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ど田舎から上京して来た僕がスカウトマンになった話①



怪しい求人への応募


地方から上京してきた僕はまず芸能事務所にて働いていました。

きっかけは面白い仕事ないかな〜と求人サイトを見ていたら【スカウト募集!!】という求人を発見したことです。
即応募しました。

今思えば闇バイトの可能性も大いにありうる怪しい求人でしたが田舎から出てきた僕にはそんなことわかるはずもなくウキウキしながら履歴書を書いたのを覚えています。

応募後すぐ返事が来て数日後に面接となりました。
場所は都内のハンバーガーチェーン店を指定され約束の時間から5分ほど遅れてAさん(後の上司)はやってきました。
当時7月でしたがAさんはビーサンにTシャツ、短パン姿で現れ、
腕は太く日焼けし筋肉ムキムキの体のAさん。面接に相応しくない格好と社会人とは思えない鍛え上げられた体に僕は震え上がりました。

【てめさまくんかな?】

名前を呼ばれた僕は引き返すことができずそのままお店の中へ連れて行かれました。

席に着くと履歴書を提出。
Aさんがひと通り読み終えると

【何でウチ応募したの?】

【面白そうだったので。】

【じゃあとりあえず採用で。明日の13時に竹下通りこれる?】

【ありがとうございます!行きます!】


トントン拍子に話は進み早速翌日から仕事が入りました。

スカウトマンの実態


何をするのかは聞かされることなく翌日約束の時間に竹下通りに向かうと既にAさんが待っていました。
そしてAさんの他に僕と同年代ぐらいのBくん(男)もいました。

どうやらBくんもこの怪しい求人に応募していたようです。

3人で竹下通りをしばらく歩くと、
Aさんが【この辺で始めるか】と呟き足を止めました。

するとAさんが仕事内容の説明を始めました。
【ウチの会社はアイドルやグラビアタレントが所属してる事務所だ。今からここで可愛い子をスカウトをしてきてくれ。
とりあえずスカウト報酬は完全歩合制で、金額はスカウトした女の子のランクによって変わる

Sランク:100万
Aランク:50万
Bランク:10万
Cランク:1万
所属しなくても連絡先交換できれば
1人1000円

Sランクはテレビで活躍してるようなトップ女優やトップアイドルレベルだがなかなかその辺を歩いてる可能性は低いし、いても既に事務所に所属してる場合が多いがもし見つければ報酬は出すから頑張ってくれ。じゃあ行ってこい】


Aさんの説明を聞き終えた僕は動揺していた。

正直これまでナンパもしたことがないのにスカウトなんてできるわけない。
一体どうやってやるんだ。

ふと隣のBくんの顔をみると青ざめていた。
安心した。どうやら彼も同じ心境のようだ。

全然行こうとしない僕たちにAさんは苛立ちながらこう言った

【何してんの!?早く行ってこい!!】

そんなAさんに僕は震える声で聞いてみた。

【スカウトってどうやるんですか?】

Aさんは言葉を失っていた。

しばらくしてAさんが女の子の方へ歩き出した。

【とりあえず見とけ】

Aさんの実力


そう言い残しすぐ近くの女の子に話しかけた。
最初は並走しながら話しているとすぐ女の子は足を止めた。
これはAさんの話に興味を持った合図だった。
最初女の子は不安そうな顔をしていたが話していくうちに笑顔がふえ会話が弾んでいるように見えた。
その後Aさんはスマホを取り出し、それに続くように女の子もスマホを取り出した。
LINEを交換したようだ。
話しかけてからLINE交換まで5分もかからなかった。

その後Aさんは僕たちの方へ戻って来た。
【とりあえず今みたいな感じでまずは連絡先を交換しろ。そこからがスタートだ。ちなみに今の子はCランクだな】

僕たちはAさんの完璧なスカウトを見せつけられ、動けずにいた。

あんなスムーズにできるのか。

スカウト初挑戦


僕たち2人にそんな不安がよぎるなか横からAさんの怒号が飛んできた

【いつまでボーッとしてんだ!
じゃあまずはてめさまから行ってこい!!】

【ふぁい!】


動揺した僕はふざけた返事をしながら、向かい側から歩いてくる大学生くらいの女の子に声をかけた。

【芸能関係の仕事興味ありませんか?】

女の子は横目で一瞬僕の方を見たがすぐ歩いて行ってしまった。

僕の初スカウトは3秒で終了した。



これが僕の芸能事務所でのスタートを飾る初仕事でした。
ど田舎から上京して来た僕がスカウトマンになった話②へ続く。


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