凪に見る嵐の事
ケモをやり過ごすために
毎回淡々と本を読むのだけど、
昨日はどれを開いても
何も頭に入ってこなくて
ただ落ちて行く点滴を
眺めながら直近で起きた嵐の事を
思っていた。
渦中にいる時は流されないように
乱されないように必死で
多くを考えられなかったけど
表面的に嵐は過ぎ、
波はとても穏やかになった。
眺めれば遠くまで凪が続いている様
そんな平穏に安堵しながら、
なぜか心はちいさく揺れている。
あの時守れなかったもの
静寂が訪れた今になってぐらぐらと
大きく心を揺すぶってくる。
ポタポタと垂れ、濡らしていたのは
点滴ではなかった。
涙がただただ流れた。