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【歌詞和訳】Dream Theater - Learning to Live

歌詞本文+和訳

[Intro]
There was no time for pain
No energy for anger
痛みに構う時間も 怒りを感じる気力も無かった

The sightlessness of hatred slips away
憎しみからくる盲目は 音もなく消える

Walking through winter streets alone
冬の中通りを孤独に歩き
He stops and takes a breath with confidence and self-control
止まって一息つく 自信と自律に満たされて

[Bridge]
I look at the world and see no understanding
世界を見ても理解を示す者はいない
I'm waiting to find some sense of strength
強さを得られるのを待つしかない

I'm begging you from the bottom of my heart
心の底から懇願したい
To show me understanding
どうか私に教えてほしい

[Verse 1]
I need to live life
私は生きねばならない
Like some people never will
他の者が生きないような人生を
So find me kindness
だから優しさを
Find me beauty
美しさを
Find me truth
真実を私のために見つけてほしい

When temptation brings me to my knees
私が誘惑に打ち勝てずに立てなくなって
And I lay here drained of strength
強さも全て失って倒れてしまった時
Show me kindness
優しさを
Show me beauty
美しさを
Show me truth
真実を見せてほしい

[Verse 2]
The way your heart sounds
あなたの心臓の鼓動が
Makes all the difference
全てを変えてくれる
It's what decides if you'll endure the pain that we all feel
みなが受ける痛みを耐えられるかを決める
The way your heart beats
あなたの心臓の鼓動が
Makes all the difference
全てを変えてくれて
In learning to live
私は生きられるようになる

Here before me is my soul
空っぽの身体の目の前には私の魂
I'm learning to live
私の人生は再出発する
I won't give up 'til I've no more to give
私は諦めない
No more to give
全てが無くなるまで…

[Bridge]
Listening to the city
都市の音を聴いていると
Whispering its violence
憤激の音を私につぶやいてくる
I set out watching from above
私は上からただ都市を眺める

The 90s bring new questions
90年代は新たな課題を
New solutions to be found
探し出すべき解決策を持ち込んできた
I fell in love to be let down
私はただ恋を失うがために恋をしていた

[Verse 3]
Once again we dance in the crowd
再び私たちは人混みの中で踊りを舞う
At times a step away from a common fear that's all spread out
時には誰もが感じるような恐怖から一歩身を引いて
It won't listen to what you say
その恐怖はあなたの言うことに耳を貸してくれない

Once you're touched you stand alone
一度触れてしまったら孤立してしまい
To face the bitter fight
つらい闘いを強いられることになる
Once I reached for love
一度愛に手を伸ばしてしまったものだから
And now I reach for life
今や命に手を伸ばしている自分がいる

[Verse 4]
Another chance to lift my life
人生を救い出すもう一つのチャンス
Free the sensation in my heart
心の中の感覚を解き放て
To ride the wings of dreams
ゆくゆくは夢の翼に乗り
Into changing horizons
移ろいゆく地平線の彼方へ飛んでゆきたい

It brings inner peace within my mind
私の心に内なる平穏をもたらしてくれる
As I'm lifted from where I've spilt my life
命を引き裂いてしまった場所から救い出されたときに

I hear an innocent voice
純粋無垢な声が聞こえる
I hear kindness, beauty and truth
優しさ、美しさ、真実の音が聞こえる

[Outro]
The way your heart sounds
あなたの心臓の鼓動が
Makes all the difference
全てを変えてくれる
It's what decides if you'll endure the pain that we all feel
みなが受ける痛みを耐えられるかを決める
The way your heart beats
あなたの心臓の鼓動が
Makes all the difference
全てを変えてくれて
In learning to live
私は生きられるようになる

Spread before you is your soul
あなたの前に広がりゆくもの、それはあなたの魂
So forever hold the dreams within our hearts
だから夢を捨てないで、心にずっと留めて
Through nature's inflexible grace
自然からの終わり無き恵みを受けて
I'm learning to live
私の命は生まれ変わる

ご注意

最後までお読みいただきありがとうございます。
私の作る和訳は母親(海外出身・アメリカ育ち・高学歴・ミュージカルクラブ・読書愛好家クラブ出身。ドリームシアターファンというわけではない。ラブリエが自撮りしながらソロで歌っている動画はちょっと好き)の助けを借りて作成いたしました。
おそらく正確さや整合性などは問題ないかと思います。
かなり丁寧に読んでくれて、「すごくドラマチックで悲しい歌だねえ」と、共感をしながら和訳を手伝ってくれました。
他の和訳サイトなども目を通してもらいましたが、母親曰く「ところどころ間違ってんだよねえ」だそうです。
本当はファンの方々からのご意見なども頂戴したり、雑誌の記事やバンドメンバー本人たちの発言なども参考にしたかったのですが、今の私が割けるリソースのある限りで作成いたしました。
もし「ここはこうだよ」という部分がございましたら、コメントをいただけたら非常に助かります。

