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外反母趾の治し方

外反母趾が酷かった時、私の子供の体は極端な言い方をするとこのようになっていました。

左が普通、右が外反母趾の子供の体形です。

矢印の部分を見てください。股関節は外に開いています。そして足先も外を向いています。ですが体が柔らかくて関節もゆるゆるな子供がこの状態で立ち上がった時不思議と膝の関節は内側に入るのです。ちょっと真似をしてみようと思っても筋肉量がきちんとある健康な大人には再現できません。この複雑な立ち方ができる脚は負荷が足先にかかるので外反母趾になります。

横から見た場合はこのようになっています。横から見たらわかりやすいのですが、猫背のまま腰は反っているんです。反身の猫背です。股関節のゆがみが足先のゆがみを作り、それが腰と首のゆがみを作ってしまうのでこのようなバランスになってしまいます。

まず椅子に座ったときに股関節が開いているのでこのように足の裏と裏が向き合っています。股関節の向きが正常でないため、足の裏を床に着けることが出来ません。以前私がまだ足について理解が浅かったとき、足の裏を床に着けることがとても大事だと思っていたので無理やり手で押さえてでもつけさせていました。でもそれは間違っていました。足の先の形はこれで正しかったんです。

床に座ったときも同じように足の裏と足の裏が向き合っています。頭が重いので前のめりになります。この時低緊張の子供は腹筋がないので体重はすべて足先にかかりひどい猫背になります。

これを治すには、まず太ももの向きが正常にまっすぐ向いている必要があります。

これはこちらの記事にも基本的なことを書きましたが大切なことは同じです。太ももが開きすぎても内側に入りすぎてもダメなのでまっすぐ前に向けられるように手で治してやります。

最初は嫌がってすぐに元の形に戻そうとしますが、根気強く教えていきます。


【床に座っているとき】
・足の裏と裏が向き合っている
 ➜足を延ばして座るように指示する

【椅子に座っているとき】
・足の裏と裏が向き合っている
 ➜きちんと足を下して座るように指示する
・足を開いて座っている
 ➜膝をくっつけて座るように指示する

【立っているとき】
・足の指が変な方向を向いている
 ➜座らせる、立たせない。
・足先が外側を向いている
 ➜足を延ばすように指示する、正座させる、椅子に座らせる


ここまでは股関節の話です。

肝心なのはここ。

親指が横向きになっていて、人差し指の下に入り込んでいます。これぞ低緊張ゆえの外反母趾。人によっては人差し指の上に来る人もいるそうです。一般的には下に入りこむことが多いそうです。この指の動きを改善しなければ外反母趾は治りません。痛みがある足を抱えて苦しむだけです。

これは立っている状態の写真ですが詳しく説明をすると、

・赤い矢印の方向に足先が外を向いて足全体が開いている
・黄色い矢印の方向に踵が浮いている
・足が外側に流れるように滑るので親指で踏ん張ろうとしている
・薬指と中指に力が入りすぎているのでこの2指だけ違う動きをしていて痛みが出ている
・緑の矢印の部分のように薬指だけ違う動きをして曲がっている
・親指が紫色の矢印の方向に曲がってしまう
・うちくるぶしの下にポッコリと骨が飛び出て2重になっている

尖足、外反母趾、内反小趾、外反扁平足、X脚、二重くるぶしが同時に起こっている状態です。これは痛い。

どうやって治すかというと、股関節のゆがみを修正した後にまずは外反母趾を治します。その後外反母趾の対策を尖足と扁平足の対策と同時にやっていくと内反小趾と二重くるぶしとX脚が勝手に治ります。


そこで活躍したのがこちらの足袋型の靴と靴下です。慣れてきたら靴下だけでもOKだと思います。この靴だけで歩けるほど生半可な低緊張ではなかったので外を歩くときは無理でしたが、室内履きとして利用していました。

おそらく昔の日本人はみんな低緊張だったのだと思います。こんな靴が長年使われ続けてきたということは、そうなのだと思います。帯も腰が定まらない低緊張の子供にぴったりの服装。足が開きすぎてしまう我が子にデニム着物を着せてみたら姿勢の補正が完璧にできていました。

和食を食べ、和服を着て暮らせば治るんでしょうか。

足袋の形の靴下を履くと、親指と人差し指の間の布が邪魔をして親指が人差し指の下に入ることができなくなります。そうなれば外反母趾になりようがないんです。ただ股関節のゆがみがベースにあるので足袋を履かせるだけではよくなりません。ですが補正がうまくいった場合は、上半身の姿勢が改善します。猫背も一度に改善しました。

