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子供の病気の技術を大人に活かす#2売れる音楽を作る20

今日も前回の続きです。病気の子供が好んで聞いた曲の構造を分析し、人の脳に良い音楽の秘密を探ります。

前回下降音と破裂音などについて考察しましたが、説明するのにちょうどいい曲がありました。

https://youtu.be/cirhQ8iLdbw?si=oI9az1P-L1CwH6zT


歌詞をざっくり鬱音と加点に分けてみます。

・aeo加点:赤●
・ai加点:赤★
・iu鬱音:青●
・促音:赤●
・繰り返し:赤カッコ
・下降音:赤↓
・上昇音:黄⤴

この中から「促音やai加点などの加点を含む単語のiuを除外するという処理をするとこのようになります。そうすると影響のある歌詞の鬱音はここまで減ります。

特に今何時?の語尾は音を上げるか、「じぃぃ?」というようにiiiと母音を重ねるように歌っています。これである程度ごまかしています。これは弱い鬱音消しの手法なので完全に消えてはいません。鬱音としては存在しているけれど、ごまかせている。

おはよう Wake UPの部分も「おはよーー」のようにうを目立たないように歌ったり、次の音とつなげて母音のuuを重ねれば鬱音は消えます。

残った鬱音は「あせらず」のずなどですが1つの単語を区切って歌っているので「あ・せ・ら・ず」のようになっていてあとせの間は小さいっが歌い方によって軽く入れてありますし、4文字中3文字がaeoということはかなり強いし、音の強弱で目だたなくできますよね。

残った場所は歌い方次第で消せるタイプの弱い鬱音です。

・フレーズの繰り返し
・ai加点
・下降音
・破裂音

ここまでは「歌詞」の話でした。

歌の構造自体で言うと「キャッチーなサビの部分」を目立たせるためにその前後は重めでずっしりした音を繰り返しました。

この歌ができた当時流行っていた映画が「全然違うタイプの映画を組み合わせた感じ」なのが多かったんです。学園青春モノかと思ってみていたら途中からゾンビがドバドバ出てきて「あれ?さっきまでと全然違う」みたいなやつが。そしてまたいつの間にか全く別の映画のシーンに自然と移行していくというタイプの映画をよく見ていました。

歌もそういうメリハリのある曲が好きで私はずっとこれを聞いてたんですよ。恋のメガラバです。

「繰り返し+aeo曲+ai加点」の曲とこういうごちゃまぜな曲は相性がいいんですよね。なぜならこれらの要素自体は脳に良いのでヘビロテ可能なものですがそれだけだとやっぱり「飽き」は来るんです。できるだけ聞き減りを減らすためには「クラッシック曲のような構造にして、できるだけ音楽的な技法を盛り込んで曲自体を難しくする」というやり方が必要だと思っていたんです。だけどずっと同じ曲を聞いていると脳は同じテンションのままです。じめじめしたところからパアアアアっと明るくなる曲の大きな変化はスッキリと脳に切り替えをもたらします。そういうのはヘビメタのほうが得意かもしれないですよね。

この感じをなんと表現したら初めてこの話を聞く人に伝わるのか難しいですが、「メリハリ」ですよ。

・サビをキャッチーにすること
・爽快感を際立たせるために他の部分と明確な差をつける

ドキモほどのメリハリをつけなくても、このくらいでもいいのかなという曲もあります。それは歌詞の中の繰り返しの量を考えてどのくらいにするか決めるべき。

こちらの歌詞がこのようになっています。鬱音は「ひたすら」のひが3回あるだけですがかなり抑えめで歌っているので目立ってないです。ほぼ鬱音がないです。


ai加点にこだわりがない分、サラッと聞けます。

根暗な内容を希望を持てる単語で否定していくとネガティブな部分を帳消しにできます。歌の最後をこれで終わらせるとまた最初から聞きたくなるのでヘビロテ要素としてはとても強いです。