総括(↓ここから考察モリモリです↓)

「90年代に問題が表面化」「誰も理解してくれない」「一度触れたら孤立することになる」「恋に落ちる」といった歌詞から「AIDS」をテーマにしていると多くの人に考察されていますが、 実際のところは明示されていないようで、広く解釈ができるようになっているようです。
「あくなき『生』の探求」というテーマだと考えると具合が良いと思います。

注釈

“Learning”

表題で使われるlearnという動詞は、調べれば「学ぶ」という意味で出てきます。
しかし、learn to doというイディオムになると、「〜の仕方を学ぶ」だけではなく「〜できるようになる」という意味になります。
したがって、「生き方を学べる」というより「生きることができるようになる」、さらには「人生が再出発しようとしている」の方が近いとのことです。

何回かあるうちの、唯一最後の”I’m learning to live”だけ、私の独断で「命が生まれ変わる」としてみました。母親は「あぁ、確かに最後っぽくて良いんじゃない」と言ってくれました。(笑)

“He stops and takes a breath with confidence and self-control”

そもそもこの“He”とは誰なのか気になっており、私も母親も考えておりました。
それにあろうことか、私がよく見る海外の考察サイトはこの人物について特に言及をしておりません。

想定できる人物としては、以下の3パターンです。

  • 主人公自身…△
    病気で生死を彷徨っている上、誰からも理解を得られない状態の主人公が「自信と自律に満たされている」とは考えにくい。

  • 冬の通りを歩く他人…私の考察
    →主人公がその他人のことを「自信も自律心もありそうで、いいなあ」という、羨むような見方をしている+その直後の「理解を示してくれない世界」の人間だとも考えられる。

  • もう一人の自分…母親の考察
    自信と自律に満たされた自分を理想視しており、そうでありたい

以上の3つのうちのどれかには当てはまると考えられます。

“There was no time for pain no energy for anger”

歌詞冒頭のこのフレーズは、アイン・ランドの小説「肩をすくめるアトラス」(原題:Atlas Shrugged)のなかのフレーズを若干改変して引用されています。

He had no time for pain, no energy for anger.

Atlas Shrugged

この小説はジャンルはSFで、「主導者」「知識人」「ビジネス上のリーダーシップをとる人物たち」などが世界から虐げられており、世界に対して知識やアイデアの提供をすることを拒否したら、アメリカ、ひいては世界がどう崩壊していくかを描いたディストピア的小説だそうです。

“I'm begging you from the bottom of my heart to show me understanding”

以下、海外の考察サイトからの引用と、私が作った和訳です。

In the 90s, not everyone living with AIDS would be given any understanding or help.
The many assumptions made about people with AIDS didn’t help this.
90年代では、AIDSとともに暮らしている人々全員が理解や助けを得られたわけではありませんでした。
AIDSの人々に対する憶測が歯止めになってしまっていました。

genius.com

ここから、表題のフレーズが「世界が理解を示してくれないから、せめてあなたは理解を示してほしい」という意味になると長年思っていましたが、「私の理解が及ばない部分があるから、納得がいくように教えてほしい」という意味の方が近いとのことです。

何が分からなくなっているのか、何を知りたがっているのかは不明です。
ただ、主人公は自分の病気のことや、生死に関わることでパニックになっており、メンタル的にはもはや何の判断もつかない極限状態になっていると考察されます。

“Here before me is my soul“

魂と向き合っている様子、というのが、いまいち私にはピンときませんでした。
ただ内省的に沈思黙考しながら、自分の人生と向き合っている様子だけをイメージしていました。

しかし、母親曰く、「自分の目の前の魂」というのは「何も入っていない身体」と対照的に描かれていると考察される、とのことです。
それだけ自分の身体は生気に満たされていない、ということが考えられます。

“Once I reached for love and now I reach for life”

reach forは「手を伸ばす」という訳になります。「求める」と訳すことで、「愛を求めてしまったがばかりに、(AIDSに罹患してしまい)今や生命を求めてしまっている」という解釈もありますが、「手を触れてしまう」「(危険な or 深く関わりうる)領域に入ってしまう」という意味合いの方が強いそうです。

以上です。

私は、あまりポジティブすぎる歌が好きではありません。
しかし、「人生のダークな側面に向き合いながらも、それでもどうにかこうにか生きていくしかない」という姿勢を貫いているこの曲は、ドリーム・シアターの楽曲の中でトップクラスに好きです。

皆様がこの曲をより楽しめる助けになっていれば幸いです。

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