離る

本を読みます。ごはんを食べます。歌を詠みます。絵を描きます。

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最近の記事

読書記録『おいしいアンソロジー お弁当』

『おいしいアンソロジー お弁当 ふたをあける楽しみ。』 阿川佐和子他  大和書房 色とりどりのお弁当箱のようなエッセイ集。 読んでいておにぎり欲がむくむく湧いてきてたいへんだった。 好きなものばかりの手作り弁当も良いし、人に作ってもらうのも羨ましい。 近頃は酷暑なので傷まないようにも気を使わないと…… ずぼらなので妄想ばかり広がってお弁当に着手するのはまだまだ先になりそうです。 このアンソロジーを手にモチベだけは上げておこう。

    • 読書記録『山の人魚と虚ろの王』

      『山の人魚と虚ろの王』山尾悠子/国書刊行会 風変わりな妻を迎えた男の新婚旅行。 そして山の人魚と呼ばれた舞踏家の叔母の弔問。 旅は〈夜の宮殿〉に始まり電車に揺られやがて機械の山へと至る。 浮遊する妻、語りかけてくる亡き母。 宮殿のシャンデリア、机に並べられた食物、妻の髪、踊り子たちが履く既製品の靴、眠らない群衆等々、男による旅の追想は描写につぐ描写からなる。 文章から溢れ眼の前に現前せんばかりディテールにも関わらず、個々の出来事が本当にあったことなのか男の妄想なのか夢なの

      • 読書記録『まちの本屋: 知を編み、血を継ぎ、地を耕す 』

        『まちの本屋: 知を編み、血を継ぎ、地を耕す 』 田口幹人 ポプラ文庫 筆者は元書店員。 現在も出版取次会社に勤務している。 書店や出版流通を取り巻く環境は著しく変化している。 父から継いだ書店の倒産。 次々とヒットを生み出したさわや書店での経験。 本を売る喜び。 そして「まちの本屋」の役割。 以外118頁より引用 「本屋という場は、きょういくときょうようの場だよ」 「僕が言っているのは、教育と教養ではないよ。字が違う。 僕たちが目指さないといけないのは"今日行く"と

        • 読書記録『わたしの美しい庭』

          『わたしの美しい庭』凪良ゆう 緑あふれる屋上庭園。その奥には縁切り神社がある。 縁切り神社の神主でオーナーで翻訳家の統理。 統理の元妻の娘で快活な百音。 統理の友人で同居人の路有。 高校時代に喪った恋人坂口くんを忘れられない桃子さん。 坂口くんの弟で鬱で休職中の基。 彼らは〈生きづらさ〉や痛みを抱えながらも、優しい時間を過ごせる場所、素直に語り合える人と出会い生活を続けていく。 世の中の普通から逸れることは恐ろしい。 私は自分に認識可能な「普通」のちょっと上を目指して

        読書記録『おいしいアンソロジー お弁当』

          読書記録『華氏451度』

          華氏451度〔新訳版〕 レイ・ブラッドベリ 伊藤典夫訳 ハヤカワ文庫SF −−華氏451度で書物は燃える。 主人公モンターグは、書物を焼く昇火士だった。 炎に快感と誇りを覚える彼は、騒がしいメディアを好む妻と暮らしていた。 しかし感受性豊かな少女や書物と共に炎に巻かれることを選んだ老婆との出会いを通じて、彼の人生は劇的に変わってゆく。 簡便な娯楽や広告に満ちた現代を鋭く風刺するディストピアSFの傑作。 この小説が書かれたのは1954年。ブラッドベリの問題意識は今な

          読書記録『華氏451度』