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脳性麻痺と糖の摂取について

私の子供は病院で処方される薬のほとんどで苦しみました。病状を改善するはずのお薬が効かないばかりか、体が腫れ上がり嘔吐下痢を繰り返すのです。まだ飲まないほうがマシ!最初におかしいと気づいたのは「カルボシステイン」という風邪のお薬でした。

最初は風邪で吐いているのか薬で吐いているのかわかりませんでしたが子供が薬を飲むことを嫌がるので怪しいと思って調べましたがその時はわかりませんでした。

次に違和感を感じたのが「ロゼレム」というメラトニンのお薬でした。1日に2時間しか寝ていなかったので処方されたのですが効果がないばかりかほかのどのお薬よりも苦しみました。病院や薬局、製薬メーカーに問い合わせてみても「安全性の高いお薬でそのような症状が出たということは聞いたことがない」と言われたのですが、私は1つ気になることがありました。それは「甘味」です。普通の食品であっても甘いものは一切受け付けませんでした。子供用の風邪薬には甘い味がつけてありましたしシロップの形状をした薬はすべて苦しみました。ロゼレムにも乳糖が入っていました。

「甘いものダメなのかな?」

最初はそんな疑問でしたが、「乳糖がダメな人なんていない」と言われ「乳糖不耐症の人はこのお薬は飲めないんだろうか?」と疑問に思い質問してみると「使われている量が少ないから乳糖不耐症の人でも問題なんて起きるわけがない」と言われたのです。

ですが頭部MRIを撮影する際に使った鎮静のお薬のシロップを飲んだ時に激しい発作を起こしました。

私の子供はほんの少量の糖質や人工甘味料で苦しんでしまう。

それがほかのレクチンをはじめとした生体異物の不耐症とどのように関係があるのかはすぐにはわかりませんでした。ただ良かれと思って食べさせた甘いもので毎回苦しんでいたので、レクチンを除去するのと同じように食べさせて苦しんだ甘味料に関しても除去するようになりました。


糖質による不具合

MRI撮影に失敗した際に飲んだ鎮静のシロップにはカルボシステインに入っていた成分と同じものが入っていました。そこで今まで具合が悪くなった糖質についてもチェックしてみたところこのような状況でした。

症状が重かった順番に並べてみるとフェニルアラニンの影響が大きいということがわかります。芳香族系のアミノ酸と糖アルコール、二糖類、多糖類で症状が出て、ブドウ糖と果糖は問題がないということは「単糖類は食べることができる」ということです。

