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STEM教育とエンパワーメントで、ジェンダーギャップを是正する!一般社団法人Waffle代表・アイヴィーさんにインタビュー

こんにちは!Lean In TokyoのEducation Program Specialist、りさこです!

女子中高大学生が一歩踏み出すきっかけを作る、教育コンテンツ企画を担当しています👭

今回は、「IT分野のジェンダーギャップをうめる」というミッションのもと、女子中高生向けコーディングコース「Waffle Camp」や国際ビジネス・アプリコンペ日本チーム支援、政策提言を行なっている、一般社団法人Waffle代表・アイヴィーさんにインタビューを行いました!🎉

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田中 沙弥果(アイヴィー)氏
一般社団法人Waffle代表

2017年NPO法人みんなのコードの一人目のフルタイムとして入社。文部科学省後援事業に従事したほか、全国20都市以上の教育委員会と連携し学校の先生がプログラミング教育を授業で実施するために推進。2019年にIT分野のジェンダーギャップを埋めるために一般社団法人Waffleを設立。2020年には日本政府主催の国際女性会議WAW!2020にユース代表として選出。SDGs Youth Summit 2020若者活動家 選出。情報経営イノベーション専門職大学 客員教員。IT分野のジェンダーギャップや親のジェンダーバイアスが与える進路の影響などをテーマに延べ700名以上に講演。

プログラミング教育とジェンダーバイアス

りさこ:今日はお話をお聞きできること、とても楽しみにしています!

アイヴィーさんには先日、Lean In Tokyoのイベントにご登壇いただきましたね!自分らしさを大切にされており、とても素敵なロールモデルだなという印象を受けました!

IT分野におけるジェンダー格差について、政策提言から草の根活動まで意欲的に取り組まれていますが、これまで携わってきた教育現場では、どのようなジェンダーバイアスの課題に直面されてきましたか?

アイヴィーさん:Waffleを昨年11月に立ち上げる前は、NPO法人みんなのコードで働きながら、副業として週末に女子中高生向けのコードキャンプを開講していました。

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みんなのコードでは、学校のトップの方々に対するプログラミング教育のトレーニングを行なっていました。プログラミング教育に関しては、皆さん全体的に前向きで、希望を感じることができました。一方で、地域格差はあると感じましたね。コロナウイルスの影響で導入が遅れたこともあり、さらに教育の格差が広がるのでは、と懸念しています。

ジェンダーバイアスに関しては、強く感じたことはありませんでした。小学校の教科書でも、男女平等に描かれている印象です。ですが、プログラミング教育を推進している先生や学校関係者は、男性であることが多いですね。

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プログラミング教育推進のシンポジウムなどで、各学校から先生方が参加されるのですが、8割が男性です。彼らが周りの先生方に、プログラミング学習の方法を教える役割を担っています。男性である理由は、各学校にいる、テクノロジーに強い人=男性というイメージが根付いている印象ですね。

りさこ:そうなのですね!プログラミングを実際に教室で教えたり、STEM分野で活躍されている人材が、男女平等であることは次世代のIT人材を育成するにあたって、大切なことだと思います。Waffleさんでも、ロールモデルの重要性に関する記事(下記参照)を出されていますが、やはりロールモデルがいることにより、子供達の興味関心が後押しされますよね。

アイヴィーさん:家庭教育もジェンダーバイアスに大きな影響を与えていると思います。親から「男の子は理系、女の子は文系」と普通に言われたり、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)がまだまだ強く残っていると感じますね。

アンコンシャスバイアスで最近ショックだったのは、隠れたカリキュラム(Hidden Curriculum)といって、潜在的にジェンダーバイアスを促進するような意識が教育現場で働いている、という考えです。例えば、生徒会長を務めた男女の割合は、男子生徒の方が3倍多かったり、日常にバイアスが潜んでいるのだと改めて実感しました。

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りさこ:先日インタビューさせていただいた、LITALICO研究所の野口さんも、早ければ3歳から既にアンコンシャスバイアスが身についてしまうのでは、と話されていました。こういったバイアスを可視化し、本当にそれでいいんだっけ?と考え直すことが大事ですね。

Waffle Campで身につける、プログラミングと自己表現

りさこ:私もプログラミングを大学生の時に勉強したことがあるのですが、一人ではなかなか継続することが難しい印象でした。Waffle Campでは、女子中高生の参加者達をどのようにサポートされていますか?

