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糖鎖を溶かすジンジバリス菌

子供の低緊張が強く出てよだれを垂れ流してばかりいた頃、私とベビーシッターさんはよくケンカをしていました。

「台所の流しが汚くなったときいつも子供の具合が悪くなっている気がする。お風呂もそう。カビが出てくるたびに発作を起こしてる。」という私と「掃除なんて関係ない!」というシッターさんとの間に大きな隔たりがありました。その頃私は体調が悪くて入院したりしていたので、シッターさんに1週間泊りがけで預かってもらっていたんです。帰宅したときに水回りが汚かったことに驚いて注意したら「自分がいる間は発作なんて起こさなかったから関係ない」と言うのです。帰ってきたとたんあちこち掃除をし始めた私の様子が気に入らなかったらしく「掃除だってちゃんとしていたのに!」と言うシッターさんと「できてないよ!ヌルヌルしたのが出てきてるよ!」という私。つまらないことで言い争っていると子供は白い目で私たちを眺めていました。

ですがこの時の私の気づきは正しかったと後になってわかりました。


糖鎖を溶かす酵素を作るのはジンジバリス菌!

世の中にはジンジバリス菌という小汚い菌がいます。どのくらい汚いかと言うと歯槽膿漏の原因菌でドブ臭い匂いを作り出す張本人で人間の体では皮膚・大腸・膣などにもいます。家の中にはどこにでもいて、特に水回りで増えます。もともとはピンク色をしているのですがタンパク質を餌にしたときは黒く変色します。水回りで黒くカビるアレのことです。わぁ!汚い!

この菌は体の中で何をするかと言うと、「酵素」を作ります。「シアリダーゼ」という酵素で「シアル酸」を溶かします。

ここで言うシアル酸とは「N-アセチルノイラミン酸」というN結合型の糖鎖です。プロテオグリカンはO結合型の糖鎖でした。どちらも人間の細胞の核の中にあるゴルジ体で作られています。

シアル酸は脳では脳細胞同士をくっつけるノリのような役割をしています。粘膜の表面にもシアル酸が存在します。癌細胞の表面もシアル酸ですし、インフルエンザなどのウイルスの表面もシアル酸です。

たとえば癌細胞の表面のシアル酸は鎧のような役割をしていて免疫細胞や抗がん剤から癌の中身を守っています。ですが癌細胞自体が転移・増殖しようとしたときにはその鎧が邪魔をして外に増えることができなくなります。これだけだと癌細胞自身を守っているのか成長を邪魔しているのかわかりません。

そこで重要なのが「シアリダーゼ」という糖鎖分解酵素です。この酵素が適切なタイミングで適切な量分泌されたら、シアル酸をパカっと外してその隙に転移・増殖します。さらに増えた先でも表面にシアル酸をくっつけてしまえばまた強固な鎧の完成です。

脳にダメージが生じた際にもアロマターゼやエストラジオールが神経を保護しようと集まってきますが、シアル酸もこれらと同じでダメージがある部分に取り付いてカバーの役割をします。ですがこれがあるせいでシナプスが伸長したくても邪魔をされていてできません。

脳性麻痺の子供の脳がなかなか発達しないのは、シアル酸とシアリダーゼのコントロールが難しいからです。シアリダーゼが多すぎるのも少なすぎるのも悪いです。重要なのはタイミングと量が適切でバランスが取れていることです。癌の治療も同じことが言えると思います。

脳細胞を増やすためにグリア細胞を増やすための脂肪酸と髄消化を進める為の脂肪酸を組み合わせて食べさせた時は、シアリダーゼがある程度多くないといけないと思います。ですがシアリダーゼが多すぎるとどうなるかと言うと本来脳細胞を構成するときに必要なシアル酸が少なくなってしまうので脳細胞は成長しません。

「脳にダメージができたせいでシアル酸が多くなりすぎて脳細胞が増えない」

と言うのは事実です。ですが同時に

「シアリダーゼが多すぎるせいで脳細胞が増えない」

という状況でもあるのです。

普通は「多すぎるならシアル酸が増えすぎて困るということはないだろう?!」と考えると思います。ですがアロマターゼやエストラジオールが集まり続けている限りはシアル酸も集まってしまうので、脳全体ではムラができます。脳にダメージがある場所では少なすぎて、それ以外の場所では多すぎるという状況になります。

舌の表面のシアル酸も一部分だけが脱落して、多い部分は異常に盛り上がっていました。すべての場所で同じではないのです。多いところと少ないところのムラがあるので、それに応じて対処していかなければなりません。

アロマターゼ阻害薬を使うと、アロマターゼが減るのでシアル酸も減ります。舌に空いた穴は修正され、言葉もよく出ます。穴が大きくなる時はそれ以外の部分が盛り上がってしまいます。盛り上がれば盛り上がるほど穴も深くなっているようです。飲んだら次の日には舌が綺麗になっているのでものすごくよく効きます。

舌全体の盛り上がりは少ないけれど、広範囲で舌の表面が荒れているときがあります。このようなときは生薬の黄連を使った漢方薬を使うと良いです。

黄連がなぜ効果があるのかというと、口の中にいるジンジバリス菌を除菌する成分が入っているからです。ベルベリンという成分がそれにあたります。

黄連は単体だとあまり効いたという実感がなく、少し熱っぽくなったり具合が悪くなったと感じることが多かったので、ほかの生薬との組み合わせをいくつか考えてみました。

一般的には黄連解毒湯や三黄瀉心湯があります。私は黄連を麻黄湯に加えて飲ませてみました。私が飲んでも体調がよくなりますし、子供の舌の荒れ方は改善しました。そして黄連を飲ませた後1週間くらいは子供の言葉がよく出ます。

