スズランに帰る夢【うたすと2】
雨粒がきらめいている。月はその姿を隠し、泣いているような星々が、夜道に反射している。
私は、群集とは反対方向に向かって歩いていた。途中で声をかけてくる人や、肩を掴んでくる人もいたが、私の目を見て、あきらめたように去っていった。
悲鳴交じりの声が聞こえてくる。怒号、泣き声。地獄とはこんなに美しいものだったのだろうか。
人々が去っていくと、静かな雨音だけが私の耳に触れるようになった。
廃遊園地のメリーゴーランドに、『危険』の看板。『ふるさとを返せ』という落書き。
私は帰るわ、あ