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【歌詞和訳】Dream Theater - Surrounded

歌詞本文+和訳

Morning comes too early
朝はあまりに早くやってくる
And nighttime falls too late
夜はなかなかやってこないのに
And sometimes all I want to do is wait
時に私はただ待ってばかり
The shadow I've been hiding in has fled from me today
隠れるための影は今日どこか遠くへ消え去ってしまった

I know it's easier to walk away than look it in the eye
直視するより無視する方が容易いのは分かっている
But I will raise a shelter to the sky
でも僕はシェルターを空高くまで築き上げて
And here beneath this star tonight I'll lie
この星の地の奥深く 今夜僕は眠りにつく
She will slowly yield the light
彼女はゆっくりと光を発してくれる
As I awaken from the longest night
永い夜から目覚めた時に

Dreams are shaking
夢はぐらぐらと揺れている
Set sirens waking up tired eyes
サイレンが鳴り響き 疲れ果てた目で起き上がる
With the light the memories
光と共に全ての記憶が
All rush into his head
彼の頭に押し寄せてくる

By a candle stands a mirror
蝋燭のそばには 鏡が立っていて
Of his heart and soul she dances
彼の心と魂が映し出されていた 彼女は踊りを舞う
She was dancing through the night above his bed
彼のベッドの直上で一晩中踊りを舞っていた

And walking to the window
窓まで歩み寄り
He throws the shutters out against the wall
彼は鎧戸を壁から引きちぎった
And from an ivory tower hears her call
象牙の塔から彼女の声が聞こえる
"Let light surround you"
「光に身を任せ 包まれるのよ」

It's been a long, long time
長い長い時間だった
He's had a while to think it over
よく考える時間だった
In the end he only sees the change
終いには彼に見えるのはただの移ろい
Light to dark
光から闇
Dark to light
闇から光
Light to dark
光から闇
Dark to light
闇から光

Heaven must be more than this when angels waken with a kiss
天使のキスで目覚めた時の天国はきっとここよりマシなはず
Sacred hearts won't take the pain
神聖な心は痛みを取り去ってくれることはない
But mine will never be the same
でも私の心はもう元には戻らない

He stands before the window
彼は窓の前に立ち
His shadow slowly fading from the wall
壁に映る影はゆっくりと消えて無くなっていく
And from an ivory tower hears her call
そして象牙の塔から彼女の声が聞こえる
"Let the light surround you"
「光に身を任せて 包まれるのよ」と


Once lost but I was found
私は道を見失ってしまったが 今は違う
When I heard the stained glass shatter all around me
ステンドグラスが周りで粉々になるのを聞いた時に
I sent the spirits tumbling down the hill
数々の魂を丘から投げ放ってしまった
But I will hold this one on high above me still
でもこの魂だけはずっと私の元に留め続けたい
She whispers words to clear my mind
彼女が言葉を囁いて 心は浄化される
I once could see but now at last I'm blind
かつてこの目は見えていたが 今はもうようやく何も見えない

I know it's easier to walk away than look it in the eye
直視するより無視する方が容易いのは分かっている
But I had given all that I could take
でも手にしたものは もう全て手放した
And now I've only habits left to break
あとは今や いつもやってきたことをやめてしまうだけ
Tonight I'll still be lying here
今夜 私はまだここにいる
Surrounded in all the light
光に包まれて

ご注意

最後までお読みいただきありがとうございます。
今回の和訳は母親(海外出身・アメリカ育ち・高学歴・読書愛好家クラブ出身ではあるが、ドリームシアターファンというわけではない。ラブリエが自撮りしながらソロで歌っている動画はちょっと好き)の助けを借りて作成いたしました。
本当はファンの方々からのご意見なども頂戴したり、雑誌の記事やバンドメンバー本人たちの発言なども参考にしたかったのですが、今の私が割けるリソースのある限りで作成いたしました。
もし「ここはこうだよ」という部分がございましたら、コメントをいただけたら非常に助かります。

総括(↓ここから考察モリモリです↓)

この曲の全体的なテーマは「性行為」「薬物中毒」「AIDS」など、世界では意見が分かれているようです。
ただ私の母親曰く、「薬物中毒」である可能性が非常に高いとのことです。
そうすれば、「夢はぐらぐら揺れる」「(悪い)習慣を断ち切る」というフレーズが合点がいく、とのことですが、真相は不明となっています。
私は個人的に「死の直前」がテーマになっていると思っていましたが、母親曰く、「薬物中毒の克服」という非常に前向きなテーマであると考えられるそうです。

注釈

“The shadow I've been hiding in has fled from me today”

以下、海外の考察サイトの引用と、私が作った和訳です。

The “shadow” is a metaphor of “soul”. So this means that the protagonist is now died, because his soul “has fled from” he “today”.

