないとより実感したレースでした! 彼の最終学年にご期待ください!

https://x.com/y_03ry16/status/1767132667819315590

 昨年度は三大駅伝に全てエントリーするも直前のケガ等により出走は叶わず本人が一番悔しい思いを重ねたと思います。副主将として臨む最終学年では、三大駅伝での大活躍を願わずにはいられません。特に箱根駅伝では私は3区推し。もしくはオールマイティーなタイプではあると思うので、チーム状況によっては4区か7区もあるのかと。今度こそ駅伝で #ファンタスティック小暮 !!と叫びたい!!


(既にここまで5000文字を越えているようなので、以降は少し密度を下げて記載します)


1-2. ハーフ距離への対応を深化させた主力選手とそれに匹敵する驚きの1年生|山口①選手

図4:次に図1のこの領域に注目
10000m PB・28分台後半から29分前半且つハーフPB・63分後半~64分台の選手のPB更新

 まずは図4に示した、10000m PB・28分台後半~29分台前半且つハーフPB・63分台後半から64分台の領域(主に次回の箱根駅伝では出走を狙う選手)について着目して観ていきます。
 1年生で箱根エントリーされるも出走は叶わなかった織橋巧②選手と齊藤大空②選手が学生ハーフ(3/10)PB更新を果たしました。織橋選手は大阪ハーフ(1/28)では終盤大きくペースを落とし67分台となってしまいしたが、学生ハーフでは後半に順位を上げる展開で初63分台のPB更新(1:03:34)となりました。昨年度は三大駅伝デビューとなった全日本大学駅伝1区で4位の好走がありましたが、その後の上尾では同学年の川上②選手・小池②選手に先着を許し、箱根駅伝では出走が叶いませんでした。学生ハーフでの63分台をステップとして秋ハーフ(上尾?)での更なる飛躍からの箱根駅伝出走が期待されます(個人的にはやはり箱根1区を争う?もしくは7区?)。
 前回の箱根駅伝では8区予定だった(が直前で小池選手に交代)とされる齊藤大選手は実は大阪ハーフ(1/28)が初ハーフ(65分台)で、そこから学生ハーフ(3/10)1:04:12のPB更新となりました。地元の函館ハーフ(6/30)では残念ながら63分台とはなりませんでしたが、着実にハーフの距離への適応を進めている感があり、秋ハーフ(世田谷?上尾?)で結果を残し三大駅伝で是非出走を勝ち取ってほしい選手の一人です。今のところ10000mのタイムの方が優位なので個人的には昨年度の山下蓮選手のように全日本駅伝で出走の機会を得て結果を残せれば箱根につながるのでは、と思っております。
 PB更新とはなりませんでしたが、黒木陽向③選手は学生ハーフ(3/10)で、小暮選手・吉田凌選手に続く3番手でPBに3秒と迫る1:03:18で好走しました。昨年度は悔しい箱根エントリー漏れとなった黒木選手ですが、箱根0区の10000m・28分台PB更新に続き、ハーフでも丸亀の64分台を含めて着実に結果を残してきております。今季トラックシーズンでは3000m障害で関東IC2部優勝→全日本選手権で創価大学新記録と結果を残しており、次回の箱根では(本人は10区希望とのコメント有りましたが)、是非川上翔太②選手と6区を競って欲しいと思います(川上選手が今季前半もケガがちだったこともあり)。
 これら箱根出走を伺う上級生に匹敵するインパクトを残したのが山口翔輝①選手。入学して間もない4月下旬に初10000mで29:26(東海大記録会(4/21))で資格記録を得て、なんと初ハーフは関東インカレ(5/12)で65:10。そのレースでも中盤に入賞を目指して追い上げるなど新人離れした走りを見せましたが、更に衝撃だったのが函館ハーフ(6/30)。1年生の前期(というかまだ入学して3か月)にも関わらず、しかも既に初夏で暑い条件での1:03:40のPB更新!!。大牟田高校時代からロードに強くタフな選手と伺っておりましたが…驚きです|語彙足らず、図5で説明を試みます。

ペース分析②|函館ハーフ2024と2023の比較

図5:函館ハーフマラソン2024(吉田響④・野沢③・山口①)と2023(山森④・OB嶋津)のペース分析の比較
左縦軸|1㎞あたりのラップタイム(5㎞スプリットから換算)
右縦軸|5㎞ごとのラップタイム  横軸|距離(5kmごと)
データラベル|5㎞ごとの通過時間(mm:ss)とFinishタイム(h:mm:ss)
※参考としてスタート時の気温・湿度をグラフ内に載せた

