見出し画像

ウィルスに負けない体づくりを、パーソナルトレーナーなりに考えてみた

はじめに

新型コロナウィルスの蔓延から様々なことに影響が出ているのは周知の通りかと思います。ウィルスを広めてはいけないから仕方ないよね〜といった声や、これが落ち着けばまた元の暮らしに戻れるといった感じですが、「落ち着く」「収束」「終わり」とはいったいどこの地点を指すのでしょうか? この世界的流行が落ち着いたとしても、ウィルスが我々の前から姿を消すわけではなく、頭の中から消えた時が終わりなのかもしれません。同じウィルス性のもので毎年流行するものに「インフルエンザ」があります。毎年、毎年流行るということは、毎年備えなければいけないということです。我々人類よりも先に誕生したウィルスに打ち勝つためには、薬を待つことではなく、自分自身の体に備わった機能を錆びつかせないということが大切です
つまり、この新型コロナの流行が収束したからと言って我々個々人の戦いは終わらないということです。ヒトの体の機能というのは実に複雑精巧にできています。その様々な機能の中でも特に感染症の予防に関係することを取り上げてみたいと思います。

自律神経系と免疫機能

自律神経とは、心臓を動かしたり、ものを食べたら胃が動いたり、自分の意思とは無関係に生命維持に必要な調整を勝手に行ってくれるもので、「交感神経」と「副交感神経」という拮抗する二つの系統で成り立っています。
例えば、ものを食べれば胃腸が活発に動き出しそこに血液が集まりやすくなります。それを促しているのが「副交感神経」で体を休息へと導く系統です。反対に、今から運動するといった場合は、筋肉に血液を集め、心拍数を上げ活動に備えます。この時は「交感神経」が優位となります。したがって、ものを食べながら運動するというのは難しいということになります。
この自律神経が免疫機能と密接に関わっていることがわかっています。
我々の免疫をつかさどるのは「白血球」です。ウィルスという外的侵入者に対してそれを食い止める防御網を張るわけです。白血球というのは、赤血球と血小板をのぞいた血液の総称のようなもので、さまざまなものがあります。

**

顆粒球 リンパ球 マクロファージの3つがありそれぞれ役割がある**

白血球の内訳は、顆粒球が60% リンパ球が35% マクロファージが5%というのが標準的な割合のようです。
細菌と戦うのは「顆粒球」という白血球です。傷口が治ったりするのはこの働きによるものです。顆粒球は免疫を作らないので傷は何度でもできる可能性がありその都度戦い治してくれます。
細菌よりもサイズの小さなウィルスと戦うのが、リンパ球になります。リンパ球にはキラーT細胞、ヘルパーT細胞、NK細胞、B細胞など役割による分類されています。
リンパ球が副交感神経と関係し、顆粒球が交感神経と関係すると言われ、自律神経系と免疫システムは切っても切れない関係にあると言えます。つまり、交感神経が優位になりすぎると顆粒球が割合が増してしまい、副交感神経が優位になりすぎるとリンパ球が多くなりすぎてしまうということです。何事もバランスが大切なのです。
バランスが崩れるとどうなるかと言いますと、どちらに偏っても最終的には「低体温」に傾いていきます。通常ヒトの体温が36、5度(脇の下)ですので、35度台だと低めということになり、34度台ですとこれはもうかなり危うい状態と言えます。
反対にインフルエンザなどにかかると40度近くの高熱が出ますが、この時はリンパ球の数がぐっと増え免疫システムとしては強力な状態になります。高熱はしんどいですが、そういう時は外出を控えるのはもちろんのこと、積極的に体を休めることで体がウィルスを退治してくれるのです。

ウィルスは粘膜を介して体に入り込んでくる

インフルエンザやコロナウィルスの感染は空気感染ではなく、手で目や鼻をこする、食べ物を口にすることで粘膜を介して入ってきます。なので手洗いが唯一無二の対策なのですが、粘膜の保護装置が機能してくれると大変助かります。つまり、強い粘膜を作っておくことが大切ということです。粘膜を強くするには、食べ物を選ぶ力が求められます。
粘膜強化で最も大切なのがビタミンAです。そしてビタミンAとセットで粘膜の強化に働く亜鉛というミネラルが必要になります。
食べ物の話が出たので、先の免疫力の強化に役立つ食べ物もあげてみます。ビタミンDは白血球と結びつき免疫機能を活性化します。また、日光に当たることでのビタミンDは生成されます。風邪予防にはビタミンCというのは聞いたことがある人も多いかもしれません。ウィルスに対抗するたんぱく質であるインターフェロンには大量のビタミンCが必要になります。ミネラルではマグネシウムビタミンD活性に役立ちます。
食べ物で免疫力を高めたい場合、総合的には今あげたものを単体で取ろうとしないことです。ビタミン、ミネラルを豊富に含み胃腸の機能を高めることができるのは、玄米または白米に大麦などの雑穀を混ぜたものがオススメです。また、緑黄色野菜、キノコ類、納豆、海藻類が先にあげた栄養素を豊富に含みます。つまり私が日頃オススメしている、ご飯に具沢山味噌汁が最強ということです。
「パン食」が常食になっている人、たんぱく質が大事だからと「肉食」に偏っている人は、これを機に免疫機能を正常化するために「ご飯と具沢山味噌汁」を軸とした食生活に切り替えてみてはいかがでしょうか?

やることが見えてきましたね

ウィルスとの戦いに勝つには、免疫機能を正常化、粘膜を強化することが必要ということがわかりました。そのために必要なことは、自律神経機能を正常化させることが大事で、それには「体温を正常に保つこと」が必要ということでした。また、免疫強化と粘膜強化には食事が深く関係し、必要な栄養素をとる、反対に免疫を下げるような食べ物をなるべく避ける、行動は避けるということが見えてきました。

そのためにやることは・・・


ご飯(玄米や雑穀)と具沢山味噌汁(緑黄色野菜、キノコ、海藻)を軸に、納豆や卵などをつける
・ビタミンD強化のために日光浴をする(外で体を動かす)
ビタミンCをサプリメントで補う
・お酒はほどほどに・・・亜鉛、マグネシウムといった免疫機能に役立つ栄養素が奪われます
タバコは控える・・・肺のためにもですが、ビタミンCをかなり奪われます
・不安心理や不活動、イライラによるストレスを溜めない・・・病は気から。自律神経の乱れは万病の元です
・糖質に偏った食事or過度な糖質制限をしない・・・インスリンの過剰分泌や極端なエネルギー不足も免疫を下げます
・口呼吸気味の人は「鼻呼吸」に意識的に取り組む
・体温を正常に保つために、適度な筋肉活動、筋肉刺激を行う
※総合的にみて、今は屋外でのSLOW JOGが運動としての選択としてはいいかもしれません

その他・・・

内閣府の発表した正規の情報を直接みて行動する(ワイドショーを避け、SNSでの情報だけを頼りにしない)
・自分を守り他人にうつさないために「手洗い」「せきエチケット」を徹底する
・体調が悪い場合は出歩かない
密閉、密集、密接の「3密」を避ける、そのような場所への外出を自粛

現時点では増加率、致死率、からみて「恐れおののく」ような感染症ではないようです。爆発的な感染拡大を防ぐための上記の行動をとりつつ、過剰の自粛による「体と心の萎縮」を避け、ウィルスに負けない体を作って行きましょう。それが我々国民にできることではないでしょうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?