クラウドについて

導入

IT業界におけるクラウドって何なんでしょう?
IaaSやPaaS、SaaSなんていう分類があったり、パブリックやプライベートなんて言葉もよく一緒に使われますよね。
これまでのシステム利用や開発とクラウド利用って何が違うんでしょう?

これまでITサービスを利用する場合には、コンピューティング資源を調達して、その上にパッケージ製品を動かしたり、スクラッチでサービスを構築してました。
また、クラウドという言葉が生まれる前からソフトウェアを従量課金で提供するASPという提供形態やコンピューティング資源の小売りという意味ではレンタルサーバーやVPSなんていうサービスがありました。これらとクラウド何が違うんでしょう?

クラウドの定義


NISTのクラウド定義によると以下の要件を満たしたサービスとなる。
(以下から拝借しています)
• On-demand self-service
利用者のリクエストに応じて計算資源が自動的に割り当てられる.
• Broad network access
利用者はネットワークを通じてクラウドにアクセスできる.
• Resource pooling
クラウドプロバイダーは,所有する計算資源を分割することで複数の利用者に計算資源を割り当てる.
• Rapid elasticity
利用者のリクエストに応じて,迅速に計算資源の拡大あるいは縮小を行うことができる
• Measured service
計算資源の利用量を計測・監視することができる.

分かったようなわからないような定義だが、まとめると「従量課金で利用した分だけコストを支払い、利用者が自由に使用するリソースを拡大・縮小ができる仕組みを持ったサービス」といえる。
過去のレンサバやVPSは、定額でかつサーバを利用していなくても課金されていたので、上記の定義に従うとクラウドではない。
また、ASPについても利用するユーザ数の増加に応じてライセンスを追加することで拡大、縮小をすることができるが、コンピューティング資源が利用者の増加に従って自動的に割り当てされるわけではない。

クラウドのメリット

クラウドを利用することによって得られるメリットは何だろうか?
コスト削減?
これまでのシステム構築の手法を継承してクラウドにリフトしたシステムは、多くの場合、オンプレミスで稼働させていた時よりもコストが高くなるので、直接的にはメリットではないと思う。
なぜコスト高になるかというと、これまでシステムを稼働させている際に見えないコストだったサーバ等の運用費や電気、空調といったデータセンターの維持費といったものが、クラウドの利用料には計上されており、単純なコスト比較をした場合、クラウドの方が費用増となる。また、クラウドと自社との間に太い専用線接続を冗長化して構築した場合には、その通信費もかかる。
では、なぜ世の中はクラウドにシフトしているのだろうか?
上記のコスト以外の部分でメリットがあるからだ。

スピード

普通、システムを構築する場合には、コンピューティング資源を調達し、設置して、利用できるようにする必要があり、少なく見積もっても調達仕様の作成から実際の納品、キッティングして動作できるようにするまでに半年程度は必要になる。
これがクラウドであれば、必要なリソースをものの数時間、簡単なものであれば数分で構築し、利用することが可能になる。
これはビジネスのスピードが求められる昨今において非常に大きなアドバンテージである。

柔軟性

市場に投入するサービスがヒットするか、しないかはローンチしてみないことにはわからない。
なので、スモールスタートさせつつ、状況に応じてサービスをスケールさせる必要がある。
これも前述のスピードと関連するが、きちんと設計されたクラウド上で動作するアプリケーションであれば、利用者の増加に追従してスケールさせることが可能であるし、そういった仕組みを多くクラウドは提供してくれている。

再利用性

クラウドを利用した場合、レゴ・ブロックのように提供される部品を組み合わせて、サービスを構築していくことになる。
当然ながら、その上で動くサービスは個別に作成する必要があるが、モニタリングやログ回収といったどのサービスでも必要な仕組みは、一度構築すれば品質の担保されたエコシステムを再利用することができる。
これにより、サービスの開発に注力し、周辺の共通的な仕組みを構築する労力を低減することができ、トータルでコストを低減することが可能となる。


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