 図5は、図3と同様のペース分析を今年(2024)および去年(2023)の函館ハーフのデータに当てはめて比較したものです。(吉田響選手のデータの説明は図3同様なので省くとして)復帰戦となった野沢選手は15㎞まで3:00/kmを切るペースを保ち、それ以降も3:05/km前後のペースで粘って63分台にまとめています。それに対して、山口選手は入りの5㎞から少し離れたもののほぼキロ3分で最後まで押し切って63分台!レース展開としても、10㎞で34位通過から落ちてくる選手を拾って15㎞通過で10位まで上げ、最後のペースの落ち込みも抑え見事に8位入賞!タイムだけなくハーフマラソンのレース運びも新人離れしていると言えるのではないかと思います。参考としてスタート時の気温・湿度をグラフ中に示しましたが、嶋津選手と山森選手が63分台前半だった昨年に比べて今年の方が気温が高いキツめの条件であるのは間違いなく、山口選手の今回の記録はより高く評価されると考えます。前回の箱根駅伝の振り返り記事では次回箱根で山口選手を8区予想とさせていただきましたが、より現実味を増してきたのではないかと思います。山口選手としては今年の出雲から4年間全ての駅伝に出走する決意のはずなので、まずは夏合宿明けの5000m?で昨年度の小池選手のインパクト(絆記録会での青学勢を振り切っての13分30秒台)に匹敵する走りを期待したいところです!!(外野の勝手で恐縮ですが…)

1-3. 着実に65-66分台へPB更新する2年生と距離対応の前倒しの象徴となる1年生|榎木凜①選手・浦川①選手

図6:最後に図1のこの領域に注目
10000m PB・29分後半~30分前半且つハーフPB・65~67分台の選手のPB更新

 最後に図6に示した、10000m PB・29分台後半~30分台前半且つハーフPB・65~67分台の領域(主に今後の箱根駅伝エントリーを狙う選手)について着目して観ていきます。
 小池選手・織橋選手・齊藤大選手・川上選手といったトラックを中心に1年次から活躍する選手が多い現2年生世代の底上げを担う根上和樹選手・川田聖真選手・池邊康太郎選手・篠原一希選手の4選手がそれぞれ着実にハーフPBを更新しました。特に学生ハーフ(3/10)1:04:55 PBの根上選手と大阪ハーフ(1/28)1:04:57PBの川田選手の2人は、秋のハーフでの積み上げと10000mで29分台前半へのPB更新がなされれば十分に箱根駅伝エントリーの選考に絡んでくるレベルであると考えられます。現3年生の人数が少ないので、特に来年度にはこの4名を含めた現2年生世代の押上げ・拡充はかなり重要になってきます。
 また、本年度の前半の特徴として顕著な1年生の距離対応の前倒しの象徴として、前述の通り山口①選手とともに入学して3週間程度で初10000mを踏んだ榎木凜太朗①選手と浦川栞伍①選手も、そのデビュー戦を現地観戦(@東海大学記録会(4/21))できたこともあり思い入れと期待が大きいです(かなり個人的な事情)。
 初10000mで29分30秒台を記録した(のはかなり衝撃)榎木凜選手は、これにより資格記録をクリアして関東IC2部ハーフ(5/12)に出走しを果たしました。この日はこの時期にして蒸し暑い条件で、前半はかなり良い位置で走行していたものの後半は初ハーフの洗礼を受けた形で71分台と苦しみながらも完走。でも、レース後には国立競技場のコンコースで元気に他の選手と戯れる?姿を見かけて、若さを眩しく思いました(オジサンは)。函館ハーフ(6/30)では、(後述のペース分析の通り)15㎞以降の走りに課題はみえたものの67分を切った1:06:43の大幅PB更新を果たしました。一方、浦川選手は初10000mの30:19から次の日体大記録会(6/1)でしっかりPB更新(30:07)をしてから臨んだ函館ハーフ(6/30)では、初ハーフで立派に66分台(1:06:19)でまとめ榎木凜選手に先着しました。

ペース分析③|函館マラソン(ハーフ)2024

図7:函館ハーフマラソン2024のペース分析
左縦軸|1㎞あたりのラップタイム(5㎞スプリットから換算)右縦軸|5㎞ごとのラップタイム  横軸|距離(5kmごと)データラベル|5㎞ごとの通過時間(mm:ss)とFinishタイム(h:mm:ss)

 図7に示した通り、榎木凜選手と浦川選手は15kmまでは3:06-8/km程度のペースでしっかり刻んだものの、15㎞以降にペースダウンが顕著ではあったが20㎞以降のラストでしっかりと持ち直しているのが分かります。特に今回は浦川選手の方が相対的に落ち込みを抑えラストをしっかり上げている形になり先着する結果になりました。前述の通り函館ハーフは比較的暑い条件だったので、夏合宿でしっかり走り込み臨む秋ハーフと冬10000mでの更なる飛躍が期待されます。個人的には、榎木凜選手の水色帽子浦川選手の白色帽子が印象的で、青組・白組と応援しております…。同期の山口選手と続いて榎木凜選手・浦川選手ともに、秋ハーフ(上尾か世田谷?)と10000mで更に押し上げられれば箱根エントリーの選考に十分絡んでくる可能性を感じます。