BABYMETALの場合はバックで演奏しているバンドのほうが本命で、歌詞を歌ってる女の子たちはこのくらいシンプルなくらいでいいのでしょう。

この曲から本当に読み解かなければならないのは、明らかに歌詞以外の部分の加点です。魅力的な鬱音もバンドの方に存在します。

・aeoなどのベースはしっかりしているが特定の加点は多いわけではない
・元々鬱音自体が少ない

この2つの要素だと「つまらない曲」になりやすいです。

・「脳に負荷の少ない魅力のある鬱音」
・歌詞以外の加点

これをバンドが担っているんです。

それはリズムと音の上げ下げなのだろうけど、私には難しすぎるので気分転換にこちらを。


この曲の特徴的な加点は

ほっぷ すてっぷ じゃんぷ⤴
ドルゥ ドロゥ ドロゥン⤵

の部分です。ちょっとほかに類を見ないくらいの加点です。

ちっぷ しろっぷ ほいーぷ

この部分も加点です。

ということは「リズムの問題」なのか、「っぷ」が加点になるのかどうかと考えていくことになりそうです。

今回掘り下げるのは単語の最後に来る「ぷ」です。

ぷという日本語の音は破裂音っぽいけど「摩擦音」です。

「ぷ」は、唇を閉じてから息を吐き出す音ですが、破裂音とは異なり、閉鎖と開放の間に摩擦音が発生します。この摩擦音によって、「ぷ」は破裂音よりも柔らかい音になります。「ぷ」は、子音「p」と母音「u」の組み合わせです。子音は、空気の流れを遮る音であり、母音は、空気の流れを自由に通す音です。

日本語の言葉の中では「ぷ」は大きくて印象の強い音なんです。この「強く印象を与える音」をうまく使ってみたいですよね。

特にほっぷの「っ」と「ぷ」の組み合わせは、促音と摩擦音の組み合わせではなく「p」の子音と「u」の母音の組み合わせです。

  • アップ、カップ、タップ、チャップ、マップ、ラップ、切符、キップ、ちっぷ、リップ、コップ、チョップ、ポップ、ホップ

  • クラップ、ラインナップ、ステップ、ゴシップ、スキップ、トリップ、シロップ、ストップ、ドロップ

  • ハンズアップ、ピックアップ、マグカップ、メイクアップ、ピンクリップ

  • クランクアップ、スタンドアップ、ステップアップ、スマッシュアップ、ビルドアップ、レベルアップ、スノウドロップ、デスクトップ、ティアドロップ

このっぷの組み合わせは「語尾でなくてもいいし、歌い方で工夫ができる」ような気がします。たとえばこちら。Septemberのpの前にちょっと跳ねるような感じのリズムで歌ってますよね。これ同じ加点になってませんか?

普通に歌うと違うけど跳ねるように歌うとっぷになる。

これは応用が利きそうな加点のような気がします。

っぷっぷっぷっぷ っぷ

この音。


ついでにこっちもヘビロテ曲。

Backという単語でも加点になっていることが多いですね。ということはこの曲もそうかな?

・ップ
・ック

両方いけてますね。


ぱぴぷぺぽにこだわってる人沢山いるんですよ。

・パーパーパー パ パパパパ


それならば。

ぱぴぷぺぽ
ばびぶべほ
がぎぐげご
かきくけこ
らりるれろ
や ゆ よ

これにを加えて組み合わせた歌を作ると最強に脳に良い曲が出来上がるというのはわかっているのだけど、この曲の印象が強すぎて他を思いつきにくいのが難点です。

この曲のコメントが

・中毒性が半端ない
・また来てしまった。時々聴きたくなるな。
・時々夢に出て来る怖さがある神曲…

というように原因不明の中毒性を表現するものが多いのも納得です。今はもう流行らないと思いますが昔大流行しました。

「聞きたくないのに聞いてしまう」

それが破裂音と摩擦音たちの魔力です。


問題はこの要素を組み込みながらかっこいい歌が作れるかどうか。

それが一番難しい。



まとめると。

【aeoとiuの鬱音の法則】
・フレーズの最後の音が母音の「あ(a)」「え(e)」「お(o)」で終わっている曲はよく聞く➡良い音
・フレーズの最初もaeoの母音で始まるともっと良い
・フレーズの最後の音が母音の「い(i)」+休符で終わっている曲は嫌がる、歌の途中でも「い」と「休符」が入っていると嫌がる➡悪い音(鬱音)
・同じ母音の繰り返しでaa⤴,ii⤴,uu⤴,ee⤴,oo⤴のように後ろの音程を上げると鬱音になる