麻黄湯に混ぜると通常の風邪薬のような効果は全くなくなります。色も匂いも変化して体の中の作用もかなり変わってしまいますが、歯茎の赤味や腫れも消えました。ただし割合が難しく多すぎると単体で取った時のように苦しみ、少なすぎると全く効果がありません。何度か繰り返すうちに比率がわかってきました。私は夜寝る前にこの組み合わせで飲ませるのですが、飲んだ日と飲んでない日の違いを本人も理解しているのか喜んで飲みます。アロマターゼ阻害薬のように即効果を感じるような効き方はありませんが、3日ほど続けて飲ませていると舌はきれいになっていきます。

舌の表面が少なすぎると感じたときは、シアル酸のサプリメントを飲ませます。するときれいな舌になり体調も落ち着きます。

舌は体全体のシアル酸の量を読み取るヒントになります舌の形状を見ながらどちらの薬を使うのかを吟味すると、体調は良くなります。穴が空いたのに放置していると大きな発作を起こしててんかんや無呼吸発作で救急車を呼ぶハメになります。

筋肉の柔らかさ、舌の穴、言葉や認知。

これらは関係があり、それはジンジバリス菌とシアリダーゼの関係からくるものです。


掃除が1番!薬が2番!

体内に入ったジンジバリス菌を黄連で解毒しても、家の中にたくさんジンジバリス菌が存在していたのではきりがないはずです。解毒しても新しい菌がやってきていたらいたちごっこですから。できるだけ薬を使わないでやりたいので、掃除で家中をきれいにするのが正しい方法だと思いました。

台所やお風呂などの水回りは特に除菌に力を入れます。一見綺麗に見えても定期的に専用の洗剤を使います。部屋は掃除機を頻繁にかけて埃が溜まらないようにします。ジンジバリス菌は埃の中にいる菌なので家の風通しを良くして湿気ないようにし、洗えるものは洗って、日干しできるものは干し、次亜塩素酸などをスプレーで吹き付けます。

・水回りのヌルヌルを取って掃除・除菌する!
・部屋の中の埃が溜まらないように掃除機をかける!

私は家の中をきれいに掃除するだけで子供が元気になるならいくらでも掃除します。風水ってお掃除が基本だと言いますよね。なんとなくわかる気がします。妊婦さんがトイレの掃除をしたら元気できれいな子が生まれると言うのも。

なんだか健康って家の掃除から始まるんじゃないかと思いました。

歯を磨け!とにかく磨け!

口の中にたくさんいるので、歯磨きは欠かせません。歯だけではなく舌の上もブラシで撫でるようにして掃除してやります。脳性麻痺の子供は口周りに麻痺や過敏があることが多く、歯磨きは至難の業です。

ですから歯ブラシは3種類くらいを使い分けて使います。

こちらが我が家の歯磨きセットです。

口が開きにくいので奥歯は乳児用のブラシの長さの短いものを使い、歯並びの悪いところや細かい溝のある部分は毛束の細いものを使います。前歯などの広い面はしっかり磨きたくても敏感な部分なので長時間磨くことは難しいです。ですから大人用で刺激の少ない柔らかめの歯ブラシで毛束の多いものを使います。歯石除去のスケーラーも便利です。


歯磨き粉は「オーラルピース」という商品を使いました。

こちらはうがいをしなくてもよい歯磨きジェルです。高齢者や障害者向けに開発された商品ですが、キャンプや登山などでも使われています。食べてしまっても良いので安心です。


ウイルスと糖鎖分解酵素

新型コロナウイルスの重傷者には歯槽膿漏の人が多いとニュースで知りました。ウイルスが感染する際には、ウイルスの表面の糖鎖を少し溶かして人間の粘膜の糖鎖と結合します。なぜ今まで人類がほかの動物よりも地球上で繁栄できたのかというと、動物が持つ病気のウイルスの糖鎖分解酵素と人間が持つ糖鎖分解酵素の性質が異なったからです。インフルエンザの薬で有名なタミフルやリレンザは糖鎖分解酵素阻害剤です。

新型コロナウイルスの糖鎖分解酵素と人間の糖鎖分解酵素が近ければ近いほど感染しやすく、当然重症化しやすいはずです。

対策を取るのであれば手洗いとマスクに加えて、歯磨きもとても効果があると思います。

結核の薬のリファンピシンは肺炎の薬で、新型コロナウイルスにも使われています。私たちのような糖鎖の病気にも効果がありました。これは細胞膜を破壊するタイプのお薬なのでレクチンの膜も壊してくれるのでしょう。竹如温胆湯も同じように新型コロナウイルスの治療に使われていて、これには黄連が入っています。種類は違えど糖鎖に関連する病気同士つながる部分がたくさんあるため、新型コロナウイルスの論文を読んでいるとヒントになることがたくさんあります。後遺症の症状などは特に糖鎖関連の病気の症状に一致するので、おそらく治し方も似ているはずです。

興味深いことです。

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