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ど田舎から上京して来た僕がスカウトマンになった話②

この記事の続きです。

Aランクとの遭遇


僕の人生初スカウトは3秒で終了した。

Aさんたちの元へ戻ると、
【全然ダメだな!まずは明るく挨拶から入れ!そして女の子の目を見て話してみろ!次はあの子に行ってこい!】

そうAさんに言われた僕はすぐ2人目の女の子の方を見る。

ん!?めちゃくちゃ可愛いぞ。
これはランクも高いんじゃないか。
こんな子に声かけれるのか。。。

足がすくみ躊躇していると、

【早く行ってこい!】
背後からAさんの声が聞こえる。

勇気を振り絞り女の子の方へ向かう。

【こんにちは!芸能の仕事興味ありませんか?】

すると女の子は僕の方を向いて足を止めた。

か、可愛い。
正面から見るとやはり顔面レベルが全然違った
これはAランク、もしやSの可能性も。。。。

そんなことを考えていると女の子が一言呟いた

【まぁ、少しは。。。。】

え、興味あるの!?
予想外に前向きな言葉と緊張で僕は次の言葉が出てこなかった。

【名刺ってありますか?】

沈黙を破ったのは女の子の一言だった

【名刺はまだ準備中で。。。】

何とか言葉を振り絞ったが、
その後、女の子はわかりましたと一言残して原宿駅の方へ歩いて行ってしまった。

【あの子はAランクだな。あれだけ可愛いとスカウトされ慣れてるから名刺を要求して来たんだろう。名刺を見て大手事務所だと連絡するだろうがウチみたいな中堅の事務所だと厳しいだろうな】

近くで僕のスカウトを見ていたAさんがそう言った

スカウトの聖地 竹下通り


【芸能の仕事に興味ある子もいるんですね】

【そりゃそうだ。竹下通りはスカウトの聖地として有名だからな。スカウトされたくて竹下通りに来ている子も多い。あそこのワンピースを着てる女の子なんてさっきから3往復ぐらいしてるぞ】

【えっ!そんな子もいるんですね。】

【街でのナンパに比べたら竹下通りでのスカウトは話を聞いてくれる確率も連絡先を教えてもらえる確率も圧倒的に高い。もちろんただ買い物に来てるだけの子や芸能の仕事に全く興味のない子もいるからそう言う時は切り替えてすぐ次に行けばいい。まず最初は声かけの数を増やせ。そうすれば自ずと成功確率もあがる】

【なるほど。そう言われると僕も頑張れそうな気がします。】

【ただスカウトはそんなに甘いもんじゃない。もちろん竹下通りにはスカウトされたい女の子だけじゃなくて、俺たちのようなスカウトマンも大勢いる。】


そう言いながらAさんは周りを見渡した。

確かに一定の間隔を空けてスーツ姿の男性やAさんのようなラフな格好をした人、男性だけじゃなく女性もいる

全員に共通しているのが竹下通りを歩いている女の子を目で追い、可愛い子がいたら近づいて名刺を渡している。

【アイツらも俺たちと同じように狙っている。大手事務所のスカウトマンももちろんいるだろう。だが諦めずに声をかけ続けろ。芸能事務所はSランク、Aランクのような子が1人でも所属していれば、その子に憧れて他の女の子も所属しやすくなる。そして所属タレントが増えていき、事務所が大きくなっていくんだ。
大学生が就職活動で大手企業を狙うのと一緒だ。規模が出かければ優秀な人が集まってくるだろ。】

月9女優C子とアイドルD子


【そういえばウチって有名な子は所属してるんですか。】

【ウチだとグラビアで活躍してて、先月まで月9に出演してたC子やアイドルとして活動してるD子がいる。2人ともAランクだな。】

【え!C子は知ってますよ。月9見てました。うちに所属してたんですね。】

【C子は去年俺がスカウトしたんだ。スカウトする時この2人の名前は強力な武器になるから覚えとけよ。スカウトした時こっちの話に興味も持ってくれたら、まずはどのジャンルの仕事に興味があるのか聞き出せ。女優になりたいのか、歌手になりたいのか、アイドルになりたいのか。女優になりたい子にはC子の名前を、アイドルになりたい子にはDこの名前を出せばきっと食いついてくるはずだ。】


その話を聞いた僕はその後、1時間ほど声をかけ続けた。

しかし、なかなか連絡先まで聞き出すことはできない。

それを見かねたAさんが声をかけて来た

【最初に比べたらスムーズに声もかけれるようになってるし、女の子が足を止めてくれる確率も増えてるな。ただ話が下手すぎる。今から俺がスカウトしてくるから近くで聞いてろ】

C子の知名度


そう言うとAさんはスカウトを開始した

【こんにちは!ちょっとだけ話していいかな?】

女の子は無言でAさんの方を向いた。
警戒しているように見える。

【芸能の仕事って興味ある??】

女の子が小さく頷くのを確認するとAさんは話を続けた。

【ちなみに女優、アイドル、歌手の中だとどれが1番興味ある?】

【女優。。。】


女の子は足を止めて、Aさんの質問に初めて答えた。

ここからはAさんのペースだ

【ドラマとかよく見るの?】

【ドラマは好きでよく見ます】

【こないだの月9は見てた?】

【見てました】

【俺も見てたけど面白かったよね。月9出てたC子って知ってる?】

【あ、知ってますよ。〇〇役で出てた子ですよね。】

【そうそう!実はウチの事務所に所属してるんだよね。】

【え!そうなんですか!可愛いですよね。】


初めて女の子がAさんの話に食いついた

【もし女優の仕事に興味あるなら今度事務所で詳しく説明したいからLINE交換しない?】

【・・・・・】


女の子は警戒しているのか沈黙が流れる

【もし怪しいと思ったら全然ブロックしていいからさ】

そう言いながらAさんは名刺を差し出して改めて自己紹介した。

【じゃあ、LINEだけなら】

しばらく悩んでいた女の子が小さな声でそう言った。

2人はLINE交換して女の子は駅の方へ歩いて行った。

やはりAさんのスカウトは完璧だった。
その後、僕はAさんのやり方を真似て1時間ほどスカウト続け、1人から連絡先を交換することができた。

こうして僕のスカウト初挑戦は幕を閉じた。

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