「影」は「魂」の隠喩であり、主人公はここで亡くなったと考えられます。
というのも魂が彼の元から「その日」に「消え去ってしまった」からです。

genius.com

このように、このサイトの作者的には「死」がテーマであります。

母親によれば、この影、というのは、「安全地帯」を意味しているとのことです。
薬物中毒の真っ最中、自分を暗い場所に追いやることによって、「捕まらない場所」「メンタルが落ち着く場所」「コンフォートゾーン」のようなものにその身を落ち着けているのではないかと考えています。

この曲のタイトルである“Surrounded”というのは「包まれる」「囲まれる」という意味ですが、何に、かといえば、お分かりの通り「光」にです。
光を受け入れる、ということは、自分を取り巻く影の存在は消えます。
要するに、「薬物中毒から脱する」しるしであると分かります。

ここからは私の個人的な推測ですが…
歌詞冒頭の「朝」と「夜」も、ある意味「影の有無」と関係していると思われます。

  • Morning comes too early
    朝はあまりに早くやってくる
    安全地帯である「影」が消えてしまうのが早く感じる

  • And nighttime falls too late
    夜はなかなかやってこないのに
    安全地帯である「影」に包まれるのが遅く感じる

上記の解釈が正しいにせよ間違っているにせよ、「影」はこの歌で重要なファクターといえるのは事実かと思います。

“She will slowly yield the light”

歌詞の中で初めて”she”が出てきた瞬間です。
女性である以上、「主人公の恋人」「天使」「聖母マリア」など、さまざまな可能性が考えられます。

母親曰く、「本当に聖母マリアなどかどうかは微妙」「抽象的な物事、天体、地球などを”she”と表現されることもある」とのことで、「このsheは『光を発するもの』『日の出』などを意味している可能性もある」とのことです。

“He throws the shutters out against the wall”

shutterは、日本人がよく使う外来語でも馴染み深いシャッターのことです。
ただ、一般家庭よりお店などの方がシャッターはよく使われます。
これは、雨風を防ぐための硬くて分厚い戸(鎧戸とも表現されるので、和訳本文ではこの言葉を使いました)もシャッターと言われます。

シャッターを引きちぎるということは、光を受け入れることを意味し、必然的に前述した「影」は消えてなくなります。

“His shadow slowly fading from the wall”

前述した通りこの「影」は「魂」という解釈と、母親による「安全地帯」という解釈の2通りがあるとご説明しました。

影がゆっくりと消えてなくなる、というのは、「ゆっくりと死に近づいている」か、「自分のことを薬物中毒状態に縛り付ける安全地帯がなくなり、ゆっくりと克服に近づいている」かのいずれかの解釈になります。

“an ivory tower”

直訳すると「象牙(色の)塔」となります。
この表現は「ソロモンの雅歌」から引用された、キリスト教の世界観で用いられる言葉です。

以下、原文からの引用と、私が作った和訳です。

Your neck is like an ivory tower.
Your eyes are pools in Heshbon, by the gate of Bath-rabbim.
Your nose is like a tower of Lebanon, which looks toward Damascus.

あなたの首は象牙の塔のよう。
あなたの眼は、バト・ラビムの傍のヘシュボンの池のよう。
あなたの鼻は、ダマスカスを向くレバノンの塔のよう。

Song of Solomon 7:4

His arms are rods of gold, set with jewels.
His body is polished ivory, bedecked with sapphires.

あの人の腕にはカンラン石を埋め込んだ金の腕輪。
あの人の腹部はサファイアで覆われた艶のある象牙。

Song of Solomon 5:14

何をどうやって形容するために「象牙」が使われているかと言いますと、象牙は「美しさ」「贅沢」の象徴とされていたそうです。

ただ、フランスの文芸評論家シャルル=オーギュスタン・サント・ブーヴが1837年に作った詩によって、「象牙の塔」が人々に別の意味として伝わります。

Et Vigny, plus secret, Comme en sa tour d'ivoire, avant midi rentrait
そして隠れたがるヴィニーは、象牙の塔に籠るかのように、正午前に撤退した

Charles-Augustin Saint-Beuve ”Pensés d’Août”

