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Midjourneyに新海誠風の空を描かせる

Midjourneyを使い始めた日本人ならば「アニメっぽい絵を描かせてみたい」と誰もが一度は思うと思います。日本人も外国人もみんなやりたいし、実際にやってますね!

ジブリ風とか新海誠風といった表現を使っている人は大勢いるのですが、一見それっぽい画像にはなるものの「やっぱり実際のジブリとはどこか違う」と思うことが多いです。やっぱり本物みたいにはなかなか描けない。何が違うんだろう?

その違和感の原因を探りながら新海誠風画像をAIに描かせてみたいと思います。


まずは題材だけをリクエストしてみましょう「美しい空、東京の空、雨上がり、夕日、新海誠風」でリクエストしてみました。全然違います。


とりあえずサイズを変更してみましょう。

ちょっとそれっぽくなってきたけどまだまだ違う。1枚だけチェックしてみましょう。右下の1枚をU4ボタンを押して生成します。

何か違う…。

ほんものの新海誠さんのアニメはもっとこう細部まできちんと描きこまれていて本当に見たことがある美しい空なんですよ。AIの空はデフォルメされまくった空というか、そもそも空が違う。

そう!

似ているようで雲が全然違う!
ゴテゴテで盛りすぎなリアリティのない雲だから違和感があったんです。


そこで「天気」を表現する英語を一通り書き出してみました。

sunny/晴れの
clear/快晴の
fine/晴天の
calm/おだやかな
cloudy/曇りの
gloomy/どんよりとした
dark/暗い
rainy/雨の降る
drizzle/小雨
shower/にわか雨
drizzly/霧雨の降る
pouring rain/土砂降り
raining hard/ひどい雨
rainy, and later sunny/雨のち晴れ
cloudy, and later sunny/曇りのち晴れ
sunny, and later cloudy/晴れのち曇り
stormy/暴風の
lightning/稲妻
thunder/雷
thunderstorm/雷雨
hail/雹
snowy/雪
snowflake/雪片
frosty/霜の降りた
hail/あられ
blizzard/大吹雪
snowfall/降雪
windy/風の強い
breezy/そよ風の吹く
favorable wind/追い風
unfavorable wind/向かい風
strong wind/強風
blustery/天気が荒れ狂う
piercing wind/身を切るような風

dry/乾燥している
humid/湿気が強い
damp/湿った
sweltering/うだるほど暑い
comfortable/過ごしやすい
boiling/猛烈に暑い
hot/暑い
muggy/蒸し暑い
warm/暖かい
cool/涼しい
chilly/冷え冷えする
cold/寒い
freezing/凍える

gray sky灰色の空
twilight/夕闇
night sky/夜空
starry sky/星空
summer sky/夏空

sunlight/日光
sunrise/日の出
sunset/日没
morning sun/朝日
evening sun/夕日
afterglow/夕焼け


そこで試しに「foggy」という単語を使ってみると…

確かに「もや」がかかっている。でも晴れてるのにもやっておかしいですよね。

そこで

「東京の街」「昼間」「小雨」「もや」「歩道橋」というような指示を出してみることにしました。

つまり「大まかな場所」「時間」「天気」「天気にまつわるオプション」「細かく書いて欲しいモチーフ」を指定してみたんです。

一体どこまで続く長い歩道橋なのか。それに引っ張られてもやが少ないですね。

ちょっと練習がてらいろんな空を風景と合わせて指定して作っていきましょう。

コツはAIに雲を盛らせ過ぎないということに尽きます。少なくなってきたらこんなにスッキリ。

それには「空」以外のモチーフに関する単語を細かくいれていって、雲に集中させ過ぎないようにするしかないです。雲や空というあいまいな表現だとそれ以外何も描かなくなってしまうので街の方に何を描かせるのかを指示するといいかも。

たとえばこれは「ビル」とちゃんと単語を入れてやったので、ガッツリ真ん中にビルを書かれました。後ろの塔の光っぽいものは何なのかよくわからないけれども努力の跡は見て取れます。

夕暮れに星がちらほら出てきているような空を描かせても、ゴリゴリと雲を描いてくるのですから。

今度は人物もいれてみます。「少女」という短い指示でそこそこかいてくれました。このとき「アニメ」「キャラクター」という単語も入れておきます。

そしてなぜか後ろ姿が多いですね。


そこでちょっと試してみました。雲にこだわってくれるならとことんこだわってもらいましょう。雲の名前を細かく指定していきますよ。

この違いわかりますか?