2.おわりに|ハーフ/10000m PBプロットの現状まとめから次回箱根駅伝エントリーを展望

図8:2024年上半期終了時点(ホクレンDCの結果反映)でのハーフマラソンPB vs. 10000m PB|創価大学駅伝部
※2024年上半期にハーフマラソン and/or 10000mのPB更新者はデータラベルを黄色マーク
※2024年上半期にトラックも含めて未出走の竹田③・山下蓮③(オレンジマーク)も含む
※ハーフ公式記録無し(Sthephen②・Solomon①)や10000m 公式記録無しおよびデータが範囲外の者はこの図には含まれない

 図1PB更新後のデータおよび2024年上半期ハーフ未出走(山下蓮③選手・竹田③選手はトラック含めて未出走|野田④は5000mを2本出走)をPBデータを加えて”現状まとめ”として図8に示す。データラベルの黄色は2024年上半期のハーフ and/or 10000m PB更新者に対応し、多くの選手がPBを更新している(大変すばらしい)ことが改めて確認できる。
 図中の青点線はハーフマラソンと10000mのWAポイント(世界陸連定める各種目でのポイント)が等しい場合の線を示している。これと直交する線がハーフと10000 mのWAポイントの合計が等しい場合であり、前回の箱根駅伝のエントリーボーダーのラインを緑色点線で示した(濱口④選手と竹田③選手のエントリーリスト入りで、有田④選手・藤ノ木④選手・若狭④選手はエントリー漏れとなった)。
 (この段落は選手名多いので敬称略とします)箱根エントリー16名のうち、留学生のStephen②とSolomon①は順当ならば確定として残り14名。この図の左下(WA合計ポイントが多い方)から、吉田響④、吉田凌④・小暮④・石丸惇③・野沢③、そして小池②に織橋②・黒木③で残り6名。この後は、ポイント順だと山下蓮③・齊藤大②・野田④ですが、前期未出走の山下および昨年の高島平ハーフDNF以来で今季復帰して5000mを2本走った野田の復調具合は?という留保点付で残り3名。昨年6区2位での実績十分の川上②は新潟ハーフや日体大記録会等で度々故障?があったようでその復帰具合は?昨年末の日体大記録会で10000m・28:31のPBを叩き出した藤ノ木④はハーフPBの更新、今季5000mや1500mでPB更新した若狭④は10000mでのPBの更新がエントリーの条件となるか|昨年度10区出走を勝ち取った上杉選手(11月の上尾ハーフで63:35 PB・12月の日体大10000mで28:45 PB)の例のごとく4年生の選考は下級生よりも厳格で厳しいのが榎木監督流という認識です。ここに山口①は今の勢いなら当然エントリーに絡んできて、上半期トラックも含めて出走がなかった竹田③の復帰具合、トラック中距離種目で大活躍の濱口④は駅伝モードへの転換具合に因ると思われます。この後に、本稿1-3で上げた1・2年生(根上②・川田②・池邊②・榎木凜①・浦川①など)の秋ハーフ・冬10000mのPB更新次第で選考に絡む可能性があると思います。もちろん、図8に含まれていない1・2年生も秋ハーフ(上尾か高島平?)や5000m/10000mトラックレースで結果を残して候補に挙がってくる可能性はあるし、是非それに期待したいと思います!


 最後に|箱根駅伝自体はかなり昔(それこそ榎木監督が現役時代の渡辺(康幸)・モグス マヤカの2区よりも前)から観ていましたが、駅伝以外のトラックやロードレースを観るようになったのは昨年度からです。今年は元旦のニューイヤー駅伝の5区の葛西潤選手や新家裕太郎選手、アンカー嶋津選手を地元・群馬で現地観戦することから始まりました。本稿で取り扱ったロードレースで言うと、3/10の日本学生ハーフ@立川昭和記念公園と5/12の関東インカレ@国立競技場・神宮外苑を現地観戦・応援することが出来ました。これまで三大駅伝と(その予選)のみをテレビで観戦していたのは異なり、そこを目指す多くの選手(母校以外も含めて)の奮闘を直接的に感じるができたのはとても印象的でした。本稿をまとめるにあたり、秋のハーフマラソン(世田谷、上尾、高島平など)がより楽しみになりました。可能な限り今後も現地観戦できればと思いますし、駅伝へのエントリー・出走を今後目指していく選手達にもできるだけ注目して応援していきたいと思います!!


 ということで、2024/8/13の自分の誕生日(年齢は榎木監督+1歳)にとりあえず完成することが出来ましたので(細かいところは微修正するかもしれませんが)公開したいと思います。結局今回も無駄に1万文字を越えてしまいましたが、これに懲りずに【トラック編】も何とかまとめたい(日本インカレまでには?)と思っております。自分の備忘録としてまとめているとは言え、閲覧数/「いいね」が励みになることは否定できませんので、宜しければ是非お願いいたします。最後までお付き合いいただき有難うございました、お疲れ様でした。

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