これは、社会との関わりが乏しい詩人アルフレッド・ド・ヴィニーの振る舞いを皮肉を交えて表現したものです。これにより、象牙の塔が「学者や芸術家が現実逃避的に籠って自分の理想の世界に入り浸るための場所」と伝わるようになります。

Surroundedに話を戻しましょう。
以下、海外サイトによる歌詞の考察(改編有り)と私の和訳です。

The protagonist’s soul tries to get out of his body.
The soul “throws the shutters out aganist the wall” and hears Mary call who says: – “let light surround you” on an ivory tower (a term which originates in the Biblical Song of Solomon and was later used as an epithet for Mary)

主人公の魂は彼の身体の外へ出て行こうとしています。
魂は壁からシャッターを引きちぎり、聖母マリアの「光に身を任せて 包まれるのよ」という声を聞きます。
声は象牙の塔から届きます。象牙の塔とはソロモンの雅歌から由来しており、のちに聖母マリアの特徴を形容するためにその言葉が使われるようになります。

genius.com

このサイトによれば、象牙の塔は「聖母マリアがいる場所」および「聖母マリアの特徴を形容するための言葉」と解釈されています。

母親から意見をもらってみましたが、主人公に声をかけた女性と思しき人物が聖母マリアであるかどうかは微妙であり(前述した通り)、象牙の塔は「俗世間から隔絶された、煩悩などが入ってこないような場所」と捉えられるそうです。
ブーヴの捉え方と少し似ていますね。

“Once lost but I was found”

全体的に讃美歌から引用されているフレーズが多くあります。

Amazing Graceの中に

I once was lost, but now am found

“Amazing Grace” 作詞:John Newton 作曲:不詳

というフレーズがあり、ほぼそのままの引用です。

“I once could see but now at last I'm blind”

Amazing Graceのさらなる他の一節の中に、

Was blind, but now I see.

“Amazing Grace” 作詞:John Newton 作曲:不詳


というフレーズがあり、ここから引用されていると考えられますが、

  • Amazing Grace
    =「盲目」から「見える」

  • Surrounded
    =「見える」から「盲目」

上記のように、移り変わり方が真逆になっています。

【テーマが「死」と仮定する場合】
生きている状態から死んだ状態に移行する瞬間を細やかに表現しているといえます。
とはいえ、「心が浄化される」というフレーズもある以上、流れが逆だからといって決して後ろ向きな心情ではないと推測できます。

【テーマが「薬物中毒」だと仮定する場合】

母親は「正直、なんで順番逆か分かんない」と言っていました(笑)
想定できる可能性としては、「目が見えなくなった結果悪いものが見えなくなり心が平穏になる」という解釈をしていました。

主人公に対して声をかけてくる人物がいて、「目を閉じてみれば悪いものを全て断ち切ることができる」という啓示を受けた結果、最終的に「ようやく何も見えない状態になれた」という流れになっているのであろう、とのことです。

“And now I've only habits left to break”

「生前整理としてものを手放すのも終え、いつもの習慣も、死と同時にやらなくなってしまう」という可能性もありますが、「薬物を摂取する、という悪い習慣をやめる」ということである可能性が高いそうです。

私はどうしてもこの“habits”を上手に訳せませんでした。
というのも、母親の言うに、“habits”という言葉は、「薬物に侵された、重く罪深い泥沼」と捉えることができ、直訳である「習慣」「癖」「いつものこと」といった言葉で言い表せないダイナミックさや重みがあるとのことなのです。
私はどうしてもこれを日本語で表現することができませんでした。

“Tonight I'll still be lying here“

「今夜(というか今後)ずっとここで眠り続ける」というのは、「死を受け入れた決意の表れ」という可能性も考えましたが、「(今までと変わらず)まだずっと元気にここにいるよ」という、「人生を続けていく前向きな決意の表れ」の方が近いそうです。

“Surrounded”

結局のところ、「光に包まれた状態」というのは、

  • 絶命時の恍惚状態
    (「聖母マリア」「天国」などの表現から推測できる)

  • 薬物接種時のトリップ状態
    (中毒者が「神に会った」と供述するケースは多い)

上記のいずれか意味している可能性を私は最初に考えました。

母親曰く「薬物を克服した状態」ないしは「薬物をやめようと決心を新たにしている心情」の可能性もあるとのことです。

いかがだったでしょうか。
皆様が曲をより楽しめる助けになれば幸いです。

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