人間の体の不調には、構造上の問題があるので何かを治療しようとしたときは必ず「治療の順番」というものを守りながら行わないと効果が出ないようにできています。アンドロゲン補充療法の効果を高めるために生体異物除去食をベースにしていたように、整体の治療においても法則というものがあります。

まず股関節のゆがみをとること。足先を補正すること。すると首と背中の痛みなども改善されます。5本指ソックスのほうが良いに違いないと最初は思っていたのですが、小さくて柔らかい低緊張の子供の足の指に一本ずつ靴下を履かせるのはとても難しいです。焦らず普通の足袋の形の靴下を履かせるだけで充分でした。

外反母趾が酷くなると二重くるぶしになってくるぶしの下のところに骨がポッコリと現れます。これが酷くなると骨が折れてしまい、立って歩くことができなくなります。これは足袋の靴下を履かせるようになると改善し、目立たなくなってきました。

リンパの袋が上手にできていないうちは靴を履かせようとしたときに痛みが生じます。着物を着ている写真の靴は大きく広がるので良いのですがたびりらはそのようにはできていません。同じメーカーにゆび助という商品があるのですがこちらは脱ぎ履きが簡単なようにマジックテープで開くようになっています。ただとても柔らかい素材の靴になっているのでどちらも一長一短というか室内履きかなぁといったところ。水袋ができてくれば普通のたびりらKIDSも嫌がらず履いてくれます。使う時期と足の発達の状態を見極めて良いタイミングで使えるといいですね。


装具をつけた時に上から履く専用の靴としてジョグウォークというものがあります。これは病院で診察を受けて専門の業者さんから購入するような靴ですが、装具を使わない状態で履くシリーズもあります。現在私の子供はそれを利用していて、ジョグウォーク&足袋靴下&ミズノバイオギアサポーターの3つの組み合わせで生活しています。

ジョグウォークは内履き用と外履き用の2足を持っていて、微調整はインソールで行います。装具屋さんならインソールもオーダーになると思うのですが、オーダーのインソールが良かったことが一度もないので、市販のインソールを多少加工して自分で作っています。それは外側が少し高さのあるインソールで100円ショップで売っていたものを子供の靴に合わせて切っただけの代物でしたがとても良かったです。

障害児向けの商品はすべて高額です。しかも普通の人が使わないようなものを使うのであえて障害児専用でない商品を選ぶとさらに高額になる場合もあります。買う価値のある商品はとても少なく、利用できる時期も短かったりするので無駄なものを買ってがっかりすることも多いでしょう。ですからできるだけ「無いものは自分で作る。高すぎると思えば買わずに工夫して乗り切る」くらいの気持ちがなければよほどのお金持ちではない限り簡単に経済が破綻します。

ただ足袋靴下はそこまで高価ではないのに、ものすごい威力があるので買って損はないです。「治ってきたかな?」と思えば徐々に使わなくなったりするものですが、そうするとまた足は悪くなります。良くなっても足袋靴下はずっと履き続けると良いです。

こちらはかかと用のサポーターでスポーツ用に作られています。でも低緊張の子供にはぴったりの良い商品ですよ。

ジュニアサイズなのである程度足が育っていないと使えないのですが、この商品はもうワンサイズ小さいものがあっても良いと思いました。踵をホールドするとぐらつかないので子供も安心して歩けます。これは歩行ができ始めた時に使うととても良かったです。

この抱き枕を使って夜中に背骨がまっすぐになるように姿勢の補正をすると、結果的に足先にも良いです。

外反母趾は足先だけの問題ではなくて、基本は股関節なんです。寝ているときに抱き枕に足を乗せるようにして寝ると腰への負担が少ないのでゆがみが生じません。だから巡り巡って結局人は「寝てるときの姿勢」ですべてが決まるようなところがあります。

U字のクッションを販売しているメーカーの開発の方とお話をする機会があったのですがその時も「外反母趾の人に効果があるのでよく買っていただいています」と実績をPRされました。「外反母趾は足の先が細い靴を履いているからなるのだ」という誤解はだんだんと減ってきているのを感じました。

ハイヒールを履いた女性が足を横に流して座っていると「あの人外反母趾になりそう」というイメージは昔からありました。でもハイヒールを履いていることが問題なのではなく、そのように足を流して座った場合、かかとは必ず上がっています。つまり尖足であるということや足をまっすぐ前に向けて膝を90度に曲げずに座っているということが外反母趾を作っているんです。

悪いのは「座り方」だし、その座り方になったのは「寝方」ですよね。足のトラブルはすべて同じ要因から派生するんです。そして治し方は1つで、順序を間違えなければ一度に全部治ります。

以前はこんな風にへし曲がった足先でしたが、股関節を治せば足先はまっすぐになりました。もう二度とありえない方向に曲がった指や足を見たくはありません。

足袋靴下大事。

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