1. ア ス パ ル テー ム (芳香族系アミノ酸)︓ 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡 
2.ア セ ス ル ファ ム カ リ ウ ム (芳香族系アミノ酸)︓ 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡 
3. エリトリトール(糖アルコール)︓ 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡
4. ス ク ラ ロー ス (有機塩素化合物)︓ 嘔 吐、 下 痢、 腹 痛、 頭 痛、 呼 吸 停 ⽌、 嗅 覚 の 低 下  
5. ト レ ハ ロー ス(二糖類) ︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡、 奇 声、 混 乱、 嗅 覚 の 低 下  
6.キ シ リ トー ル (糖アルコール)︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡、 奇 声、 混 乱、 嗅 覚 の 低 下 
7.は ち み つ (二糖類)︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 頭 痛、 傾 眠
8.ソ ル ビ トー ル (糖アルコール)︓ 膨 満 感、 下 痢、 腹 痛、 異 常 な 眠 気、 倦 怠 感  
9.キ サ ン タ ン ガ ム (多糖類)︓ 倦 怠 感、 重 度 の 下 痢、 腹 痛、 ⾷ 欲 不 振、 嗅 覚 の 低 下  
10.果糖ブドウ糖液糖(二糖類):    倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 頭 痛、 傾 眠  
11. グ アー ガ ム (多糖類)︓ 倦 怠 感、 重 度 の 下 痢、 腹 痛、 ⾷ 欲 不 振、 嗅 覚 の 低 下 
12. カ ラ ギー ナ ン(多糖類) ︓ 倦 怠 感、 重 度 の 下 痢、 腹 痛、 ⾷ 欲 不 振、 嗅 覚 の 低 下 
13.⽢ 草 (グリチルリチン、ブドウ糖、ショ糖など含む)︓ 倦 怠 感、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 不 眠、 視 ⼒ 低 下  
14.ト ウ モ ロ コ シ 由 来 の ぶ ど う 糖 ︓ 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡  
15. ト ウ モ ロ コ シ で ん ぷ ん(多糖類) ︓ 倦 怠 感、 下 痢、 腹 痛、 傾 眠 
16. ジャ ガ イ モ で ん ぷ ん (多糖類) ︓ 倦 怠 感、 下 痢、 腹 痛、 傾 眠 
17. ⽔ 飴(でんぷん由来) ︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡 
18. グ ラ ニュー 糖(ショ糖) ︓ 嘔 吐、 下 痢 
19. ス テ ビ ア (テルペノイドの配糖体)︓ 倦 怠 感、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 不 眠、 視 ⼒ 低 下、不眠 
20.メー プ ル シ ロッ プ ︓ 倦 怠 感、 ⾆ の 痺 れ、 傾 眠、 視 ⼒ 低 下  
21.乳 糖 (二糖類)︓ 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡、 奇 声、 混 乱、 不 眠、 呼 吸 停 ⽌、不眠  
22.⿊ 砂 糖 (二糖類)︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡、 視 ⼒ 低 下、不眠  
23.一部のオ リ ゴ 糖 (多糖類)︓ 下 痢、不眠(フラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖)
24. き び 糖(二糖類) ︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡、 視 ⼒ 低 下、 視 ⼒ 低 下、不眠
25. イ ヌ リ ン(多糖類) ︓ 倦 怠 感、 下 痢、 発 熱、 視 ⼒ 低 下 
26.⻨ 芽 糖 ︓ 倦 怠 感、 嘔 吐、 下 痢、 低 緊 張、 て ん か ん、 昏 睡  
27. サッ カ リ ン(安息香酸) ︓ 倦 怠 感、 眠 気、 ⾆ の 痺 れ、 嗅 覚 の 異 常 
28. セ ル ロー ス ︓ 倦 怠 感、 下 痢、 腹 部 膨 満 感 
29.難消化デキストリン(多糖類):倦 怠 感、 下 痢、 腹 部 膨 満 感
30.ペ ク チ ン(複合多糖類) ︓ 腹 部 膨 満 感、 メ ン タ ル 低 下、 低 緊 張


糖質に関してもレクチン含有食品の影響はあると思います。レクチンの多いトウモロコシ由来の成分が含まれているものはすべてダメです。グラニュー糖には精製過程でコーンスターチが使われているため食べることができません。羅漢果は形状からレクチンが多そうなので試したことがありませんが症状は重そうです。

上白糖<三温糖<黒糖の順で症状が重く出たので精製してある方が安全に食べられました。甘草やステビアなどの非糖質系甘味料はテルペンなどのいろいろな成分のせいで難しいのだと思います。


なぜ単糖類以外を摂取すると苦しむのか?

今現在、私の子供が安心して使える甘味は「ブドウ糖(グルコース)」「果糖(フルクトース)」「てんさい糖を少量」の3つだけです。てんさい糖にはオリゴ糖が含まれているので一見食べられなさそうにも思えます。実際大量に食べると具合が悪くなります。オリゴ糖はいくつも種類があるのでその一部は問題ないのかもしれません。また「レクチンはショ糖と一部のオリゴ糖と結合して非活性化する」とも言われています。その作用は調理の際に意図して完璧に行えるほど簡単ではないのでなかなか難しいです。

単糖類とマルチプル(二糖類以上の糖)の違いは何かというと、体内で「二糖類分解酵素」を必要とするかどうかです。

たとえばブドウ糖は単糖類なのでそのままの形で脳でエネルギーとして使われます。ショ糖(スクロース)はグルコースとフルクトースが結合した二糖類です。これを二糖類分解酵素でバラバラにしてできたものをそれぞれ体の中で使われます。

