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欧州最後の森林鉄道Mocăniţaを行く
旅先を選択するときに「唯一の」とか「最後の」とかいう形容詞に弱い皆様こんにちわ
今回は2020年3月に訪れた欧州最後の現役森林鉄道ことMocăniţa森林鉄道についてのお話である。
新型コロナウイルスが中国から流出し、韓国、日本そしてイタリアへと感染が拡大していくさなかの2020年2∼3月、筆者はイスタンブールからキーウまで陸路で旅をしていた。国境で、ホテルで、列車内で、「俺は中国人じゃねぇ」と連呼しながら(当時は中国人の入国禁止が出始めていた)、ルーマニアまで辿り着いた。
ルーマニアからウクライナに向かうにはモルドバ・沿ドニエストル経由か、あるいは列車やバスでチェルノフツィ(Чернівці)方面に向かうルートが一般的であるが、カルパティア山脈の北端・マラムレシュ地方の山岳地帯を抜けていくルートが存在する。
このルート沿いの地域はチャウシェスク政権時代の近代化政策も届かず、独自の舞踊や音楽が取り残されているような地域であるが、その片隅の小さな村Viseu de Susには欧州最後の現役森林鉄道もまた取り残されているのだ。
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訪問時の2020年3月は冬季であったため、林材輸送はストップしていたが、月数回の観光列車は運行していたため、ルーマニア中部の都市ブラショフから夜行列車に飛び乗り現地に向かった。
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ブカレスト・ブラショフ方面から1日1本の直通列車はViseu de Susの集落から7㎞ほど離れたViseu de Josという駅に着く。
(かつてはViseu de Susにも駅があったそうなのだが…)
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このような田舎の駅にはタクシーやバスのような気の利いたものはないので、明るくなるのを待ってからSusの集落まで歩く。
かつては森林鉄道も国鉄線と接続していたようで、低規格の線路跡が駅から続いている。
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1時間半ほど歩いてMocăniţa森林鉄道の起点ヤードに辿り着く。駅までの道ではほとんど人を見かけなかったのに、既に列車を待つ人でにぎわっている(どうやら近くのスキーリゾートから車で来るらしい)。無事予約が通っていることを確認してから車庫の方にお邪魔する。
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冬季シーズンは月に数回しか運行されないからであろうか、訪問日は客が多いようで蒸機は2両用意されていた。
森林鉄道ということもあり、この蒸機たちは石炭ではなく、木材を燃やして走る。
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ジェスチャーで機関庫に入っていいか尋ねると、勝手にしろという感じで許可をもらえた(要解釈)ので、そちらの写真も撮る。蒸機だけでなくディーゼルも在籍しているようだ。
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そろそろ列車の時間なので車庫を辞して、ホームらしきところに据え付けられている客車に乗り込む。一人旅をしているとよくあることだが、グループや家族連れに混じって一人でいると肩身が非常に狭い。
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東洋人がひとりで大きなカメラを振り回していると悪目立ちしてしまうと思ったからだろうか、当時の筆者は駅舎周辺の写真はあまり撮らずに列車に乗り込んだようである。
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定刻は9時であったか10時あったか、手元に資料がないので分からなくなってしまったが、満員の客を載せた列車は発車した。
筆者の乗っていた車両は10人家族だかのグループ+筆者とかいう、なんとも形容しがたい乗客構成であった。できるだけ家族団らんの時間を邪魔しないように車両の隅で小さくなっていたのを記憶している。
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1時間ほど乗車したところで撮影タイム給水タイムがある。大人たちは体を伸ばし、子供たちは駆け回り、東洋人はカメラを持って走り回る。
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諸々の整備を終えたところで、機関士がサービスしてくれた。
木材を燃やすとなると水分も多いので煙がよく上がる。
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再び列車に乗り込み、観光列車の折り返し地点となるStaţia Paltinを目指す。
出発地点から約20㎞強、途中休憩も合わせて片道約3時間の旅である。
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夏であればここのバンガローに宿泊できるようであるが、いまは冬、昼食休憩だけである。乗車チケットには昼食代が含まれており、グループ客はバーベキューを始めた。相変わらず筆者はカメラを持って走り回る。
そうこうするうちに続行列車に線路を譲るため、この列車は機回しだけを行い、少し先の整備スポットまで移動する。
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森林鉄道自体はさらにこの先20㎞ほどウクライナ国境付近まで線路が続いているが観光列車はここまで。美しい針葉樹林の中の小さな蒸機はよく映える。
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周りの観光客もいなくなったところで撮影タイムの開始である。
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客車は1両だけ古い木造のものが現役のようだ。
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昼食タイムが終わるころに、Paltin駅まで戻ってきた。
昨夜の夜行列車からビスケットを齧っただけなので、そろそろ限界である。
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帰りの車内の記憶はあまりない。
始発駅でもすこし写真を撮ってから、今夜の宿へ向かう
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翌朝、Viseu de Jos駅からさらに先、国境の街Sighetu Marmațieiまでの列車に乗る。機関車は(比較的)新しいのにオンボロ客車が来た。腕木式信号機が懐かしい。
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この国境ではルーマニアとウクライナの鉄路は繋がっていないので、徒歩で国境を越える。ここでもまた「中国人は入国禁止だぞ」と公安に止められるが、日本人だと返すと「通ってヨシ」と言われ、微妙な顔になる。
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最後にいくつか訪問のための情報を
ルーマニア国鉄公式サイトを見るに、ブカレストからVișeu de Josまで直通の列車は1日1本夜行列車のみである(乗り継ぎはもう1本候補が出てくる)。
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https://www.cfrcalatori.ro/en/
この記事の最初の方にも載せたが、森林鉄道の公式サイトはこちらである。
筆者が予約したときはオンラインで予約ができたと記憶しているのだが、いつの間にかできなくなってしまったようだ。
そして筆者より前にこの鉄道を訪れた方のブログをいくつか。
蒸機が木材を搬出している列車や、林業関係者の方々の通勤列車の風景写真などただただ羨ましいばかりだ。
ではでは皆様もよき旅ライフを
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