これ実は「雲の呼び方」を個別に指定してみたんです。すると全部ではないのですが、ちゃんと描き分けてくれました。


〇高さによる雲の種類の名前の表現

Altostratus/高層雲 (おぼろ雲)
Altocumulus/高積雲(まだら雲、ひつじ雲、むら雲)
Cirrus/巻雲(すじ雲・はね雲・しらす雲)
Cirrostratus/巻層雲(うす雲)
Cirrocumulus/巻積雲(うろこ雲・いわし雲・さば雲)
Cumulus/積雲 (綿雲)
Cumulonimbus/積乱雲 (雷雲・入道雲)
Nimbostratus/乱層雲 (雨雲・雷雲)
Stratocumulus/層積雲 (うね雲・まだら雲・くもり雲・むら雲)
Stratus/層雲 (霧雲)

〇 形による雲の種類の名前の表現

Castellanus /塔状雲(巻雲・巻積雲・高層雲・層積雲)
Calvus/無毛雲(積乱雲)
Capillatus/多毛雲(積乱雲)
Congestus /雄大雲(積雲)
Fractus/断片雲(積雲・層雲)
Floccus /房状雲(巻雲・巻積雲・高積雲)
Fibratus /毛状雲(巻雲・巻層雲)
Humilis /扁平雲(積雲)
Lenticularis /レンズ雲(巻積雲・高積雲・層積雲)
Mediocris /並雲(積雲)
Nebulosus /霧状雲(巻層雲・層雲)
Spissatus /濃密雲(巻雲)
Stratiformis/層状雲(巻積雲・高積雲・層積雲)
Uncinus/鉤状雲(巻雲)

〇その他の雲の名前の表現

ジェット気流に伴うものはjet stream cloudt
一列に並んだ積雲はcloud streets
火災などの熱源で発生するものはFlammagenitus
植物から出る水蒸気で発生するものはSilvagenitus

夜ならmeteor showerが使えますね。星降る空なんて素敵。

この辺りを細かく指定すれば意外なほど空にバリエーションを持たせられます。雲の名前を微調整するだけで、「Makoto Shinkai style」は活きてくるので、応用がきいて楽しいですね。

試しにいろんな雲の名前を入れて画像を作るとあまり見たことがない空になりました。


とにかくこの実験で「描きたい雲の種類は人間が選べる」ということがわかりました。リアリティのある空をきちんと描くためには、同時に存在してもいい雲の種類を知ることから始めるべき。気象の知識が必要ですね。

ちなみにこの雲の描かせ方は、アニメ風ではなくリアリティのある表現で写真風するときにも使えるテクニックです。ただし色味の指定を細かく入れていくべき。

Sunrise Yellow, cirrus cloud, flanking line, Pile d’assiettes

ついついてんこもりにしてあそびたくなっちゃう。

clear sky, high clouds, daytime, riverside road

新海誠風という表現は空の色と雲の流れ方に特徴があって、それがなくなった時点で空は一気に単調になります。


今回人物無しの場合は、「場所+天気、時間、描きたい街のモチーフ、アニメ、新海誠風」の後に画質に関する表記をしました。

人物を入れる場合は「人物の情報、場所、天気、時間、書きたい街のモチーフ、アニメ、新海誠風」という並びにしたほうが人物が目立ちます。


それと1つ気を付けるのは「ちょっと暗いかな」という絵になってしまったとき、タッチが油絵風になってしまうことがあります。できるだけ画質の調整をする際に照明に関する記述を入れて「明るいライティング」を心がけたほうが全体的にそれっぽく仕上がりました。

やや暗いとタッチが変わる


AIお絵描きは自分の思い通りに描けた時が一番楽しいです。たまたま偶然描けたというのではなく、描こうと思ったものを狙い通りに描けるようになりたい。それにはやっぱりコツが必要なので、細かい小技をどんどん身につけていきたいです。




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