UX検定


目的:なぜUXなのか?


今起きている変化

ユーザーの購買行動がデジタル主流になり、リアルはサブ的立ち位置となる。(ユーザーはまずデジタルプラットフォームで情報を集めたり、イベント登録・購入したうえで必要であればリアル店舗などを活用するイメージ)


実例

既に中国でそのような事例が進んでいる。
NIO:電気自動車

購入後に充電、メンテナンス、購入者コミュニティなどにオンラインアプリなどからかかわっていくことができる。

自如(ズール:ZiRoom):賃貸物件貸出
物件貸借後にズールのアプリからハウスキーピング、Airbnbのような旅行者用の貸し出し(中国国内旅行)、マンション内などのイベントスペースの貸出、イベントについてのSNSなどのサービスを受けられる。


課題感:今までのままだと何が問題?

上記の変化を踏まえてユーザーにどのような価値を提供していくのが理想的か見直していく必要がある。
しかし現状の日本企業は技術的な革新(DX)ばかりに目が向いておりユーザー経験の革新(UX)が考慮漏れている。
業務の自動化に取り組むばかりではユーザーへの価値提供から見直しを行っている企業に後れを取ってしまう。


いきなりUXをしようとしてもノウハウもまだ少ない中で実践していくのは難しい。そこで以下は実践方法についてまとめる。

理論編ではまずUXの実現ビジョンを説明する。
手段編では理論編のビジョンを実現するために実際にどのような手順で作業進めていけばいいかを記述する。

手段:どうしたらUXが実現できるのか?(理論編)


ジャーニーコンセプト

まずは顧客にどのような価値を提供するのかという定義が必要となる。
ブランドなどと呼ばれる部分。「結果にコミット」「早い、安い、うまい」など。

バリュージャーニー

ジャーニーコンセプトが決まったらその価値をどのような手順で届けるのかというバリュージャーニーを設計する。

カスタマージャーニー、アフターデジタル時代で変わる設計思想

バリューチェーンとバリュージャーニーの違い

バリューチェーンは商品の販売が最終目標。
製品を製造してから販売するまでの「サプライチェーン」のどこにボトルネックがあり、戦略的に改善・強化していくかを考える。

バリュージャーニーは商品体験(顧客満足度)の最大化が最終目標。
顧客の視点で商品の認知→興味→購入→商品体験の流れを行動データなどをもとに分析し施策を打っていく。


マーケティングモデル

バリュージャーニーでは顧客の満足度(LTV)最大化を目指す。そのためにマーケティングモデルも従来のやり方から変える必要がある。

Before
売り上げがKPI(ファネル型)
集客や購買体験が重視されていて、使用体験は軽視。アフターケアにお金をつぎ込むほど収益率が悪化する


After

サイクル型、LTVの最大化がKPI

  • 無料版ジャーニーでいかに顧客の成功を支援し継続利用してもらえるか

  • さらなる成功の期待をいかに立ち上げ有償利用してもらうか


手段:どうしたらUXが実現できるのか?(手段編)

2通りのアプローチが存在する

トップダウン型

①提供価値を見直す。
Rizapなら「健康器具やジムの環境提供」から「ダイエット完了して健康になる、もてる」など

②新サービスの開発
結果にコミットするためにトレーナ制度、食事の管理システムなどなど

③サービス運用しPDCA回す
途中で諦めて解約してしまうお客様が出たらそれを防げないかなどなど


失敗パターン

  • 提供価値が変わってない、手段をそのまま提供価値に記載するだけ

    1. ○○という管理アプリを通してユーザーがジム通いや健康管理ができる

    2. 結局ジムや健康器具という既存の提供価値がメインなのでユーザーからするとUXは変わっていない。

    3. 既存のリアルのプロダクトを通して得たかった価値は何かを明確にするだけでいい(ドリルでなく穴売れ)

  • ジャーニーコンセプトだけ決めてカスタマージャーニーを決めない

    1. 結局何やるのか明確でない、チームの方向性が決まらない


ボトムアップ型

  • A:既存事業のUX課題改善のためPDCAを回す

    • 既存サービスで設計したカスタマージャーニー(シーケンス図)通りにユーザーが動いていない点のペインポイントを探り改善を行う

      • ユーザーの想定外の行動(特徴的行動)はユーザーに対する理解がないと気付きにくい。そのような観察眼は一朝一夕では養えない。ユーザーがどのような行動をとるか言語化を先に行っておくといい。

  • B:既存事業の新機能追加

    • 既存サービスに対するペインポイントを洗い出して+αの機能などにつなげる

行動フローの具体的なイメージをつかむことが大切
先進事例、個人で解決しているユーザーを参考にする
アイディアが発散しすぎる場合は上位コンセプトや実現性を意識する
アイディアの整理・構造化などはロジカルな左脳的な活動なので右脳的なブレストと相性悪い。個人で作業やるのがいい。


上記トップダウン型やボトムアップ型の作業手順踏まえて、より細かに調査・分析→設計→評価の手段について学びたい場合は『ユーザビリティエンジニアリング(第2版)』に記載がある。

そこまで詳細な手段となると多岐にわたり、目的や環境によって使い分けたりなど必要なのでここでは記載しない。


その他面白そうだと思ったナレッジ

UX5段階モデル

それぞれ横軸でニーズ/設計/UIに抜け漏れ、おかしな点ないかは気づきやすい。しかし縦軸でこのUIはどのニーズを満たすもの何か、本当にニーズを過不足なく達成できているのかなどはチェック漏れやすい。


ISO9241-11: ユーザビリティの品質

  • 有効さ(effectiveness):必要な機能があるか

  • 効率(efficiency):使っていてストレスたまらないか(使いやすさ、信頼性)

  • 満足度(satisfaction):使っていて楽しいか

フロントエンド側の評価に使えそう。+でプロダクト使用までのアクセスのしやすさなども必要かもしれない


ISO/IEC 9126:ソフトウェア品質

  • 機能性

  • 信頼性

  • 使用性

  • 効率性

  • 保守性

プロダクトのバックエンドなどの評価基準として使えそう


参考文献

アフターデジタル2 UXと自由
UXグロースモデル アフターデジタルを生き抜く実践方法論


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