二糖類分解酵素はいろいろありますが大体は「スクラーゼ-イソマルターゼ」がカバーしています。これは小腸の柔毛の上に乗っかっています。未消化の乳糖などの二糖類は浸透圧負荷をもたらすので下痢になり、下痢が続くと酵素が流れてしまうので状況は悪化し、腸内細菌がこれを代謝してガスを発生させるのでおならが多くなります。

それで私は「二糖類分解酵素が不十分なせいで下痢をして、グルコースを思うように作れないせいで低血糖になっている。だから低血糖による発作などが起きていて、単糖類以外を摂取するたびに具合が悪くなっていた」と、考えました。


血糖値を24時間計測しながらコントロールする

そこで24時間血糖値を計測する「フリースタイルリブレ」という機械で血糖値を測定することにしました。対処療法として「足りていないグルコースを足して発作などの症状を抑えたい」と考えたからです。

すると思った以上に血糖値が低く、通常時で50~60mg/dl、食後で65~75mg/dl、睡眠時は40mg/dl以下で測定不能になることが多かったのです。測定不能の時は発作を起こしていました。


脳性麻痺の子供は壊滅的な夜間低血糖なのだと気づきました。

それで計測しながらブドウ糖を足してやるようにしました。5g与えると30分後に10mg/dl上がっているという程度だったのでとても分かりやすいです。これによって発作の回数はかなり減ってきました。

ただしフリースタイルリブレはとても高価な商品です。1つ7000円以上しますし2週間使えるということになっていますが10日を過ぎるとエラーが出ることが多く実質1カ月に3個は必要でした。毎月2万円のランニングコストがかかるのですが、インシュリンの注射を打っているような糖尿病の患者さんは保険適用されても低血糖の患者は実費で買う以外ありません。しかも初期不良などで貼ってもエラーで使えなくて新品に張り直しをしなければならないことがあって、交換対応をしてもらえるのですが毎回その手間が大変なのです。それで状態が悪くなっているときや新しい薬の効果を試すときなどに使っています。

利用しにくい面もありましたが、大きな発見がありました。

それは「いつ血糖値が下がっていてどのくらいのブドウ糖を足せばよいのか」が明らかにわかったからです。そして何をどのくらい食べたら血糖値が上がるのかということも、目に見えてわかったことは意味があることでした。

よくお医者さんや管理栄養士さんには「たとえ野菜などから糖質が取れなかったとしても、お肉を食べれば脂肪などが入っているからエネルギーになるはず。何か食べていれば血糖値は上がるんじゃないの?」と言われていました。でも実際はほとんど何にもかわりがなかったんです。むしろ何か食べたことによって下がってしまうことすらありました。食後の血糖値が平常時よりも低くなるような現象です。

単に「インシュリンがいっぱい出ちゃった」ということでしょう。そこで「たんぱく質を取るときは脂質と炭水化物をしっかりと取る」ということを始めると、大きな発作を起こすことが減り、筋肉がしっかりついてくるようになりました。

夜中のブドウ糖の補給や朝起きてすぐに糖を補給することの意味は大きかったのです。

ただし足りていない二糖類分解酵素を足せばよいのかというとそうではありません。二糖類分解酵素のスクラーゼ-イソマルターゼは糖鎖分解酵素でもあります。二糖類にも糖鎖にもどちらにも使える便利な酵素ですが、これが危険。糖鎖も一緒に溶けて例の「舌に穴があく」症状が出ます。舌がボロボロになってくるとてんかんなどの発作が頻発していました。

舌に穴が開いている理由が「糖鎖分解酵素によって舌の表面のシアル酸が脱落したせいでガラクトースがむき出しになるほどの潰瘍ができて穴が開いたのではないか?」と考えられたため、舌の糖鎖だけでなく全身の糖鎖が溶けてしまったら脱髄が起こり発作につながるような二糖類分解酵素を誘導する方向は選択肢として不適切なように思えたのです。

そこは別方向から対処する必要があるはずです。

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