アイヴィーさん:Camp自体は1日かけて、少人数グループでウェブサイトを各々作るプロジェクトに取り組みます。ただ子供達が1日で終わってしまって、家では一人でできない、という課題を解決するために、事前課題や受講後のフォローアップも行なっています。

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また、何かを作る体験だけでなく、その先にどのような活躍の場やキャリアがあるのかを知ってもらうために、IT分野で活躍するロールモデルのゲストを毎回お呼びしています。

Google Cloudを使って円周率を計算し、ギネス記録を更新した女性エンジニアや、アメリカで活躍されるIT起業家など、ITスキルを駆使して活動されている方にキャリアトークをしていただくことで、「そもそもITやSTEM分野でどんな仕事があるのかわからない」と感じている女子中高生の皆さん達に、将来の選択肢をみせるようにしています。

りさこ:Waffle Campを通じて、参加者にどのように変化を起こしていると感じますか?

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アイヴィーさん:エンジニアって、狭い部屋でカタカタ一人で作業しているイメージがまだ強いのですが、そうじゃなくて最先端の技術に携わったり、イノベーションを起こす仕事なんだ、という新たな視点を与えることで、変化を起こせていると感じます。

また、参加者の中には、学校で本人の意思とは関係なく、プログラミング教育の一貫として取り組まされたりしたりして、暗いイメージを持っている子もいました。

ですがWaffle Campでは、アイディアを形にする、というエンジニアリングで一番楽しい部分をじっくり体験することで、自己表現のツールとして、将来的にもポジティブに取り組んでくれるのでは、と思います。

政策からも、エンパワーしていく

りさこ:先日、橋本聖子大臣に第5次男女共同参画基本計画素案に対するパブリックコメントを提言されたと思いますが、どのようなことをお伝えしたのでしょうか?

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アイヴィーさん:はい、あのパブコメは国際協力NGOのジョイセフが取り組まれている、30 歳以下の若者を対象としたプロジェクト「#男女共同参画ってなんですか」の一環で携わらせていただきました。

私たちは主に、「科学技術・学術分野における女性の参画拡大」の分野で提言をしました。(※内容の詳細は、下記URLからご確認いただけます)

素案や過去の基本計画を読んで感じたことは、危機感が足りないことですね。推進する、という言葉が多く使われている印象ですが、今後ITやIoT分野が急速に変化していく中、その分野で活躍する女性が少ないことに関してそんな弱い文章ではなく、もっと危機感を持って欲しい、と思いました。

そのために、数字やデータを基本計画に入れて欲しい、さらに現状を基盤に将来を描くのではなく、目標を決めた上で逆算して計画を立てて欲しいなど、提言しました。その上で、絶えず私たちのような活動家や団体が、声をあげ続けていく必要があると思います。

私達がジェンダーギャップ是正のためにできること

りさこ:IT分野やSTEM教育に携わっていなくても、ジェンダーギャップを是正するために私達はどのようなことができるのでしょうか?

アイヴィーさん:学び直しが大切だと思います。最近教育におけるジェンダーギャップでは、性教育や性暴力が話題になっています。でも、実は私も最近まであまり性教育などの現状について把握していませんでした。本や記事を読んだり、国際比較のデータを調べて、どうやら他国と比べて日本の性教育は遅れているらしい、ということを初めて知りました。

日本でよく広告が炎上してしまうのも、同じような背景からではないでしょうか。大人がこれまで知らなかったことを学び直し、自分自身を教育することが大事だと思います。

学んだ後は、是非気づいたことを発信して欲しいですね。短い文章でもアウトプットすることによって、周りの人に知ってもらったり、自分自身のリフレクションにもなると思います。

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りさこ:アイヴィーさんも、積極的にツイッターで情報発信されていますよね。私もいつもとても勉強になっています!これからも、Waffleの活動を通じて、ジェンダーギャップの是正に取り組まれることを期待しています。

貴重なお話をありがとうございました!次回のインタビューもお楽しみに!

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