シャフリングとばね指の関係
私の子供がやっと座れるようになったころ、移動するためにシャフリングをしていました。シャフリングとはいざり這いとも言います。四つん這いになって這わずに、座ったままで手を使って歩くような状態です。
「たとえシャフリングでも移動できるだけでもいいのよ~」と、とあるダウン症のお母さんで保育士でもある女性に教えられたのでてっきりそうだと思っていたのですが、しばらくすると私の子供はばね指になりました。
ばね指とは指が曲がったまま戻らなくなるのです。原因は手の付き方にありました。シャフリングをしていたのが悪かったのです。
そこで整体の先生に相談してみたところ次のように言われました。
「ばね指になる原因はいざりばい(シャフリング)をするときの手の使い方。手を不自然な形にしたまま体重をかけるから親指や手首に負担がかかって亜脱臼しているんだから、今から言う手の形をさせたらダメだよ」
①親指を握って中に入れたまま手を床についてシャフリングをする
②親指以外の指を握りながら体重は親指にかけてシャフリングする
③親指以外の四本の指をまげて(稀に親指も曲げて)曲げた指と手のひらに体重をかけたままシャフリングをする
④親指だけをついてシャフリングする
⑤親指と一部の指先だけをついてシャフリングする(大抵の人は親指と薬指と小指、まれに中指も)
⑥指先だけを床につけてシャフリングする
⑦ものを持ったまま親指に力を入れてシャフリングする
私の子供は②③④⑥⑦を毎日やっていました。特に物を持ったままシャフリングしたときはばね指が強く出ていたので、ばね指とは体重がすべて親指にかかることで起きるケガだと思います。
シャフリングの子供がばね指にならなくするための方法はただ1つ。正しい手の付き方を覚えることです。手のひら全体に体重をかける付き方が正しいのです。
移動ができれば何でもいいとは限りません。手が正常に発達せず物を持ったりつまんだりできないなら移動が数年遅れるくらい大したことではありません。体の発達には順序があります。シャフリングはそれを飛び越えて移動を可能にするものですが必ずしっぺ返しがあります。
一度ばね指になるとなかなか治りません。2歳の時点でばね指になりましたがもうすぐ7歳になろうというのに治る気配はありません。これはばね指にさせないように正しい手の付き方を教えることで予防するのが最善です。
そういう意味ではシャフリングはさせてはならないです。
発達の順序
子供の発達は細かく言うと16段階で進んでいきます。ですが「首が座る、腰が据わって座れるようになる、立つ、歩く」のような感覚でいる人がほとんどだと思います。
正しく寝る
目を動かせる
首が座る
左右に寝返る
旋回する
後ずさりする
ずりばい
ひざつきばい
お座りをする
高ばい
つかまりだち
つたい歩き
床からの独り立ち
歩行-ハイガード歩行
歩行-ミドルガード歩行
歩行-ローガード歩行
私の子供は座位がきちんととれていないのに一応座れているという状態が長く続きました。それは「きちんと座れていないから立てなかった」というだけなのですが「立つ訓練」をしていても効果がありませんでした。そこで「旋回」まで戻って訓練をするときちんと座れるようになってそのあとは何もしなくてもつかまり立ちができるようになりました。
焦りは禁物
親は一日も早くできることが増えるようにと願うし、訓練に連れて行っている限り療育者も何とかそれっぽいことをしているフリをしなければお金がもらえません。だから麻痺があって歩けない子供に訓練をするときに歩行器にのせて無理に歩かせようとしたり、腕を持って歩かせようとする療育者がいますがそれでは歩けるようにはなりません。きちんと「発達」することが重要で、途中をスキップしてしまうと後で思わぬ不具合が出ます。
本当にしなければならないのは、「早く歩かせる」ことではなく「きちんとした寝姿で寝かしつける」ということです。寝方がおかしければ不具合が出ます。ちゃんと寝て、ちゃんと目を動かせて、ちゃんと首を動かせるようになっていれば、自然と当たり前のことが当たり前にできるようになるはずでした。
シャフリングを続けていると膝立ちで歩くようになります。立って歩けないので仕方がないです。膝立ちで歩いていると、膝はいつも青あざだらけになります。膝の関節も不可がかかるので変形して痛みを訴えてきます。それでも移動に対する欲求があるので止めることもできません。痛がる足をさすってやるくらいしかできることがない状況になると親は辛いです。
早く早くと焦ってはならないのに、誰もが焦ります。想定よりも1日でも早く歩けることより、大人になった時にどこにも痛みがなく過ごせているほうがずっと良いはずです。大人になってから背骨の変形や片頭痛、外反母趾などの症状が少しずつ出てきたらその苦しみはもっと長いのですから。
これは障害のある子供に限ったことではなく、健常者であっても同じです。人間の体は同じ構造をしているので、外反母趾を治すために寝姿を補正して抱き枕を使うことは意外なほど効果があります。
シャフリングやばね指は将来の痛みを予言してくれているんです。
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