【iuの例外と回避方法】
・フレーズの最後の音が母音の「い(i)」で終わっても「い」と「に」の場合は問題がないことが多い(き、し、ち、ひ、み、り、ゐはダメ)➡悪い音の回避
・フレーズの最後の音が母音の「い(i)」で終わっても次のフレーズの最初の音が「い(i)」で始まるなら問題がないことが多い。う段も同じだが、い段はい段、う段はう段の場合だけよくて、い段とう段が絡んだ場合はダメ。➡悪い音の回避
・打楽器の音程でaeoを作りiuを回避する
・母音のaua、iuはゆるやかな鬱音。繰り返すと否定のテクニックが効かないことがある
・フレーズの間に合いの手を入れることで音を増やして鬱音を回避する
 同時に歌唱を難しくすることで脳の理解を遅らせれば聞きべりしない
・鬱音を含む場所を抑え気味に歌うと鬱音消しができる

【繰り返しの法則】
同じ歌詞や同じフレーズの繰り返しも好き➡良い音

【ai加点の法則】
母音が「あい(ai)」「いあい(iai)の単語が入ると良い➡良い音
aiaiと繰り返すものはもっと強い効果がある➡良い音
aiを伸ばす音はさらに強い効果がある➡良い音
aaaiのように連続する母音は強い効果がある➡良い音

【促音の法則】
「きっと」「ずっと」「もっと」「ちょっと」という促音も好き➡良い音
これの繰り返しはもっと良い

【無音の鬱音の法則】
音の数が増えてくると無音ができた瞬間にその場所が悪い鬱音になる

【発声の加点】
破裂音・はじき音・鼻音・摩擦音の繰り返しは加点になる
・っ+(破裂音・はじき音・鼻音・摩擦音)は強い加点

【んの法則】
・語尾が「ん」の場合は同じ単語の中にaeoの音が沢山入っているものはそのまま加点になる
・iuを含みながら語尾が「ん」になっている単語は鬱音になる

【歌詞による鬱音回避の法則】
・サビの中にある鬱音は被害が大きいので入れない
・「ポジティブな意味の単語」の量と「ネガティブな意味の単語」の量が1:1だとネガティブな言葉の威力の方が大きいので、「明るい歌詞」と「暗い歌詞」があるなら明るい歌詞の分量を多くしないといけない
・暗い意味の歌詞の後には希望の意味の歌詞で否定することで負担を軽減できる
・歌詞に答えのない問いがあるとそれはどんなに素晴らしい曲でも鬱曲になる

【聞き減りをさせない曲の構成の法則】
・「希望の意味の歌詞」で歌を終了させると人は繰り返し同じ曲を聞きたくなる
・間奏は長くてもよいが、前奏はないかサビ同然のメロディがないと疲れた脳は長い前奏に耐えられない
・「聞く」という行為に集中できるように音の層が厚い曲が良い。クラッシックのオーケストラのように楽器の数が多い曲が良い

【リズムと音の上げ下げのह्री法則】
・音を下げるときに良い効果がある(Oṃ)
単語の最後の音節が弱く発音され、下降調で終わる単語
・歌詞の語尾を「~が」「~だ」「~です」「~ます」とすると下がる
・特定のリズムで癒しの効果がある(〇〇● 〇〇〇〇)
・wowなどの音を繰り返して下げる音を増やす
・音の下げ幅が大きいほど良い
・フレーズの最後をしっかり下げると効果が高い
・ショパンの構造の曲(三連符)
・ファリャのリズム Falla : Danse espagnole ●〇〇 〇〇
・iu、ie、ui、eiは鬱音になりやすいが音を下げると回避できることもある

【おん きりく ぎゃくうん そわかのリズムと音の上げ下げ】
〇  〇〇〇 〇〇〇〇  〇〇●
おん きりく ぎゃくうん そわか
⤵   ⤴  →→→→→  ⤵⤵⤵


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